Volume 10, No.2 Pages 102 - 103
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
SPring-8運転・利用状況
SPring-8 Operational News
◎平成16年11月~12月の運転・利用実績
SPring-8は11月22日から第8サイクルの運転を5週間連続運転モードで実施した。第8サイクルではID RF-BPMのアボート信号による停止等があり、総放射光利用運転時間(ユーザータイム)内での故障等による停止時間(down time)は約1.2%であった。放射光利用実績については、実験された共同利用研究の課題は合計257件、利用研究者は1420名で、専用施設利用研究の課題は合計94件、利用研究者は462名であった。
1.装置運転関係
(1)運転期間
第8サイクル(11/22(月)~12/27(月))
(2)運転時間の内訳
運転時間総計 約837時間
①装置の調整及びマシンスタディ等 約118時間
②放射光利用運転時間 約710時間
③故障等によるdown time 約9時間
総放射光利用運転時間(ユーザータイム=②+③)に対するdown timeの割合 約1.2%
(3)運転スペック等
①第8サイクル(セベラルバンチ運転)
・203 bunches
・11 bunch train×29
・1/12-filling+10 bunches
・入射は1分毎にTop-Upモードで実施
・蓄積電流 8GeV、~100mA
(4)主なdown timeの原因
①ID RF-BPMのアボート信号による停止
②オペレーションミスによるアボート
③RF冷却水流量低によるアボート
(5)トピックス
①12月5日の9時頃に蓄積リング棟保守通路でのセルダクト浸水対策塗装作業が換気のために窓を開けて行われていた。その影響でBPM処理回路の温度が変動しBPMデータが異常な値を示し自動軌道補正がスキップした。直ちに軌道補正プログラムの再起動を行ったが、オペレーションミスにより補正用電磁石に誤った値が設定されてしまい、ビーム軌道が変動しビームがアボートした。
②12月28日から冬期長期運転停止期間に入るため、12月24日から27日までパラメータの取得を行った。
2.利用関係
(1)放射光利用実験期間
第8サイクル(11/23(火)~12/1(水))(12/2(木)~12/24(金))
(2)ビームライン利用状況
稼働ビームライン
共用ビームライン(R&D含む) 25本
理研ビームライン 6本
原研ビームライン 4本
専用ビームライン 9本
加速器診断ビームライン 2本
共同利用研究課題 257件
共同利用研究者数 1420名
専用施設利用研究課題 94件
専用施設利用研究者数 462名
(3)トピックス
①11月30日の17時40分頃に実験ハッチの自動ドアロックのセンサー不良が発生し、安全系インターロックによりビームがアボートした。調査を行ったところ、電気錠と鍵穴の位置がずれていたため、直ちに位置調整を行った。
◎平成16年12月~平成17年1月の実績
1.冬期長期運転停止期間
SPring-8は12月28日から平成17年1月23日まで冬期の長期運転停止期間として以下の作業・点検等を実施し予定通り終了した。
(1)線型加速器関係
①モジュレータ点検作業
②その他作業及び点検
(2)シンクロトロン関係
①イオンポンプ設置作業
②ストリップラインモニタ設置作業
③位置変動測定用レーザー干渉計設置作業
④ビームダンプ部ID照射装置設置作業
⑤その他作業及び点検
(3)蓄積リング関係
①HLSケーブル敷設
②真空計ケーブル位置変更作業
③PDAB交換及び制御変更作業
④VME、BL-WS、DBサーバーメンテナンス作業
⑤ネットワークノードUPS交換作業
⑥既設アンジュレーターメンテナンス作業
⑦新規BL建設作業
⑧その他作業及び点検
(4)ユーティリティ関係
①電気設備保守点検作業
②テストスタンド冷却設備定期点検
③冷却水設備熱交換器洗浄作業
④空調用自動制御機器保守点検作業
⑤防災設備点検作業
⑥その他作業及び定期点検
(5)安全管理関係
①入退出管理システム定期点検
②インターロック改修及び試験
③その他作業及び点検
◎平成17年1~2月の運転・利用実績
SPring-8は1月24日から2月18日まで第1サイクルの運転を実施している。第1サイクルは入射系加速器のTop-up性能向上のための運転を実施している。また、蓄積リングは引き続き運転を停止して、台風被害の恒久的復旧工事及び以下の作業・点検を実施している。
1.蓄積リング運転停止中の主な作業
(1)マシン及びビームライン関係
①インターロック配線及びロジック変更
②レベル・水平面内測量作業
③HLS取付工事
④入射部チェンバー交換
⑤PDAB交換
⑥ネットワーク配線作業
⑦既設挿入光源メンテナンス作業
⑧新規BL建設及び既設BL増設作業
⑨その他作業及び点検
(2)ユーティリティ関係
①蓄積リング棟屋根損傷部分復旧工事
②マシン冷却水増量及び膜脱気装置設置工事
③空調用自動制御機器保守点検作業
④その他定期点検・整備作業
(3)安全管理関係
①放射線モニタ定期点検
②インターロック盤改修
③その他作業及び点検
◎今後の予定
(1)2月28日から3月25日まで第2サイクルの運転を行う。第2サイクルは、第1サイクルと同様に入射系加速器のTop-up性能向上のための運転を実施する。蓄積リングは引き続き台風被害の恒久的復旧工事等を行うため運転を停止する予定である。
(2)蓄積リングの運転停止後の4月4日から4月21日まで3週間連続運転モードで第3サイクルの運転を行う。但し、4月4日から4月11日までマシン及びビームラインの立上げ調整期間としユーザーへの放射光の提供は行わない予定である。4月11日から4月21日までのユーザータイムの詳細な運転条件については決定しだいユーザーに報告する。