Volume 17, No.1 Page 1
ご挨拶
Message from Chairman
平素は当財団の運営にあたり種々ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
今年は、SPring-8の供用開始から15年目となる節目にあたります。お蔭をもちまして、当施設は延べ利用者が13万人超えを記録し、SPring-8はまさに成熟期を迎え、物質、生命、環境、地球科学など、あらゆる分野を通じて数多くの画期的な研究成果を生み出しております。産業利用面でも、年間200社近い企業が利用され、「ものづくり」にも大いに貢献しています。また、昨年12月1日には、「ナノ・フォレンシック・サイエンスグループ」を創設し、ナノレベルの極微量試料の分析も可能なSPring-8の先端計測技術をもとに、次世代の科学鑑定を拓く分析手法等の開発に注力するなど、今後もSPring-8の可能性は、一段と拡大するものと確信しております。
ご高承のように、昨年3月11日に発生した東日本大震災により、茨城県にある放射光科学研究施設(PF)、大強度陽子加速器施設(J-PARC)といった量子ビーム施設は、甚大な被害を受けました。このためSPring-8では、平成23年度上期の運転計画を見直し、約250時間の「量子ビーム施設震災優先枠」を設けて、被災施設のユーザーに利用いただくなど、被災者支援にも尽力してまいりました。
また、6月7日に世界最短波長のX線レーザーの発振に成功したX線自由電子レーザー施設SACLAは、順調に開発・調整が進められており、今年3月に供用が開始されます。当財団は、SPring-8に加えSACLAについても登録施設利用促進機関として位置付けられ、今後先導的な研究成果が早期に創出されるよう、理化学研究所等と連携しつつ、利用促進を図ってまいります。
さらに8月19日には、第4期科学技術基本計画が閣議決定され、わが国の将来にわたる持続的な成長と社会の発展に向けた科学技術イノベーションの戦略的推進という基本方針が、掲げられました。SPring-8はその線に沿って、平成23年度下期から、グリーン/ライフイノベーションの推進を重点研究課題の一つとして利用促進を図っております。
当財団としましてはSPring-8のさらなる効率的運営に努めるとともに、最先端のX線自由電子レーザー施設SACLAも併せ、世界一の計算能力を持つスーパーコンピューター「京」との連携を図りながら、わが国の科学技術イノベーションの推進を支えるとともに、世界をリードする先端的・戦略的研究開発拠点として、より多くの研究者にご利用いただけるよう、最大限の努力を傾注する所存ですので、みなさま方のさらなるご支援、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。