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Volume 05, No.1 Pages 53 - 55

6. 談話室・ユーザー便り/OPEN HOUSE・A LETTER FROM SPring-8 USERS

「芝生広場」
Square

袖山 敬史

財団法人高輝度光科学研究センター

安全管理室

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 小さいころ、学校の帰りによく道草をくって新しいことを憶えたり、何かしら新しい発見があったものですが、大人になってからもそのころの悪い癖が抜けず、相変わらずまっすぐ家へ帰ることがありません。たまに早く家に帰ると、体の具合が悪いのかと心配される始末。

 そんなわけで、SPring-8からの帰り道にいつも目にする光都プラザ前の広場。聞くところによると、広場の名前は「芝生広場」だとか。なるほど、実に分かりやすいそのまんまの名前。誰しも一度ぐらいは広場や公園で遊んだことがあると思いますが、たまにはそんな、なつかしい「芝生広場」で道草をくってみませんか?



・広さ 3.8ha

・長さ 508歩ぐらい(成人男性身長170cmによる計測:10往復で約1万歩)


「遊び道具」

 またまた小さいころ、道端にはえている枯草や、ころがっている枯木を刀代わりに友達とチャンバラごっこをしたものですが、ここ「芝生広場」には、そんな遊び道具が何もありません。街の公園に行けば、必ずと言ってよいほど、砂場やブランコ、シーソーなどがあるものですが、ここにあるのは長椅子がたくさんと、あずまやとお手洗い、それに芝生のはえた広場だけ。

 本当に何もありません。あるのは広くて何も無いスペースだけ。



何故ここに広場ができたのか?

まちびらきイベントのあと地。光都プラザの前庭的存在で、地区センターとしての役割と、将来に備えた拡張スペースとして現在の姿があります。個人的には、ずっとこのまま何も無い芝生広場であって欲しいのですが。


「目と耳」

 小学校も高学年になると、世の中の遊びも変わり、テレビゲームがはやり始め友達が押しかけてくる日々。田舎に住んでいたためか、受験戦争の影響は受けなかったのですが、テレビゲームという、直接「目」に訴えかける遊びは、あっという間に広まりました。そのころからか、自分で考えて遊びを作る必要のない、受け身一方の遊びに慣れてしまいました。中学生になると、数少ないラジオのチャンネルから流れてくる音楽を楽しむようになり、「耳」で歌を聴くことで、見知らぬ世界を想像できました。

 そんな、五感の中の「目」と「耳」という受け身の感覚器官だけで楽しめることも、「芝生広場」にはたくさんあります。


 ほぼ毎日私は「芝生広場」で遊んでいるのですが、明るいうちにはあまり行かないため、夕方から夜にかけてのことしか知らないのですが、夜になって一番「目」が行く場所は、やはり「夜空」。月の夜の明るさも良いのですが、月の出ていない夜のほうが、オリオン座やカシオペア座など(それ以上星座を知らない。)の星座やたくさんの星に、たまに流れ星も見られます。

 空が曇っていて本当に真っ黒な夜や、霧が出ていて周りの建物が見えないくらい真っ白な夜もあり、台風のやって来る前夜の、音も無く流れる雲は、まるで生き物のようにも見えます。

 家に帰ってゆく車の数が減り、信号が赤と黄の点滅信号になるころ、どこからともなくマフラーとタイヤの音を響かせながら走り屋がやって来て、爆音だけ残して去って行きます。また違う日には、ギターやトランペットを練習している音が聞こえてきたり、さらに静かになると、遠くで鳴く鹿の声や、電車が線路を走る音も聞こえてきます。そんな音さえ聞こえなくなり、辺りの音が全てなくなると、自分の心臓の動く音や、身体の筋や肉が伸び縮みする音が聞こえることもあります。

 心が静まる月夜もなかなか心地良いのですが、出来ればお昼の明るいときに遊びに行くのをおすすめします。



芝生広場にあるもの。

・お手洗い

・長椅子 24

・駐車場 北側 24 中 14

・あずまや 1(丸テーブル 1 丸椅子 12)

・池 1

・無数の芝生

・ごみを無くすために、ごみ箱はありません。


「刺激」

 バイトをして自由なお金を持つようになると、今までの遊びがもの足りず、それ以上の刺激を求めるようになりました。酒と煙草をおぼえ、ゲームセンターやビリヤードに行って、その後居酒屋、カラオケ、見知らぬ人の家に泊まり込み、あげくのはてに居候。道草どころか、家にさえ帰らなくなってしまう。そのころから身体の全ての感覚器官がさらに刺激を求めだすのですが、いつまでたっても誰かの作った遊び場でお金をつぎ込み、残るのはそれ以上の刺激を求める自分だけ。

 そんな遊び方や、遊ぶ場所を探していたり、時間を持て余している方、仕事に疲れた方も、たまにはゆっくり芝生のある広場を散歩してみるのも良いのではないでしょうか?

 見渡す限り山だらけ。と言うか、この山の中の「芝生広場」で遊ぶだけならお金もいらないし、老後に備えて身体を鍛えることも出来ます。休みになると渋滞覚悟で遊園地やデパートへ行くのを考えると、たまには気分を変えて家族揃ってピクニックなんかも良いですねえ。冷暖房不完備!何をしていようが、誰からも非難されませんし、携帯電話もつながるのでイザという時にも安心!。



隣りの光都プラザにあるもの。

・ジュースやタバコの自動販売機

・食料品店

・レストラン

・銀行・郵便局

・診療所

・薬局

・播磨科学公園都市 PR館(オプトピア)

ぜいたくを言わなければ、十分生活できます。

酔い覚ましにも最適!


「遊び場」

 何も無い「芝生広場」ですが、ある意味刺激は十分、スペースも十分、後は遊ぶ人の想像力と遊び方次第でいくらでも楽しめます!この「芝生広場」でさえ、誰かの想像が現実になって作られたわけですし、今までの経験や体験から少しの想像で新しい遊びを発見できるかもしれません。

 私はこの「芝生広場」のあるうちに、お祭りやイベントを開催して、たくさんの人が楽しむことの出来る「遊び場」を作りたいと思っています。

最近は「振り袖バンド」の撮影をしました(私は照明係)。まずは地道に。

・24時間、年中OPEN!

・花火、バーベキューなど「火」の使用は禁止!

・1団体で「芝生広場」を独占して使用するのは原則として禁止。但し、フリーマーケットやイべントの開催については要相談。

・利益が発生することも禁止!


 でも、何が一番つらいって、冬の凍えるような寒さもつらいのですが、ひまわりの咲く、夏のころの「蚊」に刺されるつらさは、何とも言えないものがあります。ああ、また夏が思いやられる。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794