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Volume 17, No.1 Page 2

理事長室から -SACLAの供用開始に向けて-
Message from President - SACLA will Start the User Operation in March –

白川 哲久 SHIRAKAWA Tetsuhisa

(財)高輝度光科学研究センター 理事長 President of JASRI

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 昨年8月号の本欄でSACLAが世界最短波長となるX線自由電子レーザーの発振に成功したことをご報告しました。


 その後、SACLAは来月に迫った供用開始に向けて順調に調整運転を続けていますが、並行してJASRIでは登録施設利用促進機関として利用者選定や利用支援などの供用開始のための準備作業を鋭意進めてきました。


 利用者選定に関しては、SACLA選定委員会のご意見を伺いながら、昨年10月6日から2012A期(3月〜7月)の利用研究課題の公募をWeb上で開始し、日本放射光学会や日本中性子学会等25の関連学協会に公募のご案内をしたほか、11月24日には現地で見学会を含むSACLA利用ワークショップを、12月3日には東京にてSACLAシンポジウムを開催するなどして周知に努めました。その結果、12月15日の公募締切りまでに内外から55課題と、最初の利用期としては先行する米国のSLAC/LCLSを上回る応募が寄せられ、国内外の研究者の関心の高さを示す結果となりました。これらの応募課題はSACLA利用研究課題審査委員会において慎重な審査が行われた後、SACLA選定委員会のご意見を伺った上で1月下旬までにJASRIとして最初の利用研究課題となる25課題を選定し、各利用研究者に通知したところです(http://sacla.xfel.jp/?p=1219)。


 これら25課題の内訳は、一般課題が13件、「生体分子の階層構造ダイナミクス」と「ピコ・フェムト秒ダイナミックイメージング」の重点戦略課題が12件となっており、所属機関別では大学等教育機関が10件、国公立試験研究機関等が7件、産業界から1件のほか、海外機関からも7件が選ばれました。今後、諸準備を整えた上で、3月上旬にもいよいよSACLAの利用研究が開始されることになります。


 去る2月6日には、SCALAの新しい門出を祝うべく、理化学研究所とJASRIの共催でSACLA供用開始記念式典を姫路にて開催し、文部科学省や国会議員、地元関係者等のご来賓を含め多数の方々にご出席を賜りました。また、SACLAの建設・整備にご尽力頂いた企業の方々にもご出席頂き、感謝状の贈呈を行ったところです。その後の懇親会を含め、御出席の方々からはSACLAに対する大変高い期待が寄せられており、身の引き締まる思いが致しました。


 ところで、昨年末、SPring-8にとって嬉しいニュースが飛び込んで来ました。米国サイエンス誌が毎年の年末に選定しているその年の科学研究の十大業績「ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー」として2011年は日本から2件が選ばれましたが、この2件はいずれもSPring-8での解析結果が元になった研究業績です(一つは小惑星探査機「はやぶさ」が持ち返った小惑星「イトカワ」の微粒子の分析、もう一つは光合成を触媒するタンパク質の構造解析)。来月にも供用が開始されるSACLAでは、さらに世界的に高い評価を受けるような研究成果が数多く生まれることが大いに期待されるところですが、JASRIとしてはSPring-8で培った実績と経験を最大限活かしながら、理化学研究所や利用研究者の方々と緊密に連携を取りつつ利用支援を始めとする業務をしっかりと果たし、SACLAから早期に素晴らしい研究成果が生まれるよう努めてまいる所存です。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794