ページトップへ戻る

Volume 03, No.5 Pages 37 - 43

7. 談話室/OPEN HOUSE

播磨科学公園都市
Harima Science Garden City Guide

藤田 俊彦 FUJITA Toshihiko[1]、市橋 直樹 ICHIHASHI Naoki[2]、三井 紀子 MITSUI Noriko[2]

[1]兵庫県企業庁播磨科学公園都市建設局長 Harima Science Garden City Construction Bureau, Hyogo Prefectural Public Enterprises Agency、[2]まちづくり推進課 ibid.

pdfDownload PDF (454 KB)


 相生市側から四方を山に囲まれた長い坂道をのぼり、三濃山トンネルに達しそこを抜けるとき、私はいつも「トンネルをぬけるとそこは雪国だった。」という「雪国」の冒頭の一節を思い出します。既存の町からどこか別世界にタイムスリップしたような錯覚を覚えるのです。トンネルの向こう側は「雪国」ではなく、自然と都市が有機的に一体となった「まち」、播磨科学公園都市です。


 播磨科学公園都市は兵庫県の西播磨地方の揖保郡新宮町、赤穂郡上郡町、佐用郡三日月町の3郡3町にまたがる豊かな自然に恵まれた場所に位置しています。面積は960ha(全体計画は2010haで3つの工区に分け、そのうちの第1工区分)で、“時間とともに成長する森の中の都市”をデザインコンセプトとして快適な居住環境と優れた研究施設を備えたデザイン性の高い都市の実現を目指して日々成長をとげています。この土台となる西播磨地域ですが、県土の約30%の面積と、約87万人の人口を有する4市21町からなる地域で、古くから山陽・瀬戸内海地域の要衝として栄え、なかでも臨海部はわが国でも有数の播磨工業地帯として発展を続けてきました。その中の4市10町が昭和60年9月にテクノポリス法により西播磨テクノポリスに指定されました。既存の多様な産業集積と豊かな自然を基盤として、姫路市を母都市として個性豊かな歴史や文化を生かしつつ、そのほぼ真ん中にあたる上記3町にまたがる地域に播磨科学公園都市を整備することが決定されました。今年で整備を始めてから12年目にあたりますが、昨年SPring-8の供用開始を迎え、基幹施設もほぼ整備を終えたことから都市建設を一層促進する契機として、「まちびらきフェスティバル'97」を行いました。


 話はすこしもどりますが、トンネルを抜けてしばらく行くとまず目に飛び込んでくるのが、ピンク系を基調とした瀟洒な建物、NEC播磨テクノセンターです(写真9)。正面玄関を入ると東西から日当たりのいい光が差込み、その景色を眺めながら南へ向かうと吹き抜けのロビーへとつづいています。ロビーの落ち着いた雰囲気を楽しんでいると、受付の方が声をかけてくれます。このNEC播磨テクノセンターですが、東京都府中市の中河原技術センターと高速ネットワークで結ばれた最新のマルチメディア教育システムを装備した研修施設です。高速デジタル回線、大型プロジェクタを備えた大教室では、東京との同時教育を可能にしています。他にも長期研修に耐えうるよう宿泊棟・食堂はもちろんのこと、テニスコート2面・かるいジョギングコースも完備されています。


 NEC播磨テクノセンターの北側に隣接する銀色の建物は住友電気工業㈱播磨研究所です(写真8)。ここは名前のとおり研究施設ですが、特徴として世界で5台しか稼働していない超伝導小型SRリングを装備しています。名称はNIJI-Ⅲといいます。研究施設ということもあって中に入るには、インターホンでの入場の確認が必要です。インターホンごしに来訪を告げると、ドアが自動開閉されます。中は土足厳禁になっており、階段をあがって2階へいくと担当の方が優しく迎えてくれます。


 幹線道路(相生山崎線)を北へ向かうと最初の信号が見えてきます。その交差点の北西の角に茶系の建物が見えてきます。それが今年の4月に開設されたばかりのダイセル化学工業㈱西播磨研修センター(写真10)です。正面玄関は建物の西側にあり、中入ると2階までが吹き抜けになったエントランスホールが広がっています。壁は下部が白を基調にしたもので、上部はコンクリートの打ち放しですが冷たい感じはせず、逆にあたたかい雰囲気を醸し出しています。受付も入り口の直ぐ横手にあり、ホールの一部には2階への階段もあるので、受付の方が研修生の受入・所作の把握に適しており、研修施設として機能性を考えたつくりになっています。このホールを抜けると、光を採り入れたガラス張りと吹き抜けのパブリックゾーンが広がっています。自然の中で語らっているような錯覚を覚えるパブリックゾーンは、迎えるひとに自然と一体化したくつろぎを与え、人との出会い、語らいの場を演出しています。宿泊施設は、一日の疲れを癒す個室空間をつくるため、各室にユニットバスを装備し、木製家具とカラーリングが室内に落ち着きを与え、各人の発想を豊かにすることに役だっています。


 この最初の信号を東へ右折してコンピュータ・カレッジを横目に見ながら姫路工業大学附属高校の裏手の急な坂道をのぼると山の頂上に達します。そこがこのまちの一番高台にあたる「星の広場」です(写真24)。ここからの眺めは、昼間だと播磨科学公園都市の各施設はもちろんのこと、中国山地に連なる山々も望めるなど、季節に応じた景色と自然が生み出す色のコントラストが楽しめます。夜になると、このまち全体の道路照明等をできる限り間接照明にしていることから、夜空に輝く星が他でみるより鮮明に見え、星に興味のある方はもちろんのこと、そうでない方にも時間を忘れるような安らぎを感じさせてくれます。また、体力に自信のある方には、姫路工業大学の南東側に星の広場へとつづく遊歩道をおすすめします。ゆっくり歩いても10分程度で頂上へたどりつけます。その道をたどって頂上の星の広場につくと、車で登るよりもそこからの景色が「苦労して歩いて登ってきた者へのご褒美のような」なにかちがったものに見え、うれしい喜びを与えてくれるでしょう。時間に余裕のある方には遊歩道を、昔見た星空をもう一度眺めたい方には夜の「星の広場」をおすすめします。


 この星の広場から北側の眼下を見下ろすと、三角形の屋根をもつ茶系の高層建物が見えます。それが姫路工業大学理学部です(写真4)。姫路工業大学は姫路市にある書写キャンパス、新在家キャンパスとこのまちにある播磨科学公園都市キャンパスの3つから構成されています。

 播磨科学公園都市キャンパスは、理学部の2年次以降の科目をうけもっています。この理学部には物質の示す性質がどのように発現するかを原子や分子の結晶構造や電子状態から理解し、そのような物質をどのように創造するかを学ぶ「物質科学科」や、細胞を構成する分子や分子集合体の構造と機能の研究から、細胞そのものの生理機能、細胞間の直接間接の相互作用や個体発生に至る広い研究と教育が行われている「生命科学科」が開講されています。他にも大学院博士課程前期・後期両課程も併設されています。


 姫路工業大学の北隣に工事を進めているのが、SPring-8利用の企業、県下中小企業、研究者等の先端的な研究開発を支援するための機能を備えたアカデミックな施設、兵庫県立先端科学技術支援センターです(写真7)。情報コミュニケーション機能を重視した館内では、同時通訳ブース、大型映像機器を備えた大ホールをはじめ電子会議システムなど先端機能を完備しているほか、落ち着きのある数寄屋風の宿泊施設や庭園が独特の雰囲気を醸しだし、科学者や技術者の情報交換の場を提供しています。研修会や講演会に一般の方も利用いただけます。また現在企業をはじめ、産・学・官が連携して行う研究開発の場(貸研究室、開放型研究室、開放型試験室)の提供を目的とした第2期施設の整備を本年秋の完成に向けて進めています。SPring-8に関連する先端的な研究開発をより効果的に支援するため、県下企業との共同研究、企業研究者等のリカレント教育などを行う姫路工業大学高度産業科学技術研究所(高度研)と一体的な整備、運営をおこなう予定です。


 星の広場から北側前方の幹線道路沿いに4分の3の円状のエリアが広がるのが見えますが都市のシンボルでもあるセンターサークル(写真25)です。都市のデザインコンセプトである“時間とともに成長する森の中の都市”を象徴する空間であり、この都市の住民が日々憩う場、そしてこの都市を訪れる人々が交流する場です。中心部には公園としての利用空間を配置し、周辺にいくに従って自然の森に連なるデザインとなっています。また、交差点中央を囲んで遊歩道が整備されており、その南西部に位置するこのまちのおヘソのような巨大なストーンランタンと、外周のプロムナードに立ち並ぶ擬石は、中から光を放つ構造となっています。

 星の広場から西側を臨むと、四角いマッチ箱のうえにのったガラスの円柱に大きな針を突き刺したような建物が見えます。これが県立播磨ヘリポート(写真22)です。このヘリポートは、不定期便ですが神戸と約30分で結ばれています。


 その南側の空き地(「運動公園」予定地)に目をやると工事中の四角い建物が見えますが、この施設が西播磨広域防災拠点(写真21)です。広域防災拠点とは、県地域防災計画及び県防災都市計画マスタープランにおいて広域的な都市の防災機能の強化を図るため、人口等の要因を考慮して県内18箇所を設定しています。この18箇所の内1箇所を全県の拠点として位置づけ、現在三木市に三木震災記念公園(仮称)を建設中です。その全県拠点を中心として県内の県民局単位にブロック拠点を5箇所整備予定であり、その一つにあたるのがこのまちに建設中の西播磨広域防災拠点です。この防災拠点には、司令室等を備えた管理棟と備蓄倉庫を併設する予定で、災害時には隣接のヘリポートを利用した救援物資の集積・配送機能と自衛隊等の駐屯機能、水・電気等のライフライン機能、通信機能を兼ね備えた施設を建設中です。同施設は平成10年度末に完成する予定です。


 それでは再び幹線道路にもどりましょう。もときた急な坂道をおりきり信号を右折します。そして幹線道路を北上すると姫路工業大学附属高校・姫路工業大学が右手に見えてきます。どんどん進むと右前方に先端科学技術支援センターのある交差点に達します。この交差点の左上方に花が咲き乱れた空き地が見えますが、ここは「子供科学館(仮称)」の建設予定地です。近年、科学技術の高度化、専門化に伴い、いわゆる「科学技術のブラックボックス化」が進み、科学技術への市民の無関心、特に「若者の科学技術離れ」が言われ、今後の科学技術系人材の確保が危惧されていますが、これらの科学技術振興の課題を踏まえ、次代を担う人材育成の場・科学技術的風土醸成の場・コミュニケーションを結ぶ場の3点を基本理念として子供科学館を建設する予定です。


 このまま北上すると「テクノ中央」と書かれた交差点にさしかかります。この交差点は第1工区のほぼ真ん中に位置し、この交差点を左折すると上郡町へ、右折すると新宮町へ、直進すると三日月町へ向かいます。ここはちょうど3町を結ぶ架け橋として人々が交流する場を兼ね備えたもので交差点の周りを利用してセンターサークル(写真25)を建設しました。また、相生市の竜泉町を起点としてこの都市を経由して宍粟郡山崎町に至る延長30kmの南北の幹線道路を相生山崎線といいますが、この幹線はちょうどこの交差点を右折することになります。この二車線道路を下りきったところを新宮町の角亀といいますが、ここと新宮町栗町までの延長1,970mの都市内と国道179号を結ぶバイパスを現在建設中です。この事業は、播磨科学公園都市周辺整備事業の一環として、住宅宅地関連公共施設整備促進事業で整備しているもので、平成9年3月からは新角亀トンネル(仮称)工事に着手しています。この事業が完成しますと、この都市はもとより周辺地域の活性化と発展に寄与することでしょう。


 この交差点を直進すると三番目の信号がみえてきます。この信号を右折してみましょう。左手には緑の芝生がひろがりその奥には大きなコンクリートの煙突と白の円が目にはいります。そのすぐ北側には100mに及ぶ散策路「エスプラナード」が配置され、その周りには木々が植えられ緑の木々の中にちらほらと花々も目につきます。その奥に目をやると2階建ての白い鉄骨組みの建物が見えます。ここは名前を「光都プラザ」(写真16)といいます。この施設は、都市居住者や就業者の日常生活ニーズに対応するため、「コープこうべ」のほか、各種商業施設、料理飲食店、医療施設、地元3町の行政窓口などが整備されているほか、都市のPRを担っている「オプトピア」も整備されています。「オプトピア」は都市内を知りたい方なら必ず訪れたい施設で、12月28日~1月4日以外は毎日、開館時間は、AM10:00~PM 5:00までです。


 この光都プラザの向かいに、中・高層の建物がそれぞれ1棟あります。高層の建物は、額縁をイメージしたような「サンライフ光都」(写真13)です。この建物は都市内で一番高い建物であり、形も斬新であることから、訪れた方のほとんどが「なんの建物なの?」と一度はお聞きになる程です。

 もう一つは中層の建物で「オプトハイツ」(写真14)といいます。この建物は「サンライフ光都」に隣接していてあまり目立たないのですが、近づいてみるとこのまちの中心を見下ろす丘の上に建ち、緑の木々を背景にレンガ色の外壁が一段と目を引きます。上の階になるほど階段状に後退した4つの棟が南東から南に向かって扇を広げたように並び、各戸にバルコニーを通して、優れた眺望と快適な日照など豊かな自然を味わうことができます。北側の玄関方向からみると、外観は5階建のように見える建物ですが、実際は4階建の住宅です。その秘密は、この住宅の1階部分にロフトが付いているからです。玄関ホールを通って内部に入ると、最初に天井の高さに驚かされます。さらに、1階の各戸の扉を開けリビングルームまで進むと、天井までの高さが約5m、「ペットにキリンが飼えると言った人がいる」といえばお分かり頂ける巨大な明るい空間が広がっています。ここに天井までの高さが約2mの2階的なゆとりのあるロフトがあります。このロフトは、屋根裏部屋のような薄暗さが全くないので、単なる物置としてではなく、ベットルームやプレイルームの他いろいろな用途に利用できます。なお、2階から上の階は通常の高さの住宅です。「サンライフ光都」は一般向けの、「オプトハイツ」は法人向けの賃貸住宅です。

 このまま道を直進してゆくと、一戸建ての住宅が両側に広がります。この住宅街は「播磨・光都21」(写真26)とよばれていて兵庫県企業庁が分譲したもので、全体で62区画ありますが、約80%が入居済みで残りは現在も販売中です。申込は兵庫県企業庁までお願いします。ちなみに分譲するにあたっては、まず生態系の調査に始まり、植生物の移植、保護、郷土種をベースとした植栽計画、自然の地形に呼応した道、緩やかな起伏を持つ造成計画、自然素材の利用、透水性塗装を基本としました。さらに、街全体を無電柱とし、戸建住宅街は、一宅地に20本程度の植樹をすること、人々がふれあう道広場を採択すること、日照と眺望面から各戸に最適な独自の家の向きをもつことなどこの都市にふさわしい工夫をしています。なお、この道をもう少し直進すると輸入住宅(写真26-2)の販売も昨年から始めています。


 この播磨・光都21と輸入住宅の真ん中には、都市内で一番大きな公園、「栗の木谷公園」(写真26-3)があります。東西には斬新なデザインの小中学校も建っています。中学校のグランド横から南側の山を上っていくと、野花や四季折々の花が挨拶してくれます。ふと立ち止まると虫達の羽音も聞こえてきます。頂上には、3町にまたがるこのまちを象徴するかのような彫刻が置かれていて、そのバックに木々越しに見えるSPring-8の眺めはまた格別です。ピラミッドのような階段を下りると中央広場です。ここには一見異星人が建てたような斬新なトイレ(?)が設置してあり、北山には、森林浴を楽しめる散歩道や多目的広場等があります。北山部分は現在整備中ですが、完成後は家族連れや子供達の遊ぶ声、ゲートボールに沸く声が響く事でしょう。また、最大で1周約1.5kmのジョギングも楽しめます。排気ガスでなく、作りたての酸素を吸いながらのジョギングは気分爽快です。毎日違った喜びを発見させてくれるこの公園は、人と人・人と自然との交流の場として大きな役割を果たしていきます。

 この栗の木谷公園を左手に見つつ、どんどん進むと今度は右手に朱色の屋根をもった集合住宅が見えてきます。この建物は法人向け賃貸住宅の「オプトヒルズ」(写真15)です。


 すこし行くと左手には播磨高原東小学校(写真17)がみえてきますが、播磨高原東中学校(写真18)と設計者が同じこともあり、「道に迷って、中学校に舞い戻ってしまった」と錯覚してしまいます。ちょうど小学校と中学校は上空からみるとほぼ対角線上に建物が配置されていて、もう一方の対角線は山をそのまま残しているため、そう感じるのでしょう。設計にあたって、いろいろな年代の子供たちが学校の枠を超えて対話・交流することが本来の教育の場であり、豊かな自然と共存し、自然に触れ合える学舎をイメージしたそうで、楕円と長方形を組み合わせたダイナミックなものとなっています。


 この小学校を通り過ぎると再び幹線道路に戻ります。この交差点を右折し、南北に植えられたけやきの木々と自然の草花を両側に眺めながら進んでいくと、一つのことに気が付きます。それは、このまちには電柱が一本もないということです。電気はもちろんのこと水道・ガスはすべて地下に埋設されています。その上都会の方なら当たり前と思われるでしょうが、近隣3町はLPガスが供給されているのですが、このまちだけは都市ガスが供給されています。


 幹線道路をしばらくいくと左手には大型放射光施設SPring-8(写真1)が、右手には広大な空き地が見えてきます。この空き地ですが、実は兵庫県企業庁が研究開発産業用地(写真27)として19区画整備したもので、現在販売中のものです。問い合わせは兵庫県企業庁経営管理室までお願いします。この空き地の一番奥に巨大なクレーンがみえますが2区画をつかって現在兵庫県立粒子線治療センター(仮称)を建設中です(写真3)。

 人生80年時代を迎えて、医療のあり方としては、単に病気を治すだけでなく、治ったあとの生活や人間としての尊厳にも重点をおくことが求められています。それをふまえて死亡原因の第一位であるがんを撲滅するため、兵庫県では、全国に先駆けて昭和62年度から「ひょうご対がん戦略」を総合的に推進していますが、さらに、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ―生活の質)の確保に資するため、全国の自治体では初めてとなる粒子線治療施設の設置に向け、積極的に取り組んでいます。粒子線治療は放射線治療の一つで、治療効果をはじめQOLの面からも極めて優れた最先端の治療法として、今世界的に注目されています。SPring-8でのがんの診断など医学分野への応用開発が進めば、粒子線治療施設との連携によって、より微細ながんの早期の発見と治療が実現するものと大いに期待されています。現在は1階部分の躯体工事が終わったところで、平成12年度末に完成予定です。


 それでは、いよいよ大型放射光施設SPring-8に入ってみましょう。読者の皆さんは何回も入られたでしょうがまず最初に入場するには入口の警備の方の許可が必要です。受付をすまし、つきあたりまで進み三差路を左折するとすぐ右手に銀色のくるくると回る「8」のモニュメントがみえてきます。これが&高輝度光科学研究センターの入った管理棟です。読者の皆さんはSPring-8のことは、私達よりもご存知ですので中には入りません。この道をまっすぐ行くと左手に線型加速器棟がみえてきますがちょうどその後方に銀色を基調とした上部の青い線の建物が見えるでしょう。これが、ニュースバル(写真2)です。この施設ですが、姫路工業大学の付置研究所として平成6年度に姫路工業大学(書写キャンパス)に設置された、姫路工業大学高度産業科学技術研究所(高度研)が先端科学技術支援センターの2期部分完成後に同施設に移転する予定ですが、それに併せて附属研究施設として整備されています。

 高度研ですが、光科学技術を中心とした先端的科学技術の研究と共に、県下企業等との共同研究等による新産業技術基盤の創出をはかり、産業支援を行うことを目的としています。姫路工業大学の研究・教育活動を支えとして、科学技術の高度化にイニシアチブをとり、光科学技術のセンター・オブ・エクセレンスを目指しています。現在、「光科学技術」「電磁加速工学」「ビーム利用技術」の3講座を開設していますが、平成10年度には新たに「新素材開発」の1講座を開設する予定です。平成10年度秋には先端科学技術支援センターに同研究所が移転することから、ニュースバルと一体的な運営が可能となり、引き続き研究開発・産業支援を行います。

 ニュースバルは1.5GeVの電子蓄積リングです。入射器としては、大型放射光施設SPring-8の1.0GeVの線型加速器を利用します。特徴としては、蓄積リングが15mの直線部を2ヶ所もつユニークなレーストラック型をしていることです。ビームラインは8本建設する予定で、光微細加工、物質評価、創製、バイオ計測等の産業利用技術の研究に利用します。





 このまちの主要施設を来られた方の視点で各施設をみてきましたが、他にもユニークなイベントと私達の仕事について最後に少しご紹介したいと思います。


 まずイベントについてですが、デザインコンセプトに“時間とともに成長する森の中の都市”とあるように、このまちを整備するにあたってはできる限りありのままの自然を保全し、やむをえず整備する自然は必要最小限にとどめ、自然を最大限に取り入れたものにするなど都市の緑化に力を入れていますが、その中で少し変わった取り組みをしているのが、名付けて“どんぐり大作戦”です(写真29)。この主役は子供達です。秋になると、子供達に山の植生が変わらないように周辺地域でコナラ、クヌギなどのドングリを集めてもらい、それを播種して育った苗を法面に植樹してもらいます。今年5回目を迎えるこの行事もすっかり定着し、子供達も苗の生長を楽しみにしています。

 また、はじめての試みとして、周辺地域の各名所旧跡とこのまちを結ぶハイキングコース(散策路)を整備する計画をしています。全体構想としては、相生市・上郡町・新宮町・三日月町を各起点としてこのまちへ向かう4コースを検討中です。まず今年度は、相生市からのルート(瓜生羅漢から感状山城跡を経由して都市内へ)のハイキングコースに着手しており、秋には第1回ハイキング大会を実施する予定です。どうぞ皆さんもこぞってご参加ください。


 最後に私達の一番大切な仕事でもあります緑化計画についてですが、緑を①夏緑高林を主体に自然系の緑を保全、復元する「自然系の緑」②基本植生景観の緑をベースに季節感や彩りにより、まちの風景を馴染ませ、親しみを持たせる「都市と自然の調和した緑」③基本植生景観を背景に、都市中核の緑を際立たせ、対比させる「都市中核の緑」の3つのゾーンに分けます。各ゾーンについてそれぞれ2~5の地区に細分化し、既存の地形や植生を生かした地区わけをし、植物もそれに応じたものを保全し、既存の動植物に配慮した計画になっています。特に、①の中に桜の園地区を設け、4,600本以上の桜を植樹する計画もあり、実現されるとこのまちは桜の名所となるかもしれません。また、自然を保全していると、いままでいなかった又昔はいたが今は見なくなった動植物なども集まってくるそうで、それが成功すると鳥のささやき、虫の鳴き声が聞こえる「科学と自然そして人が共生するScience City」になることでしょう。そしてそれを実現することが、私たちの目標でもあるのです。





藤田 俊彦 FUJITA Toshihiko

(Vol.3, No.1, P9)


市橋 直樹 ICHIHASHI Naoki

兵庫県企業庁播磨科学公園都市建設局 まちづくり推進課

〒678-1201 兵庫県赤穂郡上郡町金出地1503-1

TEL:07915-8-1116 FAX:07915-8-0058


三井 紀子 MITSUI Noriko

兵庫県企業庁播磨科学公園都市建設局 まちづくり推進課

〒678-1201 兵庫県赤穂郡上郡町金出地1503-1

TEL:07915-8-1116 FAX:07915-8-0058



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794