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Volume 02, No.5 Pages 49 - 50

5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

アジアフォーラム報告
Report on the 3rd Asian Forum

水木純一郎 MIZUKI Jun'ichiro

日本原子力研究所 関西研究所 Kansai Research Establishment, JAERI

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 アジアフォーラムは、アジアの国々で稼働している、あるいは建設されている各施設間の情報を交換することにより、将来の共同研究、共同利用実験、国際協力等がスムースに行われることを目的として 1994年に神戸で第1回目が行われ、第2回目が1995年に韓国で開催された。

 今回は、第3回目ということもあり、これまでのような施設報告だけでなく、共同研究、協力研究を行うためにどのような壁があり、またそれを低くするための具体的な方策を議論することを計画して、JASRIと日本放射光学会の共同主催でSRI'97の最終日(8日)にSPring-8で参加者を拉致する形で始められた。

 参加者の国籍は、中国、韓国、タイ、ブラジル、オーストラリア、インド、スリランカ、台湾(政治的なことは抜きにしましょう)、そして日本で、参加者は総勢40名であった。8日は、夕方からWelcome Partyを催しそれぞれの親睦を深めることから始めることにした。ここで早速SPring-8の良さが発揮された。御存知のように8月1日にまちびらきがあったとはいえ、SPring-8からは数キロ離れたところに数件の店しかなく、二次会は全員研究交流施設、いわゆるゲストハウスのホールに集まることになり最後の人達は夜中の00:00を過ぎていたようであった。これでかなり打ち解けた話ができたようである。共同研究、国際協力研究は、なんのことはないこんなところから始まるのではないだろうか、と思わせるほど和気あいあいとしたものであった。

 

討論風景

 

 アジアフォーラムの本番は、9日8時45分から、新しく出来たばかりの中央管理棟の会議室で行われた。上坪放射光学会会長のopening addressから始められ、昼休みを挟み15:00まで15施設からの報告があった。当初は、この報告のなかに共同研究、国際協力に関して触れてもらおうと目論んでいたのであるが、一人15分しか持ち時間が無く、殆ど施設の紹介、計画の紹介で精一杯のようであった。後半の1時間15分程度の時間のパネルディスカッションで上記論点に関して意見を述べてもらった。まだまだ、アメリカやヨーロッパの放射光施設に比べて、アジアの各施設の情報が一般に取りにくいこと、何を計画するにも資金が必要なこと、その資金を確保するための方法などが話された。この中で、広島大学の谷口氏が、広島大学の外国人学生受け入れ計画を話され、積極的に外国人を受け入れる制度が出来つつあることを実績を示しながら話された。本フォーラムの前に上坪会長と話し合い、日本の各施設として共通に提案出来ることを探そうとしたのであるが、各施設、大学によって事情がまちまちであり、広島大学のようにそれぞれが出来ることを提案していくことが重要なようである。しかし、今回のフォーラムを前にして、放射光学会会長、及び行事委員で話し合い、アジア各施設のビームラインハンドブックを作ることを提案しようということになり、行事委員である八木直人氏からそのことの提案をしていただいた。これがことのほか皆さんの賛同、支持を受けた。アジア間での国際協力研究をすすめるためには、このような研究者の奉仕による地道な努力も政治的な働きに加えて必要であろう。最後に本フォーラムのchairpersonの一人である東大の太田氏によってclosing remarksがなされ、今後もアジア間での情報交換、本フォーラムの重要性を説かれ17:00に無事閉会となった。今回のアジアフォーラムが、共同研究、国際協力研究の地道な前進となったと信じて今後も続けられていくことを望む次第である。

 なお、今回のフォーラムは、日本放射光学会、及びJASRIの資金、人資源の提供のもと無事に終える事ができ、学会行事委員の皆さん、学会事務局の西野さん、貞安さん、JASRIの岡田さん、松平さん、横溝さん、山下さん、飯野さんに感謝してこの報告書を終わります。

 

上坪組織委員長のWelcome adressに聞き入る参加者

 

 

 

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro

(Vol.2, No.4, P23)

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794