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Volume 07, No.1 Pages 38 - 42

4. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

3極ワークショップの報告
Three Way Workshop

下村 理 SHIMOMURA Osamu

日本原子力研究所 関西研究所 放射光科学研究センター Synchrotron Radiation Research Center, JAERI Kansai Research Establishment

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 ESRF、APS、SPring-8の3極ワークショップが11月14、15の二日間にわたってESRFで開かれた。前回のSPring-8での開催につづくものである。
 今回は直前に同時多発テロがあり国際情勢が不安定であることやSPring-8側では行政改革に伴う予算の見直し、あるいは外部評価などの例年にはない作業が多くあり、また、APSでは所長の交代が11月にあり、開催が危ぶまれたが、何とか予定どおり行われた。参加者はAPSからの10名、SPring-8からの11名を含めて約50名であった。
 今回の大きな特徴は3施設共に所長が交代したことである。ESRFでは昨年1月にY.Petrovに代わりW.G.Stirlingが、APSでは11月にD.MonctonからJ.M.Gibsonに代わった。SPring-8では8月に上坪前所長から吉良所長に交代したことはご存知のとおりである。W.G.Stirlingは中性子分野からJ.M.Gibsonは電子顕微鏡分野からの物性研究者であり、Kiraは光化学分野でいずれも放射光とは今までそれほど深く関係していなかったことも偶然の共通点である。(ちなみに懇親会のときにJ.M.GibsonとW.G.Stirlingはお互いにScotishであることに気づき、この際A.Kiraを名誉Scotishにしてしまおうと3人でスコッチの一気飲み−あるいは固めの杯−をおこなった。)
 プログラムは表1に示すように各所長による施設の概要紹介から始まった。(この紹介記事を書くにあたって参考にしようとしたOHPのコピー集がまだ手元に届いていないため、当日のメモを頼りの聞き書きなので、内容に漏れや誤解のあることをお許しいただきたい。) 
 
表1 ワークショップのプログラム骨子

ESRF-APS-SPring-8 Three Way Workshop
 14 and 15 November, 2001,
 ESRF, Grenoble, France

programme
1.    Welcome 
2.    Facility Reports
3.    Guided Tour
4.    Operation and Upgrade of Radiation Source
 4.1    Beam Stability − Review of requirement and means
 4.2    Insertion Devices − New development
 4.3    Top up (including safety issues)
 4.4    Increase of beam current
 4.5    Discussion of items 4.3 and 4.4
5.    Beamline Instrumentation
 5.1    Automation
 5.2    Detectors
 5.3    Optics : Report on Three-Way Optics Workshop
 5.4    Discussion on prospect for collaboration
6.    Management experience on the different approach at the three facilities
7.    Development of next generation source
8.    Summary and future plans for collaboration
9.    End of meeting   
 
 
 Gibson(APS)は、APSでは34のセクターのうち20セクターが稼動中であること、2000年には6300時間の運転時間のうち5000時間がユーザータイムであり、95%が供給されたこと、登録利用者数が2000名近いこと、13ID+6BMでのCATでの外部利用が32%に達していること、利用の分野別ではMaterials Science 45%、Life Science 25%、Geo Science 13%、Instrumentation 10%、Optics 8%、Othersとなっていること、蛋白データバンクの30%(米国内でのSR施設での比較)を出していること、2000年には300の論文と150のその他のアウトプットを出しており、今年度の途中経過としてはPRL 20、Science 9、Nature 4が含まれていることを利用関連として報告した。マシン関連では軌道の安定性が5日あたり5µmであること報告された後、top-upについて2分毎の入射が2001年から実施されている現状が紹介された。top-upのねらいは光学素子への熱負荷を一定にすること、バンチモードの多様性に対応すること、IDギャップを狭くすること、エミッタンスを低減することに加えて、有効ビームタイムの増加にある。前所長のMonctonがAPS計画の最初から提案していたことが実現したことになる。蓄積電流を200mAにするスタディーが行われ、FEは150mAまで耐えるが、現状の23バンチ運転よりバンチ数を増やす必要があることがわかった。ビームラインを増やす試みとして、ひとつの直線部に二つのアンジュレーターを270µrad傾けて設置するCanted Dual UnduratorがSector 4で成功している。ナノ構造物質の作製と解析を同じ場所で行うためのCenter of Nano-Scale Materials(CNM)がイリノイ州の予算(約400億円)で設置することが決まり、DOEのバックアップも加えて2002年からの稼動を目指している。また、MSCG-CATの建設もターゲットになっている。今後の計画としてはCATに対する財政支援を含めてCATとAPSのインターフェイス役になること、多機関からの予算獲得に努力すること、MTBFの改良に取り組むこと、マシンの可能性を限界まで引き出すこと、第4世代光源への取り組みを行うことなどが挙げられた。
 Kira(SPring-8)はSPring-8がこれまで上坪前所長の献身的な努力によって世界最高の放射光施設に出来上がったこと、また、一昨年行われた国際的な外部評価でも高く評価され、今後の問題はいかにこの施設を使っていくかであると指摘し、新所長の役割はそれへの対応であるとした。予算が原研・理研からとわずかに文科省からくるという複雑さに触れた。今年度の予算は238名のスタッフで116億円である。100mAで38BLが稼動して、赤外からγ線領域までの発生を行っている。運転時間は2001年度は5168時間のうち3198時間がユーザータイムであり、ダウンタイムが1.7%という高効率運転を行っている。来年度は5500時間の内4200時間のユーザータイムを予定している。新たな改良として、30m直線部に27m長の世界最長のアンジュレーターを設置し順調に稼動していること、これに伴い従来の4回対称のラティスを48回対称まで落としたが、ビーム特性は全く悪くなっていないことがわかった。建設中のBLの中には蛋白の構造決定を高効率で行う2本の理研BLが含まれている。利用実験として、昨年度は共用と専用あわせて570の研究が行われた。これらの実験は課題選定委員会の査定を経て行われている。認定された課題の分野別はLife30%、Diffraction&Scattering36%、XAFS13%、Spectroscopy12%、Method9%である。最近の話題としてはSc内包フラーレンの構造決定、バルク敏感光電子分光、構造生物学での成果などである。結論として、行政改革の真っ只中にあるが、逆に今こそ新たに組織について考えるいい機会であること、また、予算が大幅に削減されているが、何とか切り抜ける方法を模索していることを紹介した。
 Stirling(ESRF)からはESRFは16カ国からの出資で成り立っており、複雑さはSPring-8の比ではないと述べた。また、別の特徴として、INLSやEMBL、CNRSなどの研究機関と同じ場所にあり、それらとの協力関係が重要な位置をしめている事にも触れた。現在のスタッフ数は560名で、内訳はサイエンティスト210名、技術者180名、ポスドク55名、博士課程学生30名と事務部門85名である。Available timeは97.3%、Failure1.5%、Filltime1.2%、MTBF48h、MLF0.7hで、30のBLで65segmentのIDが稼動している。200mAでの寿命は75時間である。アンジュレーターのギャップを狭めるために、NEGを装備している薄い真空チェンバーが開発された。真空アンジュレーター(6mm)が2台設置され3台が計画中である。高耐熱負荷のフロントエンドが年4本のペースで交換中で、Be窓を廃止しダイヤモンドに切り替えている。フィリングモードは自由に可変である。ビームラインの内、30本は共用で10本が国別(CRG)である。共用は蛋白2ID、XAFSと磁気散乱4ID+1BM(XAFS)、動的電子構造5ID、構造・界面3ID、X線散乱3ID、イメージング(医学応用含む)5IDなどである。課題申請は1500件程度で450件が採択される。来所する利用者は年5000人(重複なしで3000人)である。ビーム利用の分野別が紹介された。有料課題はバイオで210シフト、材料系で11シフトあった。特筆する研究成果として、Nd1.86Ce0.14CuO4+δのフォノン分散をID16とID28で測定した例が挙げられる。中性子散乱によるものをしのぐ結果である。蛋白構造解析についてはEMBLやILLとの協力研究で優れたものが得られている。高分解能光電子分光やナノ構造・ナノイメージング、高磁場中での構造物性、ILLとの協力によるエンジニアリング材料解析などが挙げられる。
 続いてビームラインの見学が二班に分かれて行われた。
 午後のセッションは光源から始まり、まずビーム安定性が議論された。Farvacque(ESRF)はslow orbit correctionについてはあまり大きな問題はないこと、damping links and girdersを導入することにより8Hz付近の振動を10µmから2µmに減少させたこと、さらにfeedback systemを整備することにより10Hz領域で0.3µm程度、広領域でも1µm以下に抑えることができ、ビームサイズの10%以下を達成できていると報告した。Senero(APS)はCDRで検討された360 broad band BPM、48 narrow band RFBPM、48 IDXBPM、38 BMXBPM、317 magnetを使って調整していること、XBPMのノイズ源として磁石電源、RF電源、熱効果、潮汐効果を検討し0.1〜10Hz領域での雑音を100µmから数µmまで落としたこと、水平方向にはIDギャップ変更による数µmの変化が出るため、BPM回路の調整、XBPMのデータ集積、稼動BPMなどの高度化を行っており、さらにDC補正、IDギャップ変更対応、ID-XBPMの集積などが来年度の課題としてあることが示された。Tsumaki(SPring-8)は季節変動、潮汐効果、冷却水、電源、磁石電源に分けて話した。現状のビームサイズは380µm(H)×4.5µmであり、変動はこの10%以下に抑えることが目標である。季節変化は外気温の変化に伴って年間数mmの周期変動がある。潮汐効果としては20µm程度あるが、RFの補正で調整できている。電磁石の冷却水が1〜3℃変化することにより磁石が傾いていたが、温度変化を0.1℃に抑えることにより測定限界以下になった。COD補正を行うことにより、それまで1週間あたり50µmあった変動が0.74µm(H)×0.41µm(V)に抑えられた。磁石電源による1Hzの大きな振動は抑えられている。垂直方向は40Hz、水平方向は90Hzの振動が見られているが、垂直方向は主に冷却水が、水平方向は磁石が原因である。垂直と水平の振動を連結させて対処しており、現在では10Hz以下では1µm以下、10Hz以上で10µm程度の振動になっている。
 VanVaerenbergh(ESRF)はESRFでの最近の真空封止型アンジュレーターの現状を紹介した。1995年にSPring-8との協力を始め、1996年にSPring-8型プロトタイプを設置したが、その後1999年にSm2Co17の磁石に15µmのNiコートをしたESRF独自のプロトタイプを導入した。ギャップを6mmにした時にライフが短くなることと温度が100℃程度まで上昇することが問題点として指摘された。現在2本が稼動しており、さらに3本が計画されている。
 Karseven(ESRF)は、ブレムスの減少とライフタイムの改善を目的として、ESRFが開発したNEGコート真空チェンバーを紹介した。NEGポンプは従来焼結体が用いられてきたが、CERNとの共同研究で不活性ガス中でのスパッタリングによるコーティング技術を確立した。Ti-Zr-Vをステンレスパイプにコートすることにより10-6までの真空度が得られた。10mmφのCuを電着したステンレスパイプや15mmφの引き抜きアルミ管では5mまでできており、さらにステンレスでは10m、アルミでは15mまでを計画している。
 Tanaka(SPring-8)はSPring-8で開発した非対称Figure8アンジュレーターの紹介をした。Figure8は熱負荷が少なく、整数次波長では水平偏光、半整数次波長で垂直偏光が得られる特徴がある。Figure8型の変形として垂直磁場を電磁石にすることで低熱負荷かつ可変円偏光が得られるようになった。250eVでの垂直偏光と水平偏光の切り替えはコイル電流をゆっくり変えることにより可能である。右回りと左回りの変更は70eVではやはり電流を矩形的にゆっくり変えることによって行えるが、400eV領域ではサイン波駆動で充分変更可能であり、スイッチングパターンが簡単になることが示された。
 Gluskin(APS)はAPSでは7タイプの挿入光源があるが、最近開発した4.4m長のものが高輝度標準型となっていることを述べた。ギャップ変更について新しい機構を導入した。新しい試みとして、一つの直線部に二つの軸を傾けた挿入光源を入れて(Canted Undulator)直線部の有効利用をしている。Nb3Sn、2.2T、14mm周期およびNbTi、1T、10mm周期の超伝導ウイグラーを導入して100keV領域の高エネルギーに対応するようにしたことも報告された。米国ではLCLS計画として14.5GeV、0.15nm、1.5πmm・mrad、エネルギー分解能2.1e-4、120Hz、67fsecの仕様のものが計画されているが、APSは協力チームの中心として今年10月から活動を始め、APSはIDを担当することになっている。
 Top-upについてSereno(APS)は強度の0.1ないし0.5%の変動に対して2分間隔での入射を行っていることを述べた。2002年には75%がtop-upモードになる予定。入射については自動入射、高効率入射と高信頼性に留意している。Top-upにより、光学素子への一定熱負荷、平均フラックスの増加(15から100%)、運転モードの多様化が挙げられた。さらにエミッタンスも低くなるはずであるが、これについてはまだ観測されていない。また、これに関連して、現状の7nmradから3nmradへのより低エミッタンスのラティスへの改造計画を立てている。Nakamura(SPring-8)はSPring-8でもtop-upについてのスタディは済んでおり、実行にあたっての特段の問題点はないと述べた。ESRFではBerkvens(ESRF)によると、強度が25%低下する毎にフロントエンドを開けたまま入射することを行っている。安全を確保するために直線部の真空を改善すると共に、ハッチのシールドを厚くした。漏洩テストを6月に行ったが問題はなかったが、実際に定常運転するとしても2003年からになるであろう。
 Elleaume(ESRF)はESRFで200mAに電流増加するために熱負荷、RFシステムと安全性の検討が行われていることを紹介した。Harkay(APS)はAPSでも電流増加に取り組んでおり、今年6月にはマルチバンチで200mAを達成し、シングルバンチではすでに97年に19mAを経験していることを紹介した。Nakamura(SPring-8)はSPring-8では8GeVでの電流増加は考えていないが、6GeV、300mAについて検討していることを紹介した。
 Svenson(ESRF)はビームラインの自動アライメントの方法について紹介した。ビームラインとは独立したABAアルゴリズムに則った制御プログラムが施設側にあり、それとSPECで制御されているビームライン制御と検出器制御がリンクされるシステムを構築している。その一例として、10µmの集光を行うためにID13のKBミラー(3.6m)を波面解析により最適化しスロープエラーが0.02µradに収まった例を挙げた。これに続いてID14、EH13も再構築する予定である。
 Lindley(ESRF)は蛋白の構造解析についてはJSBGと人員の交換も含めた協力関係を保っていることが重要であると述べた。ロボットによる蛋白の結晶成長や精製を行っていること、ビームラインとしては信頼性を向上させること、また5µm級の微小回折計の設定および試料交換の自動化のプロトタイプができていることについても触れた。現在蛋白については5ビームラインがあり、一日あたり125個の解析ができる態勢なので年間200日のマシンタイムを想定すると年間25000個の構造解析ができることになる。Ueki(SPring-8)はSPring-8でのCCDとIPを用いたハイスループット計画(BL26、BL28)、液体窒素に蓄えられた蛋白試料の自動交換システムの現状、構造解析で最も重要な試料の質をチェックする手順を作っていることについて触れた。APSでも蛋白用ビームラインでの自動試料セットのための大掛かりなロボット開発が行われていることがGluskin(APS)から報告された。
 検出器についてはGraafsma(ESRF)から医学利用のためのpixel detector(50000cps、10Hz)を15研究室の協力で開発していることが報告された。まだ開発要素が大きいこと、ユーザーとの協力なくしては開発できないこと、検出器はビームライン要素技術の中で最も遅れていることなどが併せて紹介された。 Herve(ESRF)はガス検出器のための新しいTDCをESRFで開発していることを述べた。Yagi(SPring-8)は新しいpixel detectorの開発、多素子SSDなどについて紹介した。Mills(APS)はAPSでのAPD検出器について紹介した。
 光学系については3極WSの直前にAPSから7名、SPring-8から3名、ESRFから10名程度が参加して光学素子についてのWSが行われた。この光学WSではミラー、多層膜、結晶、集光およびマイクロビーム(ナノビーム)、熱負荷とシミュレーションについて各施設の状況が報告され、これらさらなる展開のためには今後の研究協力が重要である点で合意したことがFreund(ESRF)から報告された。
 Davies(ESRF)からESRFの運営についての報告があった。ESRFは現在16メンバー(12カ国、4参加団体(イスラエル、ポルトガル、チェコ、ハンガリー))が経営している。オーストリアが2002年1月、ポーランドが2003年1月から参加、アイルランドは参加表明しているが具体的な時期は不明であるとのこと。10年規模の長期計画(5年ごとに見直し)に基づき中期計画を建て、さらに毎年の計画を立てている。約80億円の予算のうち、50%が人件費(約500名)、30%が研究費、20%が資本になっている。
産業利用については、ESRFでは約10%がそのカテゴリーに入るとのことである。生命科学、トポ、全反射などについていくつかのビームラインを使って行われているが、ID27は産業利用専用になっている。産業界へのマーケッティングを行うと共に、内部および外部との情報交換を密にすることを行っている。APSでは12の会社が作ったIMCA-CAT、イリノイ州の肝いりで作ったCOM-CAT、蛋白構造解析のためのSGX-CATなどが一般産業利用として稼動している。SPring-8では昨年から産業利用について積極的に取り組みが始まり、コーディネーターを置いて産業界との結びつきを深めると共に、産業利用に重点をおいたビームラインを建設した。また、材料系の会社および製薬関連の会社による専用ビームラインがそれぞれ作られていることも紹介された。
 将来光源については、Freund(ESRF)は、将来光源のための光学素子開発R&Dについて、エミッタンス保存(1A、1µrad)、完全結晶ダイヤモンドによる輝度の保存、1nm/shapeエラーによるコヒーレンス保存、時間構造、高分解能を維持するための柔軟性が必要であり、光学素子として固体のみならず液体ないしガスによる光学システムについての検討が必要であることを述べた。
 Kitamura(SPring-8)は、第三世代の特性はバンチ長さ50〜100ps、エネルギー拡がり10-3であるのに対し、第四世代光源の特徴は、例えばエネルギー回収方式では、バンチ長さ1ps、スペクトル幅1%、縮重度107であることを述べた。LCLS方式ではSLACではSbandライナックを使って14.5GeV、エミッタンス2πmm・mradで1Aを出す計画であり、TESLAは超伝導ライナックにより25GeV加速を行うことを計画している。一方、Kitamuraらはコンパクトな第四世代光源として、0.5GeVで15nm、1GeVで3.6nmを発生させることを狙った計画を進めていることが紹介された。APSではSLACとAPSで二つのFEL計画を展開している。米国ではLANLでの13µmの発振に続き98年にはAPSで490nm、01年にはやはりAPSで130nmの発振が認められた。この実績をさらに進めて、APSの150mライナックで50nm発振を目指すと共にSLACの3kmライナックを使ったより短波長のFEL発振を目指している。
 まとめのセッションではElleaume(ESRF)が光源について熱負荷の限界と安定性の限界について、特に将来光源を念頭において、検討することが必要であることを強調した。 Mills(APS)は光学素子については三者の協力が有効であるが検出器については多くの問題を抱えているので協力を行うためにも整理がいること、測定系の自動化についても協力が大事であることについて触れた。 Kira(SPring-8)はマネージメントについて多くの利用者は満足しているもののより優れた成果を出すためには多様化した利用者対応が必要であることを強調した。このようなWSの討論とまとめを受けて、Gibson(APS)は建設の時代から利用の時代に移っても三者の協力関係を維持することは極めて価値のあることであるので、3極WSは継続して行うべきであるとの提案をした。すなわち、例えば今回行われた光学素子についてのWSは大変有効であったので、次回は光学素子、検出器、加速器などの分野でこの方式をとることが望まれる。また、スタッフによる短期相互訪問、ポスドクによる長期相互訪問や測定器の交換やラウンドロビン方式による相互検定なども有効である。さらに利用者をよりサポートするために情報の共有、教育・講習などに加え、課題のリダイレクトも検討に値するであろう。このような観点から、いままでとは少し異なった形として、WSの前に関連する課題についてのサテライトミーティングを設けることなどにより、より議論の深まったワークショップになることが期待される。この期待を担って、次回は18ヵ月後、2003年の4月ごろシカゴのAPSで開催されることとなった。



下村 理 SHIMOMURA  Osamu
日本原子力研究所 関西研究所 放射光科学研究センター
〒679-5148 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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