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Volume 02, No.3 Pages 4 - 6

2. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

実験ホール内輸送チャンネルの建設状況(その4)
Present Construction Status of Transport Channels (No.4)

石川 哲也 SHIKAWA Tetsuya

日本原子力研究所・理化学研究所 大型放射光施設計画推進共同チーム 利用系グループ JAERI-RIKEN SPring-8 Project Team Experimental Group

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1.はじめに

 2月下旬に、蓄積リングと同時にBL47XU、BL02B1の2本のビームラインに関する放射線使用施設変更許可申請に係る運転前検査が行われ、3月初旬に運転許可が降り、3月中旬から蓄積リング運転を開始することとなった。

 検査合格によって、実験ホールに放射線管理区域が設定された。これ以後、実験ホール内で作業を行うためには、JASRIでの放射線作業従事者登録が必要となり、またカードリーダーによる入退出記録管理がなされるので、ステーション調整等で来所する利用者には、安全管理室が提示する手順・条件等を遵守して頂くことが必要となった。既にご存じのように、運転開始直後に電子ビームの蓄積が確認され、また3月26日にはBL02B1のフロントエンドのスクリーンモニターにより、偏向電磁石からの放射光が確認された。運転開始に伴って、実験ホール内での建設作業は一時中断され、週末・夜間等の運転停止時のみ実験ホール内での作業が可能な期間がしばらく続いた。この間にJASRI安全管理室により、実験ホール内の放射線レベルのサーベイが行われ、基準値以下であることが確認されたので、4月中旬以降、実験ホール内での調整作業が再開された。蓄積リングの調整運転は(少なくとも傍目には)順調に進み、4月23日にはBL47XUのフロントエンドのスクリーンモニターでアンジュレータ光を確認した。筆者が今までに見たPF、ARのアンジュレータ光と較べて遥かにビームサイズが絞れており、第三世代光源を実感させるものであった。

 一方で、平成7年度に発注された実験ステーション機器のいくつかは、4月末日に納入期日が設定されており、4月末からの蓄積リング運転停止時が納入のピークとなる。これから夏にかけて、大半の実験ステーション機器が納入され、秋の供用開始に向けての調整作業に入ることとなる。計測機器は建設サブグループからの要望を取り纏め、共同チームで調整作業を行った上で発注したが、これらも全数が既に納入されている。今後、共同チーム内で必要なデータを取った後に、各々の実験ステーションに配布される。前号まで、半ば定点観測として進行状況の写真を掲載してきたが、最近では殆ど定常的になってきたので、今後はトピックス的に写真を紹介する。今回は実験ステーションの進行状況も含めて供用開始に向けての準備状況を報告したい。

 

 

2.輸送チャンネルの現状と供用開始までの作業予定

(a)BL47XU

 輸送チャンネルとしては、放射線シールドハッチ、インターロック系を含めて完成し、輸送チャンネル制御系も形を為してきている。結晶光学素子の最終チェックが進められており、5月の連休明けにはビームラインに結晶を組み込み、実験ハッチまで光を通す予定でいる。6月中旬に予定されている放射線使用施設変更許可申請に対する運転時検査に合格すれば、6月下旬から本格的な運用が可能となる。前号でもお知らせした通り、実験ステーション機器は既に納入されているので、6月下旬から本格的な調整を行う。

 

図1 BL47XU

 

 

図2 BL47XUに設置された汎用実験架台

 

 

(b)BL02B1

 このビームラインも、ほぼ完成し結晶の組み込みを待っている。BL47XUと同様に、5月の連休明けには、実験ハッチまで光を通す予定でいる。6月中旬に予定されている放射線使用施設変更許可申請に対する運転時検査に合格すれば、6月下旬から本格的な運用が可能となる。

 結晶構造解析用回折計が納入され、据付調整およびソフトウェア動作試験が行われている。

 

図3 BL02B1

 

 

図4 BL02B1に設置された結晶構造解析用回折計

 

 

(c)BL01B1、BL41XU、BL09XU、BL45XU、BL04B1

 これらの輸送チャンネルの運転を行うための変更許可申請を4月中に行うべく努力してきたが、諸般の事情により若干遅れている。5月下旬から6月初旬にかけて運転許可を頂くための前提条件となる総合運転試験を自主検査として行う予定でいる。光学系の無い04B1と理研ビームラインである45XU以外の共用ビームラインの光学系調整は、47XU及び02B1が実験ステーション調整に入った時点で開始し、夏休みシャットダウン前には、実験ステーション機器調整を開始できる所まで持っていきたいと考えている。

 ステーション機器としては01B1のXAFS装置の実験架台が納入された。一般的な計測機器は既に揃っているので、実験ステーションに放射光が導入されればすぐに一般的なXAFS測定は可能となろう。41XUの蛋白用回折計も納入されたが、若干の追加が必要であり、夏前に完成させるべく努力している。09XUの回折計も納入されており、制御系との繋ぎ込みを待っている。45XUの実験装置も既に納入され、オフラインでの調整が進められている。04B1の高圧回折計も納入された。

 今後の予定は、運転許可取得日時の不確定要素はあるが、供用開始時には輸送チャンネル、実験ステーション共にかなり整備された状態となることが期待される。

 

図5 BL04B1

 

 

図6 BL04B1に設置された高圧X線回折装置

 

 

(d)BL08W、BL39XU、BL10XU、BL25SU、BL27SU、BL44B1

 これらのビームラインに関しては、フロントエンド・挿入光源・輸送チャンネルの設置工事が夏休み以降に行われる。このための監督官庁への許可申請の準備が進められている。27SUを除いて、9月には総合運転試験を行い、引き続き光学系調整を行い、供用開始からあまり遅れることなく実験ステーション機器調整作業に入れることを期待している。輸送チャンネルコンポーネントは、27SU分以外は殆どの物が既に納入されている。27SUは、昨年度にCVDブランチの輸送チャンネルコンポーネントの発注作業を終了し、夏以降にこの部分の組み上げを開始する。光化学ブランチの高分解能分光器は漸く仕様が固まりつつあり、本年度発注作業を行う予定である。

 ステーション機器としては、08Wのクライオスタット、39XUの分析装置、10XUの高圧回折装置、25SUの高分解能電子分光器などが既に納入され、オフライン試験を始めつつある。

 

図7 BL25SUビームライン設置工事風景

 

 

3.おわりに

 蓄積リングの調整が極めて順調に進み、ビームラインに光を導入する時が近づいてきた。物事の変化のスピードがどんどん上がっており、2カ月に1度の本誌ではストロボ的な情報伝達しかできないのが残念である。ストロボの間を埋めようと試みる読者は是非SPring-8のWWWサイト(http://www.spring8.or.jp/)にアクセスして頂きたい。

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794