Volume 12, No.2 Page 123
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
利用研究課題選定委員会を終えて、分科会主査報告6 − 長期利用課題分科会 −
Report by the Chief Examiner of the Division of the Proposal Review Committee – Long-Term Proposal Subcommittee –
東京工業大学 応用セラミックス研究所 Materials and Structures Laboratory, Tokyo Institute of Technology
2000B期から導入された長期利用研究課題(当初の命名は特定利用課題)はSPring-8で定着しています。この制度では、長期的な視野に立って、最大3年間のビームタイムを計画的に利用することができます。一般利用研究課題の枠内にあり、各期の共同利用ビームタイムの20%を限度に優先的利用が可能です。通常の課題の選定基準に加え、長期的なビジョンで研究が明確に捉えられていること、単発の実験では無理な傑出した成果が期待されることなどが要求されています。課題採択には書類審査と面接審査による2段階の厳格な審査が実施され、採択後にもヒヤリングを含む中間評価や事後評価が行われます。
この2年間で選定された長期利用課題は、Lewis課題(2005B採択、BL20B2)、雨宮課題(2005B採択、(BL20XU、BL40B2))、財満課題(2005B採択、BL47XU)、寺崎課題(2006A採択、BL02B1)、桜井課題(2006B採択、BL40B2)、豊島課題(2006B採択、BL41XU)、Cramer 課題(2007A 採択、BL09XU)、および安田課題(2007A採択、BL20B2)です。
長期利用研究課題は実験開始後2年が終了する時期に、書類および面接による中間評価を受けます。この2年間には、小賀坂課題(2004A採択)とFons課題(2005A採択)が中間評価を受け、3年目の実施が適当と判断されました。なお、2005B期採択のLewis課題、雨宮課題、財満課題については、この3月に中間評価が行われる予定です。
長期利用課題の事後評価の一環として、終了後1年以内の間に、SPring-8シンポジウムで成果発表することが義務付けられています。2002A期に開始した小泉課題(BL08W)と2002B期に開始した守友課題(BL02B2、BL40XU)が終了し、2005年11月17日開催のSPring-8シンポジウムで、その成果発表と質疑応答が公開の場で実施されました。同様に、2003A期開始の巽課題(BL10XU)と2003B期開始のCramer課題(BL09XU)と村上課題(BL41XU)については、2006年11月1日開催のSPring-8シンポジウムで成果発表と質疑応答が行われました。これらの成果発表では、公開の場での発表に引き続いて別室で、事後評価委員会による評価が行われています。その評価結果は公表されるとともに、長期利用課題の成果についても、わかりやすい解説記事の形で利用者情報誌に掲載されることになっています。
長期利用課題分科会では、各期ごとに面接審査とヒヤリングによる中間評価をSPring-8のサイトで行っています。そのため、分科会委員の方には多大なご無理をお願いしてきました。また研究分野によっては、分科会委員以外の方にも審査をお願いしています。最後になりましたが、これらの方々のご協力に対し厚くお礼申し上げます。
佐々木 聡 SASAKI Satoshi
東京工業大学 応用セラミックス研究所
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