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Volume 15, No.1 Page 2

理事長室から −事業仕分け顛末−
Message from President - Lessons Learnt from Budget Request Screening –

白川 哲久 SHIRAKAWA Tetsuhisa

(財)高輝度光科学研究センター 理事長 President of JASRI

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 昨年11月13日、神戸でJASRIの最高顧問会が行われているちょうどその頃、東京ではSPring-8が行政刷新会議の事業仕分けの俎上に載せられていました。最高顧問会が終わってその結果を聞いた理事長である私は耳を疑いました。

 仕分けの評決結果は、ご存知のように「3分の1から2分の1程度の予算縮減」。このままでは来年度は、利用者の方々に放射光の供給ができなくなる恐れがあります。

 それ以降、理事長の仕事は一変しました。事業仕分けの判定は「最終決定」ではなく、最終的には政策レベルの判断を加えて政府の予算案が決定されるとのことでしたので、何はさておきSPring-8の必要性、有用性を政策決定当局に改めてよく理解していただかねばなりません。詳細は省きますが、理化学研究所とも連携を取りつつ、施設者側としても努力しましたが、それ以上に重要なのはSPring-8の利用研究者から大きな声をあげていただくことです。実際、短期間の内に内外の多数の利用研究者から、文部科学省の政務三役を始め関係当局にSPring-8予算確保のための働きかけが行われました。

 その結果、昨年末の閣議決定で、SPring-8の施設運転・維持管理及び利用者選定・利用支援等に必要な予算として約84億9千万円が認められ、削減額は対前年度比で約1億7千万円(同2%減)に留まりました。これは、利用者懇談会をはじめ産学、内外を問わずSPring-8の利用研究者が一丸となってその必要性、有用性を強く訴えて頂いたこと等により、幸いにも政策当局のご理解が得られた賜物であり、JASRIの理事長としても心から感謝したいと思います。

 しかしながら、この事業仕分けとその後の対応の過程で、今後早急に取り組まなければならない課題が否応なく明らかになってきました。

 その第一は、更なる経費削減と予算の徹底した有効活用です。毎年のように削減されてきた予算が、来年度も比較的少額に留まったとはいえさらに削減されることになったため、今後施設者側としてもその影響について慎重に検討する予定ですが、その過程で利用者側にもご協力をお願いせざるを得ない事柄が出てくる可能性は十分あると思われます。

 第二は、事業仕分けでも強く指摘された、利用料の改定による収入増の確保です。これについては、利用料の基本的考え方は変更しない範囲で、しかしより厳格なルールの適用等によって増収の途を探ることは避けられない情勢にあります。今後、政策当局のご指導を仰ぎつつ、理化学研究所とも密接に連携しながら検討を進め、いずれ利用者側とも具体的なご相談をさせていただくことになろうと思われますので、よろしくご理解とご協力をお願いいたします。

 第三は、今回の事業仕分けで痛感させられたことは、我々施設者や利用研究者が立派な仕事をしていると思っていることでも、一般の国民レベルでは如何に十分には理解されていないか、ということです。国民の税金を使って仕事をする以上、より多くの成果を挙げて、かつそれを一般の国民目線で理解できるように説明する責任が、SPring-8の関係者すべてに強く求められています。前回の「利用者情報」でも「さらなる情報発信を」お願いした所以もまさにここにあります。

 国の財政状況に好転の兆しが見られない以上、今後もSPring-8予算を取り巻く状況はより厳しさを増すことと思います。どうか利用者側におかれましても、「成果なくして利用なし」の原則を徹底して優れた成果を生み出して頂くとともに、「一人ひとりが広報マン」の意識をもってSPring-8利用研究の成果を国民に分かりやすく説明する責任を果たしていただきたいと、重ねてお願いする次第です。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794