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Volume 07, No.2 Pages 85 - 89

3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

第5回SPring-8利用技術に関するワークショップ(総括)
The 5th Technical Workshop for SPring-8 Utilization (generalization)

黒岩 芳弘 KUROIWA Yoshihiro

岡山大学 理学部 物理学科 Department of Physics, Faculty of Science, Okayama University

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 SPring-8利用技術に関するワークショップが2001年12月17日から18日までの2日間の日程で、普及棟と中央管理棟において開催された。年末の慌ただしい時期にもかかわらず多くの参加者があったことは、SPring-8利用者懇談会庶務幹事として主催者も兼ねていた私にとっては非常にうれしいことであった。各セッションのコーディネーターをはじめ、関係者および参加者に感謝したい。
 例年行われてきたワークショップではテーマを限って開催してきたが、今年で5回目になる今回のワークショップでは新しい試みとしてテーマを提案型にしたのが最大の特徴であった。公募の結果、「第3世代高輝度光源を用いた内殻励起ダイナミクス計測技術の最前線」、「多波長異常分散法の高度な可能性に向けて−高エネルギーから低エネルギーX線/XeからSまで−」、「純静水圧がもたらす高圧構造物性の新展開」、「加速器によるビーム性能の改善と利用実験の新たな展開」の4セッションを開催できることになった。一部パラレルセッションになってしまったため、一方のセッションに参加できなかった人は不満に思ったかも知れないが、このような新しい開催方法に関する意見や感想は是非、SPring-8利用者懇談会までお送り願いたい。なお、プログラムをこの総括の最後に添付した。また、各セッションの概要、印象等については参加者からの寄稿がこの総括に引き続き掲載されているので読んでいただきたい。
 さて、私は「高圧」と「加速器」のセッションに主に参加した。特に、「加速器」のセッションはユーザーにとって普段直接議論する機会の少ない施設を中心とした加速器側の人々と直接議論できる場であったためこのようなセッションが開かれたことは非常によかったと思っている。top-up運転等々、SPring-8にいるとよく耳にはしていたことについてまとまった話を聞くことができた。一方、「高圧」のセッションは自身がX線回折による構造物性を研究しているために参加したわけであるが、純粋に利用技術に関して勉強になった。是非、内容の一部はマニュアルや解説のような形で残しておいてもらいたいといったところか。
 1日目の夕刻に、4セッション合同の懇親会が開かれた。その時の様子を最後に載せておく。写真は、開催直後の比較的閑散とした状態である。 
 
 
 
1日目の18:00より行われた懇親会の様子 
 
プログラム

日 時:2001年12月17日(月)〜18日(火)
場 所:SPring-8普及棟 、中央管理棟講堂
主 催:(財)高輝度光科学研究センター、SPring-8利用者懇談会 
 

セッション1  普及棟(大講堂)
「第三世代高輝度光源を用いた内殻励起ダイナミクス計測技術の最前線」
コーディネーター:上田 潔 (東北大)

12月17日(月)

13:30より、はじめに
内殻励起研究の初期状態 (佐々木氏)
本シンポジウムの主旨説明 (鈴木氏)
高分解能軟X線分光ビームライン −軟X線光化学ビームラインBL27SUの現状− (為則氏)

14:15より、XANES測定1
角度分解イオン収量分光法 −分子の内殻励起状態の対称性を分離したXANES測定− (繁政氏)
Kαサテライト線測定によるXANESスペクトル中の多電子励起効果の観測(大浦氏)

15:30より、XANES測定2
蛍光収量と準安定原子の同期検出 −強電場中原子のXANES測定への応用−  (Harries氏)
マージングビーム法 −イオンの内殻光電離と生成イオンの分光−  (山岡氏)
密度汎関数法を用いた原子の光吸収課程の計算 (渡部氏)

12月18日(火)

9:00より、電子分光法1
角度分解オージェ電子分光法 −オージェカスケードの完全解析− (北島氏)
Ne及びXeの高分解能共鳴オージェ電子分光 (吉田氏)
Subnatural linewidth resonant Auger electron spectroscopy as a probe of nuclear dynamics of polyatomic molecules (Fanis氏)

10:45より、電子分光法2
しきい電子との同時測定による新しいオージェ電子分光 (伊藤氏)
超音速分子線と表面光電子分光をリンクさせた新しい表面化学研究法 (寺岡氏)
SPring-8の特性を利用した固体表面の軟X線分光 (高田氏)

13:30より、同時計測技術
オージェ電子 −解離イオン同時計測法− (平谷氏)
多重同時計測イオン・電子運動量分光法 (齋藤氏)

14:45より、理論・将来展望
内殻励起分子の量子化学計算 (信定氏)
What can we learn from photoemission experiment for fixed-in-space molecules  (Cherepkov氏)
Future prospects on innershell dynamics of molecules, clusters and solid states  (Pavlychev氏)

16:15より、自由討論

セッション2 中央管理棟(講堂)
「多波長異常分散法の高度な可能性に向けて 
─高エネルギーから低エネルギーX線/XeからSまで─」
コーディネーター:森本幸生(姫路工業大学)

12月17日(月)

13:30より、
挨拶 (森本氏)
Xe (宮武氏)
Cs (竹田氏)
Hg (藤橋氏)
Se (西尾氏)
Fe (パク氏)
Mn (姚氏)
S (須藤氏)

17:00より、全体質疑応答および総括、
SG討論会閉会の辞 (三木氏)

セッション3 普及棟(中講堂)
純静水圧がもたらす高圧構造物性の新展開コーディネーター:浜谷 望(お茶の水女子大)

12月17日(月)

13:30より、
ワークショップの主旨 (浜谷氏)
SPring-8の現況 (下村氏)

13:50より、静水圧条件で展開するサイエンス
高圧下における精密構造物性研究のためのデータ測定 (西堀氏)
重い電子系の超伝導と価数転移-低温加圧実験 (小林氏)
静水圧及び一軸応力下での準結晶の構造安定性 (綿貫氏)
反応流体としての圧媒体の利用 (遊佐氏)

15:50より、ガス充填装置と圧力発生技術
ヘリウムの充填と静水圧性の確保 (竹村氏)
原研放射光のガス充填装置 (綿貫氏)

16:50より、ガス圧媒体実験の実際(I)
He圧媒体中における圧力誘起構造変化:α-Quartzの場合 (中野氏)
He圧媒体中における圧力誘起構造変化:SnI4の場合 (佐藤氏)
圧媒体の屈折率測定 (山脇氏)

12月18日(火)

9:00より、ガス圧媒体実験の実際(Ⅱ)
He媒体を使ったスカンジウムの構造相転移 (赤浜氏)
He媒体を用いた低温実験 (大石氏)
CePでHe圧媒体を使ってみて (石松氏)

10:10より、今後の展開
サマリーと今後の展望 (八木氏)

11:00より、多くのニーズへの対応
共同利用化のキーポイント (綿貫氏)
JAERI、JASRIの安全管理 (内海氏)
終わりに (浜谷氏)

セッション4 普及棟(中講堂)
加速器によるビーム性能の改善と利用実験の新たな展開
コーディネーター:大熊春夫(SPring-8)、並河一道(東京学芸大)

12月18日(火)

13:20より、
より高品質な光ビーム生成に関する幾つかの試み (大熊氏)
軌道安定化、top-up運転、低エネルギー運転 (田中氏)
ビームの不安定性、時間構造、低エミッタンス運転 (中村氏)
セベラルバンチモードとその利用実験 (依田氏)
低エネルギー運転における光源性能 (北村氏)
軟X線領域での多光子・非線形過程と物性研究 (宮原氏)
X線放射光とレーザー光の同期とその利用    フリーディスカッション (田中氏)



黒岩 芳弘 KUROIWA  Yoshihiro
岡山大学 理学部 物理学科
〒700-8530 岡山市津島中3-1-1
TEL:086-251-7816 FAX:086-251-7830
e-mail:kuroiwa@science.okayama-u.ac.jp
略歴:
1998年4月より 岡山大学(前職:千葉大学)
2001年4月より SPring-8利用者懇談会庶務幹事



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
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