Volume 08, No.4 Pages 238 - 242
3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
2003年Particle Accelerator Conferenceに参加して
2003 Particle Accelerator Conference
1.はじめに
JASRI加速器部門から表記の四人が今回の会議に参加した。四人のSPring-8における担当はそれぞれブースターシンクロトロン(青木)、運転軌道解析(早乙女)、真空、モニター(小路)、電磁石(妻木)であり関心の持ち方も異なる。そこであえてひとつにまとめることなく各人の印象を個別に書くこととした。各報告には一応題目をつけたが必ずしも内容と一致していなかったり、また各報告間で重複、矛盾があるかもしれないが御容赦願いたい。
2.ブースターシンクロトロン
Particle Accelerator Conference(PAC)は2年に1回米国の各都市で開催される加速器の会議であり、今回はオレゴン州ポートランドにおいて5月12日から16日までの5日間に渡って行われた。JASRI加速器部門からは青木、小路、早乙女、妻木の4人が参加した。オレゴン州はアメリカの北西部に位置し、3,500m以上の山々、広大な森林地帯、深い渓谷、河川、砂丘など多様な美しい大自然に囲まれた州である。ポートランドは北海道最北端の稚内とほぼ同緯度であり、イチローが活躍しているシアトルから南にバスで3時間程度のところにある。会議の期間中は雨まじりの天候でもあったせいか、10度そこそこの肌寒さを感じさせる気温であった。5月から7月にかけてはオレゴン州最大のイベントであるポートランド・ローズ・フェスティバルが行われる。なかでもローズ・パレードは全米第2位の規模を誇るそうである。残念ながら主なイベントが始まるのは会議終了後からであった。
会議会場はポートランドのダウンタウンのほぼ中心に位置するHilton Hotelであり、会議期間中のホテル内は出席者であふれかえっていた。会議は当然加速器に関するものであるが、加速器の分野といっても、我がSPring-8のような放射光施設やFELなどの電子加速器、陽子加速器、重イオン加速器と用途は様々であり、その中でも線形加速器、ブースターシンクロトロン、蓄積リング、サイクロトロンと種類も様々である。会議ではこれら様々な用途、種類の加速器についてのセッションが並行して行われるのだが、各自の研究分野によっては全くの専門外となりうる発表も数多く行われるため、あらかじめプログラムと事前に配布されるアブストラクトを熟読してから興味あるセッションを選択して各会場に足を運ぶことになった。
青木は高時間分解能が必要とされる実験には不可欠な高純度のシングルバンチ生成についてのポスター発表を行った。内容は入射器であるブースターシンクロトロンにおいて不純バンチビームのクリーニングを行うRF-KOシステムに関する説明である。エネルギーが低い状態で不純バンチビームを電磁場によりキックして除去するため、効率よく短時間でビームクリーニングが行える特長を持つシステムである。原理的にも機器の構成においてもシンプルなシステムであるため、質問は主に使用している装置やパーツの特性に関するものが多かった。なかには使用している1kW出力のハイパワーアンプの価格を尋ねてくる人もいた。同じ大型放射光施設であるAPSやESRFでもビームクリーニングを行っているが、入射器で行っているのはSPring-8だけであり、マイナス10乗から11乗台の不純度を計測も含めて達成できていることも大きな特徴である。APSにおいても今後入射器におけるビームクリーニングを考えているそうであり、担当者と連絡を取り合う約束を交わした。
入射器に関わる立場としては他の放射光施設の入射器の状況が気になるところではあったが、全体的にはさほど目新しい発表は無かったように思われる。ブースターシンクロトロンはビームの入射から出射までの間にビームエネルギーを高くするための加速器であり、ビームパラメータであるベータトロンチューンあるいはクロマティシティ等が変化するため、これらの測定や補正が意外とやっかいなのであるが、ESRFではほぼ自動で行うシステムを構築していたのが印象的であった。またAPSではトップアップ運転時の蓄積リングへのビーム入射効率を向上させるため、低エミッタンスラティスとしたブースターシンクロトロンでのコミッショニング結果についての報告がなされていた。これからトップアップ運転のフェーズを迎える側としては刺激を受けるような発表であった。
会議の間には施設見学のような学術的なツアー等はなく、大自然観光ツアー、ショッピングツアー(オレゴン州には消費税がない)などのオプショナルツアーが日替わりで企画されていた。我々は真面目に?会議への出席を優先し、わずかな合間をぬって徒歩でも行くことのできる美術館や科学博物館を訪れる程度にとどめておいた。
今回のPAC2003は重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響が災いしてか、あるいはイラク戦争後の社会情勢悪化の影響を懸念してか、会議前に参加表明をしているにもかかわらず直前になってキャンセルという人が非常に多かった。口頭発表の際に議長から発表者の不参加が告げられたり、ポスターセッションでは全くポスターが貼られていなかったり説明者がいなかったりというケースが驚くほど多く見受けられた。我々SPring-8からの参加者も会議の直前まで参加するか否かを悩んでいたのは事実である。加速器部門の部門長からは「私は今回の会議の参加は勧めないが、どうしても参加したいというなら各個人の責任の上で参加を決めてほしい」などと事前に釘を刺されていた。出発直前には同僚から「帰国してから一週間は勤務しないように」と冗談とも本気ともとれる言葉を何度聞かされたことか。会議も終わり、帰国してからは「何もなくてよかった」というのが我々一同の正直な感想であろうか。(青木)
3.Light Source
放射光に直接関連する “Light Source” の口頭発表セッションは、3日目の午後に当てられていた。ここでは、CLS, ALS, SOLEIL, DIAMOND, SPEAR3, SESAME,NSLS, BOOMERANG, APS, SPring-8, ESRF の新旧各放射光施設について、最近の話題や計画の進捗状況などが報告された。SPring-8に関しては、昨年行った10T超伝導ウィグラーの試験運転について、特にビームへの影響とMeV 領域放射光のスペクトル測定実験について早乙女が報告した。以下では、各施設からの報告をかいつまんで述べてみる。
CLS(Canadian Light Source)は2.9GeVリングを持つ施設であるが、入射器系の調整はすでに終了し、今年夏からの蓄積リングコミッショニングに備えている。設計当初は、主に軟X線ユーザーのために1.5GeVとエネルギーを設定したが、硬X線ユーザーの要望が増えて現設計になった。できるだけ多くのビームラインを設置したい、とのことで、SPring-8のBL25に似た “chicaned straight” なる直線部も考えているそうである。ALSは1.9GeVリングを備えた施設であるが、以前見学した時には、これでもか、というくらいにぎっしりとビームラインが作られており、頭の下がる思いだった。その後、10keV以上の硬X線ユーザーのために、1.3Tの偏向電磁石のうち3台を5Tの超伝導電磁石に置き変えた。今回の発表は、この “superbend project” の総合報告であった。運転して1年になるそうだが、順調であり、今年末までにさらに何台かを置き換える予定である。マシンを徹底的に使い倒そうという意気込みが感じられた。SOLEIL計画は2.75GeVリングを擁する施設であり、2006年に利用開始を目指している。今回は設計や建設の現状が報告された。ビーム寿命の観点から、トップアップ運転も検討している。DIAMONDのビームエネルギーは3GeVであり、ESRFとエネルギー的に相補的なマシンというのが基本スタンスだそうである。昨年3月にDiamond Light Source Ltd. というベンチャー合同企業が設立され、ここが運営している。マシンのインストールは2004年9月に始まる予定で、2007年のユーザー運転開始を目指している。SPEAR3は、SPEAR2の後継として計画されている3GeVマシンであり、SPEAR2の解体作業などの報告があった。SESAMEはBESSY Iの機器コンポーネントをもとに建設が予定されている3GeVの施設であり、中東地域における放射光科学への寄与が期待されている。中東諸国が参加しているが、ヨルダンの積極的な取り組みが印象的だった。NSLSは低エミッタンス化に向けた取り組みを紹介した。ラティスの組換えなどにより、アップグレード後には、3GeVで1.5nmradとなるそうである。またギャップの狭い超伝導のアンジュレータの設置も検討している。オーストラリアに計画中の3GeV放射光施設BOOMERANGからは、ビームダイナミックスの一般的な検討結果が報告された。ESRFからの報告は、真空封止型アンジュレータの設置、運転に関するものであった。またAPSからの報告は2件あり、1件目はブースターの低エミッタンス化の取りくみについてであった。目的はトップアップ運転時の入射効率向上である。2件目はL.Emeryの発表で、放射光の輝度を現在よりも大幅に向上させるために何ができるか、という観点からAPS施設の長期計画を議論した。(この件については妻木の報告に詳しい。)
以上が “Light Source” のセッションの概観であるが、同日午前中にあった “Free Electron Laser and Energy Recovery Linacs” のセッション(今や花形?)に比べると、全般的に“煮詰まっている”という感じは否めなかった。その中で、APSの Emeryの発表には、施設の新しい局面を何とか切り開かねば、という危機感がひしひしと感じられた。発表が終わり、立ち話で聞いたところでは、検討中の新しい超低エミッタンスリング(75pmrad)についての予算措置はまだ何もなされておらず、単に青写真を示しただけである、とのことであった。動的安定領域がmmのオーダーになってしまうなど、かなりチャレンジングな課題が山積みのようだが、何も提示しなければ何も始まらない、という彼の言葉が胸に響いた。
ちなみに、SPring-8でも今年9月からトップアップ運転に向けた調整が本格的に開始される予定である。トップアップ運転を行ったのはAPSが最初であるが、最近、ESRFで “Front End Open” の状態でビーム入射をするようになった。そこでポスター会場で出会ったESRFのA.Ropertに、そちらの事情はどうか、とたずねてみたところ、フロントエンド部の機器の熱負荷を一定に保つためにユーザーの要望で始めたとのことであった。また、蓄積電流値を一定に保つようなトップアップ運転は、今のところ考えていないそうである。SPring-8では “phase 2” としてこのようなトップアップ運転を計画しているが、いずれ ESRF でも、このような運転の要望が出てくるのではないだろうか。
会議のプロシーディングスはいずれ発行されるが、それまで待てない、という読者はhttp:// warrior.lbl.gov:7778/PAC_PUBLIC/search.htmlを参照されたい。ただしこのウェブのページ、公式にサポートされていない感もあるので、ある日突然アクセスできなくなるかもしれない。その場合は、加速器に関する国際会議の公式ウェブサイト “Joint Accelerator Conferences Website” http:// accelconf.web.cern.ch/AccelConf/にアクセスされたい。登録済みの会議に関しては、過去の分も含めて、知りたい情報を検索することができる。(早乙女)
4.モニター
今回の出張は、テロと新型肺炎の影響を大きく受けたものとなった。テロの影響は、飛行機の乗り降りの際にうけてしまった。出発時には、チェックインカウンターで、機内に預けるカバンを係員に開けられ、金属探知器と目視で、中を隅々までチェックされたのである。さらに、アメリカでは、乗り継ぎ空港で手荷物を預ける際に(検査が厳重で、関空からポートランド空港まで、通しで預けることは出来なかった)、カバンのロックをはずしておくようにいわれた。X線検査で不審物を見つけ次第、カバンを開けて、捜索するつもりである(実際、帰りに持ち主不在だが、カバンが開けられ、中身を取り出して、カバンの内張まで検査されている光景を見た!)。搭乗の前の、持ち物検査も厳重であった。手荷物のX線検査はいうにおよばず、金属探知器による手持ち品の検査は、非常に厳重であった。金属探知器の感度を上げているためか、靴や衣類に、金属製のワイヤーなどが入っていると直ちに検知してしまい、個人的に身体検査が始まってしまう。滞在中にサンフランシスコ空港で爆発騒ぎがあったため、帰りのロス空港では、検査を受けるまでにさんざんならばされたあげくに、ポケットのものは全て出し、靴まで脱いで金属探知器を通る羽目になってしまった。機内に、こっそり金属製のものを持ち込むのは、至難の業であった。
新型肺炎に関しては、出発前に、アメリカが危険指定地域からはずれたため、出発時は何も影響を受けなかった。ただ、感染を恐れてのことか、空港で入国審査をうける際に、あわててマスクを付ける日本人観光客を多く見かけた。機内では装着していなかったので、何か、勘違いしているようであったが、そのあたりが、日本人の団体旅行客らしくて笑えた。帰りは、関西圏での新型肺炎騒動の影響をうけてしまい、飛行機から降りても、体温測定をしてからでないと、入国カウンターに行けなかったのである。騒動があって、急遽準備したのであろうが、稼働しているセンサーが2台のみであったため、20分近く、測定待ちをくらった。エコノミーシートに長時間座っていた直後に、たいした説明も受けずに立ったまま待たされたことには、気分を害してしまったが、今思えば、お役人のやることだから、あんなものであろう!こちらは、少々熱があっても、すり抜けられそうな、簡易検査であった。
さて、本来の目的である、国際会議に話をうつす。
会議初日は、午後から、筆者自身の発表(ポスターセッション)があった。発表内容が、加速器に関する報告ではなく、加速器周辺の、放射線計測に関することであったためか、ホテルの一室ではなく、協賛企業の展示場の壁を割り当てられてしまった。(建て前は、Exhibit Hallだが、どう見ても倉庫?)お客さんは、企業の展示を見がてら、ポスターを見るという方以外、ほとんど来ない寂しい状態であったため、もっぱら、同じような内容でポスターを作ったご近所で、お互いの発表内容に関して議論していた。ご近所の方々や、ポスターを見に来た方々は、我々が使用した、シートタイプの線量計にのみ、大変興味を持ったようで、線量計のメーカーや、線量計の細かい仕様について、いろいろ聞かれた。Exhibit Hallでの発表であったためか、まるで、線量計メーカーの営業担当のような感じであった。
3日目、午後のセッションは、一番興味をもっていた、ビームモニターに関する発表であった。ところが、ポスター会場に行ってみたところ、発表時間になっても、誰も来ないところや、ポスター、または、プロシーディングスの拡大コピーが貼ってあるだけで、発表者がいないというところがたくさんあった。ここにも、テロや新型肺炎の影響がでてしまった。参加申し込みをしたにもかかわらず、出国できなかったり、直前にキャンセルした方が多かったためである。そういう意味では、盛り上がりに欠ける会議であった。また、APSの研究者は、一人で数件の研究発表を同時にしていたため、なかなか話をすることが出来なかった。話を始めても、英会話能力のなさが祟って、会話がとぎれると、他の方から割り込みをうけてしまい、聞きたいことを聞ききれなかったのは、とっても悔しかった。次回までに、英語を勉強しておこうと思った。
木曜日は、青木、小路は、Banquetには参加せず、帰る途中にある日本料理屋で夕食を取って、コンビニ(?)で朝食とビールを買い、ホテルに帰って、寝てしまった。もうすぐ帰るという今頃になって、やっと夜に寝られるようになってきた。(小路)
5.ESRF,APS
会議は月曜日から金曜日の5日間であったが、私は月曜日にポスター発表を行なった。発表を行っていると挿入光源の佐々木さんと軌道解析の西村さんが来られた。前回佐々木さんに御会いしたのはトリエステのElettraであったがそれからBESSYに移られ現在はAPSにおられるそうである。APSの挿入光源の現状をお聞きすると、現在まで規格が決まったアンジュレーターしかやってこなかったがこれからは1年に一本のペースでいろいろなタイプのものをやるつもりであると話しておられた。西村さんは昔物性研におられて、現在はLBLにおられるかたである。実はこの西村さんとSPring-8は結構縁が深いのです。ラティス設計において難しいのは、非線形の六極電磁石の位置や強さを決めることで、解析的な取り扱いである程度の見通しはできるのであるが、最終的には計算機の中でリングを作り粒子の軌道を追いかけるトラッキングしかない。そのトラッキングのプログラムを西村さんがSPring-8のチームに紹介してくれたのです。西村さんの紹介してくれたRACETRACKと言うプログラムは当時としては非常にすすんでいて私がそれまで使ったことのあるMAGIC(PATORICIA)やCOMFORTより、より現実に近いリングをつくることができ、SPring-8のラティス設計が短期間にうまくいったのはこのプログラムのおかげと言っても良いと思う。西村さんに今どんな仕事をされているかお聞きしたところ、中性分子を加速する加速器を設計しているとのことだった。これは分子を分極させ電場の勾配によりガイドフィールドをつくり速度の遅いcoldな分子を蓄積しようと言うものである。個人的には非常に興味を引かれるテーマでチャンスがあれば私もやってみたいと思っている。
さて会議の方であるがいくつか興味を引いた話題を紹介したい。まずESRFであるが昨年はフロントエンドをあけたまま入射する“連続運転”を実施したとのことであった。電流値も250mAまで蓄積することができたがユニフォームフィルではまだ不安定性の問題が残る。また以前挿入光源のところに高さ8mmのアルミチェンバーを設置したが脱ガスによるブレームスが強すぎて撤去した。今回NEGをコートしたものに変え設置しなおしたところ順調にいっている。またマシンの各コンポーネントのインピーダンスを評価していた。APSでもコンポーネント個別のインピーダンスの評価をやっていたが、SPring-8ではこのようなことは中村さんがとうの昔にやっている。以前SPring-8,APS,ESRFの共同のスタディがESRFでありそれに参加した中村さんがあとで怒っていたが、その意味がやっとわかった。APSではEmeryが “Possible Long-Term Improvements to the Advanced Photon Source” と題して発表していた。内容は4つあったが最初のころゆっくりしゃべっていたため時間がなくなり最後の方はかなり省略していた。まず第一は偏向電磁石の強さを0.6Tから1.8Tに強くし長さを短くして直線部を長くし、そこに長いアンジュレータを設置したり、3個から4個の挿入光源を置き実質的に挿入光源の種類を増やすと言うものである。第2はRFで軌道を変えたり偏向電磁石にグラディエントを付けたりしてダンピングパーティションを変えてエミッタンスを下げると言うものである。第3は蓄積リングの一部をEnergy Recovery Linacの一部として使おうと言うものである。最後はリングを80セクターにし、12ポールの永久磁石を使って極低エミッタンスのリングを作ると言うものであるが、ダイナミックアパーチャーが0.75mmとほとんどないに等しく非現実的な話であった。いずれも色々やってはいるが、今一つと言う印象はまぬがれなかった。しかし結果はともかくなにもやらないより、いろいろやることが大事だと我が身を振り返り反省した次第である。その他興味を引いたのはfrequency mapの話であった。これはもともと他分野(非線形力学?)にあったものを加速器に適用したもので加速器の安定性をみるものである。粒子が加速器の中を周回するときの周波数の変化を初期条件を変えてみてやると、その加速器の非線形特性がよくわかりより理解が深まるのである。ハードではAPSのDortwegtが加速器の冷却システムについて話していた。加速器では電磁石のコイルなどに銅が使われておりこの腐食がしばしば問題になる。SPring-8でも大量の銅が冷却水中に溶け込んで一時かなり問題になり、色々調べて、溶存酸素やPHが重要であることがわかった。まったくその話と同じで溶存酸素とPHと腐食のおこりやすさがきれいに図に表されていた。これはかなり一般的な話しのようで(考えてみれば当然かもしれないが)もう少し早く知っておればなあ、と思った次第である。
今回のPACはSARSやイラク戦争の影響を受けた会議であった。SARSを恐れて出席を取り止めた人がいたり、イラク戦争で反対した国の人が一時母国に帰ったが、再入国しようとして就労ビザがおりず会議に出席できなくなってしまったとか言う話を聞いた。なにはともあれ空港で靴を脱がされベルトまでとらなければならないような状況はもうごめんこうむりたい。(妻木)
青木 毅 AOKI Tsuyoshi
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早乙女 光一 SOUTOME Koichi
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小路 正純 SHOJI Masazumi
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妻木 孝治 TSUMAKI Koji
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