ページトップへ戻る

Volume 12, No.1 Pages 67 - 73

4. 告知板/ANNOUNCEMENTS

2006年におけるSPring-8関係功績の主な受賞
Award-winning Achievements on SPring-8 in 2006

pdfDownload PDF (25 KB)


 2006年一年間に、SPring-8関係の研究で受賞した主な功績を以下に紹介します。


「堀場雅夫賞」を財団法人高輝度光科学研究センター 寺田靖子主幹研究員が受賞


 堀場雅夫賞は、株式会社堀場製作所が「分析計測技術」に関する国内外の大学または公的研究機関の研究開発者対象の奨励賞として2004年に創設した賞である。


受賞者紹介

 寺田 靖子  財団法人高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 主幹研究員


功績名:高エネルギー放射光を用いたマイクロビーム蛍光X線分析法の革新とその応用


 寺田氏はSPring-8で得られる高エネルギーX線領域での集光光学素子の開発を行い、1マイクロメートルの微小ビームの形成に成功した。その応用により、カドミウムを蓄積する植物において各組織内の元素分布が明らかになるなど、蛍光X線による微量重金属元素の分析が可能であることを実証した。また、高エネルギー放射光蛍光X線分析の手法を開発することで、希土類元素などの微量重元素の非破壊高感度分析を可能とし、和歌山ヒ素カレー事件の亜ヒ酸鑑定など、鑑識・環境・文化財などの各分野において具体的成果をあげたことが高く評価され、今回の受賞となった。

 授賞式については2006年10月17日に京都大学芝蘭会館において行われた。



「日本高圧力学会学会賞」を慶應義塾大学理工学部 辻和彦教授が受賞


 日本高圧力学会は、高圧力の科学・技術の進歩・発展に貢献し、内外から高い評価を受ける顕著な研究成果を収めた者に対して学会賞を授与している。


受賞者紹介

 辻  和彦  慶應義塾大学 理工学部 物理学科 教授


功績名:高温高圧下における液体の構造と物性の研究


 辻氏は、1980年代後半以降、高温高圧下の液体の構造を研究するため、世界に先駆けて放射光とマルチアンビルプレスを組みあわせた手法を開発した。この方法によって各種元素液体およびイオン性液体の構造変化を、20GPaを超える圧力領域まで系統的に調べ、物質による構造変化の違い、結晶の構造変化との異同などをはじめて明確に示し、高圧液体構造研究という新しい分野を切り拓いた。この功績が高く評価され、今回の受賞となった。

 授賞式は11月10日に熊本市産業文化会館で開催された第47回高圧討論会において行われた。

 なお、受賞者による学会賞受賞内容の解説記事が,2007年5月発行予定の「高圧力の科学と技術17巻2号」に掲載予定で、日本高圧力学会ホームページからも閲覧可能になる。



平成18年度「兵庫県科学賞」を独立行政法人理化学研究所 石川哲也放射光科学総合研究センター長が受賞


 兵庫県では、県民文化の高揚、科学技術の向上、スポーツの発展及び明るい地域社会づくりに顕著な貢献をされた個人または団体に、文化賞、科学賞、スポーツ賞及び社会賞を贈り表彰している。


受賞者紹介

 石川 哲也  独立行政法人理化学研究所 播磨研究所 放射光科学総合研究センター長


 石川氏は、困難な技術的課題を乗り越えSPring-8独自の光源導入を成功に導くとともに、高解像度X線分光器の開発等を通じ施設の性能を最大限に発揮させた。また、最近では国家基幹技術に指定されている次世代光源「X線自由電子レーザー」の研究開発を行うなど科学技術の向上に尽くした功績が高く評価され、今回の受賞となった。

 授与式は11月20日に兵庫県公館において行われた。



「第4回ひょうごSPring-8賞」を株式会社大関化学研究所 宮下景子所長が受賞


 ひょうごSPring-8賞とは、産業界・県民の方をはじめとする社会全体に対してSPring-8の認識と知名度を高めるため、SPring-8を利用して、産業や医学への応用など社会経済全般の発展に寄与する研究成果をあげられた方を顕彰することを目的として平成15年度より兵庫県が設置した賞である。


受賞者紹介

 宮下 景子  株式会社大関化学研究所 所長


功績名:ポリマーセメント防水の研究


 土木・建築分野で広く用いられているポリマーセメント系塗膜防水剤は、セメントの強靱性およびポリマー粘弾性という相反する特性に加え、両者の付着・密着性を併せ持つ複合材料である。高温、高湿度などさまざまな条件下で使用されるため、使用環境に応じ、その材料特性すなわちセメントの短時間硬化、早期強度の発現させる材料設計が必須となる。本研究では、SPring-8放射光の高輝度、高強度特性を利用したX線回折法により、ポリマーセメントエマルション中でのセメントの水和反応過程を追跡し、その機能発現機構を解明した。また、セメントの水和凝固反応をより科学的に捕らえることで、施工条件に適う材料設計を可能にした。他社製品をリードする本研究成果は、東京都地下鉄施設、核燃料再処理施設、空港施設などの国内施設の他、国外のコンクリート構造物に応用されており、SPring-8産業利用分野において多大な貢献をした。この功績が高く評価され、今回の受賞となった。

 授賞式は12月22日に兵庫県公館において行われた。



「島津賞」を大阪大学大学院基礎工学研究科 菅滋正教授が受賞


 島津賞は、島津科学技術振興財団が、主として科学計測の基礎的な研究において、近年著しい成果をあげた功労者を表彰するものである。


受賞者紹介

 菅 滋正  大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授


功績名:高精度高分解能放射光分光法の開発と応用


 菅氏は、我が国が世界に誇る放射光研究の分野で30年間にわたり研究を主導している。先端機器開発とそれを用いた応用研究で多彩な業績を上げ、多数の優秀な若手研究者を育成した。特にSPring-8放射光を軟X線分光へ利用するという諸外国に見られなかったユニークな発想で軟X線光電子分光の分野で画期的な成果を多数挙げるとともに世界の研究を牽引している。この新しい手法は、広く話題になっている強相関電子系の研究に必須であるとして世界各国でも追随する動きがある。また不可能と言われてきた軟X線での角度分解光電子分光やフェルミオロジーにも挑戦し、銅酸化物高温超伝導体やV、Mn、Ru酸化物等の研究を成功させた。さらに8keV付近の硬X線を用いて真にバルク敏感な高分解能光電子分光にも成功した。これと平行して内殻吸収磁気円2色性にもとづいた、光電子顕微鏡によるミクロ磁性体の磁区観察を我が国で初めて成功させたほか、近年はスピン偏極走査トンネル顕微鏡によるナノ磁性体の研究をも推進している。このように科学計測装置の開発から基礎研究・応用研究まで世界に誇る成果を多数あげている功績が高く評価され、今回の受賞となった。

 表彰式は、平成19年2月22日を予定している。



過去掲載分


「放射光学会奨励賞」を財団法人高輝度光科学研究センター 山崎裕史副主幹研究員、独立行政法人日本原子力研究開発機構 石井賢司研究員が受賞


受賞者

 山崎 裕史  財団法人高輝度光科学研究センタービームライン・技術部門 副主幹研究員


功績名:回折過程におけるX線コヒーレンスの伝播の研究


 石井 賢司  独立行政法人日本原子力研究開発機構

             量子ビーム応用研究部門 放射光科学研究ユニット 研究員


功績名:共鳴非弾性X線散乱法による銅酸化物高温超伝導体の電子状態の研究


 詳細は2006年3月号(Vol.11 No.2)の109ページをご覧ください。



「第3回ひょうごSPring-8賞」を株式会社豊田中央研究所長井康貴研究員並びに大阪大学生命機能研究科Fadel A.Samatey招聘助教授、今田勝巳助教授が受賞


受賞者

 長井 康貴  株式会社豊田中央研究所 研究員


功績名:自動車排ガス浄化用助触媒の開発と機能解明


受賞者

 Fadel A.Samatey  大阪大学大学院 生命機能研究科 招聘助教授

 今田 勝巳  大阪大学大学院 生命機能研究科 助教授


功績名:X線結晶解析による細菌べん毛軸構造の動作機構の解明


 詳細は2006年3月号(Vol.11 No.2)の110ページをご覧ください。



平成18年度「文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門)」を兵庫県立大学大学院生命理学研究科 吉川信也教授、村本和優助教授、伊藤恭子助手が受賞


受賞者

 吉川 信也  兵庫県立大学大学院 生命理学研究科 教授

 村本 和優  兵庫県立大学大学院 生命理学研究科 助教授

 伊藤 恭子  兵庫県立大学大学院 生命理学研究科 助手


功績名:チトクロム酸化酵素のX線結晶構造の研究


 詳細は2006年7月号(Vol.11 No.4)の281ページをご覧ください。



平成18年度「文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)」を科学警察研究所 鈴木真一室長、滋賀県警察本部科学捜査研究所 鈴木康弘所長、科学警察研究所 笠松正昭研究員が受賞


受賞者

 鈴木 真一  科学警察研究所 法科学第三部 化学第三研究室 室長

 鈴木 康弘  滋賀県警察本部 科学捜査研究所 所長

 笠松 正昭  科学警察研究所 法科学第三部 化学第三研究室 研究員


功績名:科学捜査技術における超高感度分析法の開発


 詳細は2006年7月号(Vol.11 No.4)の282ページをご覧ください。



平成18年度「とやま賞」を独立行政法人日本原子力研究開発機構 片山芳則主任研究員が受賞


受賞者

 片山 芳則  独立行政法人日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門

           放射光科学研究ユニット 放射光高密度物質科学研究グループ主任研究員


 詳細は2006年7月号(Vol.11 No.4)の283ページをご覧ください。



第4回産学官連携功労者表彰「日本学術会議会長賞」を独立行政法人日本原子力研究開発機構 西畑保雄副主任研究員、ダイハツ工業株式会社 田中裕久エクゼクティブ・テクニカル・エキスパートが受賞


受賞者

 西畑 保雄  独立行政法人日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門

           放射光科学研究ユニット X線量子ダイナミックス研究グループ副主任研究員

 田中 裕久  ダイハツ工業株式会社 材料技術部

           エクゼクティブ・テクニカル・エキスパート(ETE)


功績名:インテリジェント触媒の開発


 詳細は2006年7月号(Vol.11 No.4)の284ページをご覧ください。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794