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Volume 04, No.2 Pages 61 - 63

6. 談話室・ユーザー便り/OPEN HOUSE・A LETTER FROM SPring-8 USERS

ポタリングのすすめ
Pottering around SPring-8

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 自転車に関する用語でポタリング(pottering)と云うものがある。辞書によると、potter = putter : tomove or act slowly or lackadaisically と書いてある。要は自転車で生活圏の近辺をゆっくり、ぶらぶらと散歩するようなことである。昔々、ポタリング用の自転車が各メーカから販売されていた。それらは、サイクリングやツーリング、クライムヒルのように気合を入れて坂を登るわけでもないので、変速も3段から5段程度の軽快車であった。SPring-8周辺でいうと、テクノ中央交差点からSPring-8正門までの緩やかな坂を、ゆっくりと上って来るようなものと考えたらよろしい。

 以上のように規定すると、テクノの山上ではポタリングをするようなフラットなコースなど限られる。そこで、少々ハードであるがエクササイズを兼ねた起伏に富んだコースを紹介しよう(図1)。SPring-8が起点・終点である。ちなみに、私の自転車はランドナーで650A(26インチ)のタイヤをはいている。変速は24段で減速比は0.27~1.3、即ちペダル1回転につき後輪が3.7~0.77回転する。この程度の仕様だと普通に走れる(と思う)。



 図1 ポタリングのコース


 持論ではあるが、自転車の移動は自動車に比べて木や草花、獣等が眼につくようになり、徒歩の移動は自転車に比べて小鳥等小動物が眼につくようになります。楽しみましょう。


①三原‐大鳴渓谷折り返し(25分、標高差75m)

 正門を出て左に曲がり、ボルカノ入口から少し下ったところを左折して三原の方へ進む。暫く走ると右手に荒神社が見えてくる。神社の前がT字路になっていて、左折して鞍居川沿いの道を下る。道は途中から幅員が1.7m程度になるので自動車では行かない方がよろしい(チェロキーで行ったと聞くが、私は見ていない)。さらに下ると三日月と上郡の町界に至る。ここにバリケードがあって通行止になっている。金出地ダム建設のためである。基本的にはここで折り返すが、この500m先が大鳴渓谷の中心(写真1)なので、興味があれば自転車を担いでバリケードを避けて行って下さい。通行止めになる前は本金出地まで下って、バス通りを上り、テクノ中央をまわって来るコースで60分ほどかかった(本金出地からSPring-8まで自転車で通勤していた人がいたと聞くが、私は見ていない)。



 写真1 大鳴渓谷


 余談ではあるが、今年1月にここを走ったとき、鹿猟をしているおじさんに出会った(写真2)。曰く、「今年は鹿が捕れすぎて困る。」に対して、「じゃあ、SPring-8にも少し肉を分けて下さい。」と言っておいた。皆さんも免許を取得して、鹿猟は如何ですか?



 写真2 鹿猟をするおじさん


②三原‐三ッ尾‐三原(35分、標高差100m)

 ①の荒神社前を左に曲がり、20mほど行くと右側にダートの上り道が見えてくる。この道は1kmほどで、標高差100mを上り尾根にでる。始めはそんなに急ではないが、尾根付近になると急になる。あまりにも急でしかもダートであるため、一度自転車を降りると乗れなくなってしまう(こともある)。一気に上りましょう。地獄のような坂(写真3)で地獄坂とでも言おうか?



 写真3 地獄坂?


 上り詰めると、後は尾根沿いの緩やかな上り下りが続く。暫く行くと広場があって、以前は大量の牛糞が捨ててあり、農場の薫りが漂っていた。ここ2~3年見ないので、畜産物自由化のあおりを受けて飼育をやめたのだろう。代わりにゴミが増えた。猪用の罠がある。

 もう少し進むと、舗装路につき当たる。ダートはここで終わりである。ここは三ッ尾と東大畑の中間点である。ここを右折して三原まで一気にノーブレーキで下るのが楽しい(車が来なければ)。


③三原‐大下り‐奥多賀折り返し(60分、標高差200m)

 ①の荒神社前を直進通過し、5分ほど上ると右手に葡萄の集荷小屋がある(葡萄の収穫期以外は開いているのを見たことがない)。この小屋を起点に大下り川が南光町方面へ流れていて、川沿いに道が通っている。途中の大下りまでは舗装された道で、急である。大下りの集落には殆ど平地は無く(勿論、田や畑は殆どない)、家屋は斜面にへばりついている。産業は林業が主体であろうか?そう言えば、ここにも猪用の罠が仕掛けてあった(写真4)。この辺は狩猟民族が多そうである。大下りから奥多賀までは荒れたダートでスピードが出ない。所々に自動車が打ち捨てられてあり殺風景である。どうにかして欲しいものである。



 写真4 猪用の罠


④弦谷‐三日月‐下莇原(50分、標高差200m)

 県道28号線を三日月町方面へとひたすら下る。さすがに県道である。2車線の道路であり道幅も広く、見通しも良いため時速60km程度は出せる。速度の遅い自動車があると追い抜きます。

 この坂を下り終えると弦谷である。真っ直ぐ行くと末広交番があるので、避けて右に入ろう。先に進むと服部酒店と云う酒屋があるのだが、その辺で2回ほど玉虫を見た。1度目は、ゆっくり走っていて道に落ちている玉虫を、2度目は速く走っていて腕に当たって落ちた。夏であり、Tシャツ姿だったので痛かった。以前、夏に山口県でナイトラン(夜走ること)していて、巨大なカブト虫にぶつかった時ほどではないが…

 酒屋の前を少し進み、志文川を渡って上方を見上げると巨大な三日月形の植込が見える(写真5)。夜になると、植込の形に灯りが点り、巨大な三日月のイルミネーションが見られる。晴れた昼間、関空へ向かう航空機の窓からリング棟の円形建屋が見えると聞くが、夜はここの三日月形が見えると聞く。この付近には志文川と角亀川の合流点がある。合流点に降りて行ってみよう、何もないが… 合流点から少し進むと姫新線の踏切があり、一旦停止すると右手に三日月駅が見える。ここから新宮町の下莇原まで国道179号線を走る。交通量が多いので気を付けよう。

 国道179号線を5分ほど走ると新宮町に入る。新宮町に入ってすぐのT字路を右に曲がろう。再び姫新線を横切る。踏切の向こう側が下莇原の集落である。ここから、SPring-8近くの下莇原ダムの下までなだらかな上り道になっている。ダム下から堤上まで14%の上り。一気に上ろう。堤上からテクノの高台までは、野外ステージのようなすり鉢面をサイクロイド曲線に沿って上って行く。斜面は手入れが行き届き、きれいに伐採されている。まあ20年も放っておけば立派な林になると思うのだが…



 写真5 巨大な三日月形の植込


⑤上莇原‐鍛冶屋‐栗町‐角亀(60分、標高差200m)

 SPring-8東門前交差点を直進すると、T字路に行き当たる。そこを右に曲がろう。長谷ダムを通って上莇原に至る道である。この下り道は急坂で曲がりくねっており、コーナーリングを充分楽しめる(20秒程だが)。この辺はゾク(暴走賊かローリング賊かは知らない)がよく出没するらしい。周辺の住民が困っているそうだ。どうにかして欲しいものである。

 少し走ると左側に家が見えてくる。上莇原の集落である。この辺では、7軒ほどの農家や業者が揖保の糸を作っている(写真6)。揖保の糸と云うのは揖保川水系で作られる素麺かと思っていたら、ここ千種川水系でも作っている。千種の糸とでも言おうか?



 写真6 揖保の糸を作っている業者


 上莇原の集落沿いに下ると角亀川に行き当たる。左折し150mほど行くと、右に曲がる道がある。莇原峠を経由して鍛冶屋へ至る道である。莇原峠では雉に驚かされたことがある。ガサガサと音がするので近づくと、1m先から飛び立たれた。小鳥ならともかく、雉ほど大きいとびっくりする。どうでもいいことだが、雉撃ちと云う言葉がある。雉を狙うように叢でしゃがんで隠れることである。

 鍛冶屋から栗町までは西栗栖の町中と国道179号線を走る。交通量が多いので気を付けよう。栗町の交差点を右に曲がる(テクノ方面へ)と県道44号線である。名称は一応、相生山崎線になっているが新宮町の牧までで行き止まり。山崎までは抜けていない。相生山崎南線とでも言おうか?これが全通すると戸倉や氷ノ山あたりのスキー場へ行くのに便利なのだが… どうにかして欲しいものである。

 角亀トンネルを抜けると、角亀の集落に至る。テクノまで4車線の新道を走るのも味気ないので旧道を走る。集落の中、にしむら酒店前を通っている道をみちなりに進むと、つづら折りの急坂に出くわす。上り切ると光都の輸入住宅地区にでる。後はゆっくりとSPring-8まで帰ればよろしい。


 以上、思いつくまま書いたが、良いコースが上記の他にもたくさんある。気軽にポタリングしてみては?


(財団法人高輝度光科学研究センター 加速器部門線型加速器グループ 柳田 謙一)



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794