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Volume 04, No.1 Pages 30 - 31

4. その他のビームライン/OTHER BEAMLINES

台湾ビームライン設置計画の概要
Construction Plan for Taiwan Beamline

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 台湾(亜太科学技術協会;APCST)では、SPring-8に偏向電磁石及びアンジュレータを光源とする各1本の専用ビームラインの建設を計画している。本稿では、それらビームライン設置計画の概要について紹介する。


1.偏向電磁石ビームライン(台湾BM BL12B2)の概要
(1)光源
 SPring-8標準の偏向電磁石を適用し、使用エネルギー範囲は白色光で3.5〜150keV、単色光で 3.5〜30keVである。

(2)光学系
 汎用型二結晶分光器を使用し、マイクロフォーカス光学系の開発を行う。これにより、非集束白色光・集束白色光・非集束単色光・集束単色光の4つのモードでの運用を考えている。2つのハッチを設置し、ハッチ1は白色ビーム用、ハッチ2は単色ビーム用とする。エネルギー分解能は、高Q分解能散乱実験で1〜5eV、X線吸収分光実験で1eVを想定している。

(3)実験ステーション
 回折実験用に一般的な6軸回折計、イメージングプレート、2次元CCD検出器及び多元素蛍光検出器が設置される。SAXS用にピンホールカメラが用意される。薄膜のその場成長装置を内臓したUHV表面X線散乱分光器は、挿入光源ビームラインと共用の形で設置される。

(4)建設スケジュール
 1998年12月から建設を開始し、2000年の春に試験調整運転、2000年の秋に利用開始の予定。

(5)ビームラインの利用計画
 マイクロフォーカス光学系を開発し、これを用いてのX線回折、X線トモグラフィー、X線マイクロプローブなどによる各種研究を主に進める。
①マイクロビーム回折
 ULSIデバイスのサブミクロン幅配線内部での電子移動度の研究、合金中の結晶粒界の研究、ポリマー繊維の表面と内部との構造差の研究など。
②表面及び界面散乱
 金属−酸化物−半導体界面の研究、磁性多層膜界面の研究、薄膜成長のその場観察など。
③高圧下での物質構造と物性の研究
④巨大分子及び微小結晶の構造研究
 蛋白質の3次元構造の研究、多重回折による巨大分子結晶のX線位相問題の解析、化学結合のキャラクタリゼーションなど。
⑤X線吸収分光
 触媒研究、バッテリーや電着反応のその場観察による化学反応の研究など。
⑥X線マイクロトモグラフィー
 地球科学、環境科学、物質科学への適用。
⑦X線小角散乱
 高分子繊維の処理過程での構造変化の実時間実験など。

2.挿入光源ビームライン(台湾ID BL12IN)の概要
(1)光源
 SPring-8標準の真空封止型アンジュレータ、又はリボルバー型アンジュレータを適用し、使用エネルギー範囲は5〜50keVである。円偏光X線は位相板を用いて発生させる。

(2)光学系
 フェイズⅠではSPring-8標準型準拠の二結晶分光器、直列4回反射型高分解能分光器などにより構成する。フェイズⅡでは後方散乱超高分解能分光器の設置を計画している。
 エネルギー分解能は、高Q分解能散乱実験で1〜5eV、高分解能非弾性散乱実験で0.1〜1eV、超高分解能非弾性散乱実験で1〜10meVを想定している。

(3)実験ステーション
 回折実験用に6軸回折計、イメージングプレート、2次元CCD検出器が設置される。非弾性散乱実験用に1m高分解能分光器及び3m超高分解能分光器が設置される。BMビームラインと共用のUHV表面X線散乱分光器なども設置される。

(4)建設スケジュール
 1998年からの5年計画を予定している。2002年6月までに、アンジュレータを含む第1光学系、フロントエンド、高熱負荷前置ミラー、高分解能モノクロメーター、位相遅延器、収束ミラーを設置する。2003年6月までに第2光学系、超高分解能後方散乱用モノクロメーターを設置する。

(5)ビームラインの利用計画
①非弾性X線散乱実験
 分解能0.1〜1eVの高分解能非弾性X線散乱実験及び高分解能X線共鳴ラマン散乱実験、分解能1meV〜10meVでの超高分解能非弾性X線散乱実験を計画している。
②高圧下の物質の電子構造
 金属−絶縁体転移、半導体−金属転移など圧力誘起相転移に伴うバンド構造や電子密度の研究など。
③高Q分解能散乱
 蛋白質構造解析、表面散乱、磁気散乱、小角散乱、干渉性散乱実験など。また、時分割測定実験も行う予定。
④X線物理とX線光学の研究
 マイクロビーム集束光学、偏光変換及び解析光学、非線形X線効果の研究などを行う。
 
 
 
台湾ビームラインの設置契約に関する調印式(平成10年12月18日、新竹にて)



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794