ページトップへ戻る

Volume 19, No.2 Pages 193 - 194

5. SPring-8通信/SPring-8 COMMUNICATIONS

登録機関利用研究活動評価の実施について
Review of Research Activities as Registered Institution for Facilities Use Promotion

(公財)高輝度光科学研究センター 研究調整部/登録機関利用研究活動評価委員会事務局 Research Coordination Division, JASRI

pdfDownload PDF (224 KB)

 

1. はじめに
 公益財団法人高輝度光科学研究センター(以下「JASRI」という)は、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(共用促進法)」に基づき、大型放射光施設SPring-8およびX線自由電子レーザー施設SACLAの登録施設利用促進機関(登録機関)として利用促進業務を担い、研究者に当該施設を円滑に利用していただくための支援を行っています。
 放射光科学の利用研究分野は多彩であり、また光源性能の進化に伴い放射光科学は日々発展し、利用のニーズは多様化しています。今後とも、新規研究分野における放射光利用を拡大し、先端的・革新的なニーズにも対応した適切な支援を提供するためには、JASRIスタッフが、最先端の放射光技術を開拓しつつ、知識・経験を向上させることが必要となります。その必要性は、文部科学省が定めた「特定放射光施設の共用の促進に関する基本的な方針(告示第9号 平成23年2月7日)」の中で「第2 施設利用研究等に関する事項/登録機関の研究機能の強化」として述べられています。
 そのため、JASRIによるSPring-8およびSACLAにおける研究活動については、登録機関自らが施設を利用した研究手法の改善など施設利用研究を促進するための方策に関する調査研究等を行うものとして、共用促進法の第12条「登録施設利用促進機関による利用」に基づき、文部科学大臣の承認を受け実施しています。
 この条項に基づき、JASRIでは登録機関が利用するビームタイム枠は「12条枠」、またその枠内で実施される研究・開発課題は「12条課題」と呼称し、同枠の利用、同課題の実施にあたっては、以下のとおり利用方法を定めています。
(1)JASRIスタッフが、競争環境下において研究開発(課題)を実施するしくみを維持する。
(2)組織的なテーマ設定と実施体制のもとで研究開発を実施する。
(3)定期的な評価を実施し、透明性を担保すると共に、ユーザーの要望を反映させる。

(4)JASRIの研究機能の維持・向上を図りつつ、適正な一般枠を確保するため、ビームタイムはSPring-8においては全体の20%、SACLAにおいては全体の15%を上限とする。

 

 

2. SPring-8における12条活動の評価
 上記1.(3)に関しては、SPring-8における12条枠の利用、研究活動等を対象として、JASRI理事長の下に、外部有識者から構成される評価委員会を設置し、以下に述べる観点から評価することとしています。この度、平成20年度から24年度前期の12条の実施結果を対象として2回目の評価委員会が開催され、平成25年6月20日付けで、評価報告書が理事長に提出されました。
 評価委員会からの評価報告書を踏まえ、今後の利用支援の調査研究におけるより優れた成果創出を目指し、充実した供用業務、利用支援の推進、およびビームラインの高度化・整備等の検討をしていきたいと考えております。


3. 基本的な評価項目と評価結果の概要
 評価委員会から提示された評価結果の概要は以下のとおりです。なお、報告書の全文については、以下URLにアクセスの上、ご覧ください。
登録機関利用研究活動評価報告書 http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/committees/reports/jasri_review/

(1)運営方法について
 前回(平成20年9月)評価の方針に沿って運用されており、制度的には問題がない。種々の新規サービスのために必要な研究開発に対する時間配分の適切な割合については、ユーザー、設置者、登録機関の三者で透明性が確保された検討が必要である。

(2)利用状況について
 12条利用のビームタイムについて、平均値から判断すると問題はない。但し、開発の要素や必要な時間はビームライン毎に多寡が異なる。また、施設留保枠で実施すべきユーザーの機器入替・調整等の時間の不足により、ユーザーの一般利用課題や12条利用で実施すべき調査研究の圧迫も危惧される。そのため、12条利用と施設留保枠の一層の効率化と使い方について、ユーザー、設置者、登録機関が納得できる仕組み作りが望ましい。

(3)実施体制について
 研究開発の世界的な競争、利用分野の多様性を考えるとスタッフの増員が望ましい。また、SPring-8の利用促進と放射光科学の発展、スタッフの人材育成には、登録機関による先導的な利用研究の推奨が必要である。外部競争的資金の獲得状況は、高く評価できる。今後、ユーザーと登録機関が共同して大型の競争的資金に積極的に申請できるような仕組みも必要である。

(4)研究成果について
 第3世代光源の特長を活かすための技術開発が行われ、今後の新規利用に繋がることが期待される。また、産業利用では、ユーザーの要望に応えた装置改良により、利用が拡大している。そのほか、GIGNOなどの若手支援による成果は実際に共用され、また若手リーダー層の育成の点でも評価できる。

(5)今後の運営について
 新規サイエンスの開拓と測定器及び測定手法の高度化の実施には、12条による一般利用課題、インハウス課題で一定量のビームタイムの確保は必要不可欠である。しかし、その透明性の確保、アカウンタビリティの担保が必要である。今後の12条利用は、SPRUCとの協議の下、10~20%の間で柔軟に運用することが妥当であり、うち、一般利用課題は、10%を目処に積極的に実施すべきである。
 12条利用で得られた成果を、積極的にユーザーに伝え、ユーザーの利用研究に迅速に還元できる仕組みの構築が必要である。また、支援体制の充実、人材の流動化のため、ユーザー支援に忙殺されることなく、サイエンスが展開可能な研究環境の確保が必要であり、そのため、一定予算を確保する仕組み作りが必要である。

(6)総評
 総じて、JASRIによる12条利用研究活動については、概ね適切と評価されるが、今後、多様化するユーザーニーズを的確に把握するため、SPRUC、設置者、登録機関における円滑かつ継続的な情報交換・議論が必要である。
 12条利用の最適な運用が行われることで、世界トップレベルの成果の創出、戦略的な人材育成に期待する。


4. 登録機関利用研究活動評価委員会委員一覧
 委員長 雨宮 慶幸(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
 委 員 高尾 正敏(大阪大学)
     高原  淳(九州大学 先導物質化学研究所)
     鳥養 映子(山梨大学大学院医学工学総合研究部)
     山田 和芳(高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所)
     横谷 尚睦(岡山大学大学院自然科学研究科)


5. 会議開催

○第1回
開催日:平成25年2月9日(土)
議 事:概要説明、利用研究活動成果等の発表、評価・審議など

○第2回
開催日:平成25年6月20日(木)
議 事:評価報告書取りまとめ

 

 

 

公益財団法人
高輝度光科学研究センター 研究調整部
登録機関利用研究活動評価委員会事務局
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL:0791-58-2730
e-mail : article12@spring8.or.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794