Volume 01, No.1 Pages 34 - 35
7. 専用ビームライン/CONTRACT BEAMLINE
専用施設の設置及び利用に関する基本的考え方
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諮問委員会では、かねてより財団法人高輝度光科学研究センター会長からの諮問を受けて「専用施設の設置及び利用に関する基本的考え方」について、専門委員会である専用施設検討委員会を設置し、検討、審議を重ねてきました。この専門委員会における検討結果がまとまり、第4回諮問委員会(平成7年12月1日)においてその内容を審議し、結論を得るに至ったので、以下に紹介します。
専用施設の設置及び利用に関する基本的考え方について
「特定放射光施設の共用の促進に関する法律(平成6年法律第78号)」及び同法第4条第1項の規定に基づく「特定放射光施設の共用の促進に関する基本的な方針」に基づき、放射光利用研究促進機構(以下「機構」という)は専用施設計画の募集、選定を、国内外のあらゆる利用者、全ての研究分野に対して、透明な手続きにより公平な機会が提供されるように配慮して実施する。また、応募のあった提案については、総合的、専門的に検討評価して選定を実施する。
1.公平な提案機会の確保
(1) | 専用施設の設置提案は公募する。そのため、公募案内の記事を関連する学会誌、科学技術雑誌等へ定期的に掲載し、広く国内外に周知させる。 | |
(2) | 必要に応じて、設置提案希望者に対し、技術的な情報の提供あるいはその他の相談への対応をインターネット等の適切な手段を用いて行う。 | |
(3) | 提案は随時受け付けることとし、専用施設検討委員会において次の2段階の審査を実施する。 | |
① | 専用施設設置計画趣意書 | |
計画の科学的及び技術的内容、ビームラインを専用とする必要性等について | ||
② | 専用施設設置実行計画書 | |
予算計画を含む専用施設の建設計画、利用計画、施設の維持管理計画ならびに安全管理計画等について。この段階では提案者と機構との協議による計画の修正があり得る。 |
2.専用施設設置計画受け入れの基準
専用施設設置計画の審査は専用施設検討委員会で行い、広範な分野からの提案を次の基準に沿って総合的、専門的に検討評価する。
(1) | 科学技術的妥当性 |
① 計画の先端性及び計画を含む科学技術分野の発展性 | |
② 期待される研究成果の基礎的分野、基盤的技術開発分野への貢献度 | |
③ 期待される研究成果の産業基盤技術としての重要性及び発展性 | |
④ 研究課題の社会的意義、社会経済への寄与度 | |
(2) | 研究手段としてのSPring-8の必要性 |
(3) | 計画の技術的な実施可能性 |
(4) | 専用とする必要性及び施設の建設、維持管理能力等 |
(5) | 実験内容の安全性 |
加えて、以下に配慮する。 | |
(1) | 国外から提案される計画については、科学的及び技術的な内容に加え、政府間の科学技術協力協定等の枠組みを踏まえた上で計画内容を検討する。 |
(2) | 施設の設置については、設置可能なビームライン数、設置の形態、利用分野、利用技術等を考慮して、効率良くかつ積極的に計画を受け入れるよう努める。 |
3.専用施設の設置及び運転
(1) | 専用施設の設置は、設置者と機構との間で締結する取り決めに基づき、設計、建設、性能評価等の各段階について設置者が責任をもつ。ただし、挿入光源の建設については加速器への影響を考慮し、挿入光源の設計概念について設置者は機構とあらかじめ協議を行い、機構の指示のもとに建設する。 |
(2) | 専用施設の基幹チャンネル、制御系及び安全管理系の建設、製作は、機構によって示される標準規格等に従い、機構の指導、協力のもとに設置者が実施する。 |
(3) | 専用施設の設置に伴う放射線障害防止法上の使用許可変更申請は、機構の責任において行う。 |
(4) | 専用施設の運転は機構の指示に従うとともに、専用施設の利用に際しては機構が定める「大型放射光施設放射線障害予防規程」等に従う。 |
4.利用状況の評価及び専用施設の更新、撤去
(1) | 利用研究課題の先端性、実験技術としての専用施設の高機能性等を確保することが重要である。ビームラインは設置可能な数が限定されていることから、専用施設の利用計画に一定の期限を設けるとともに、建設された専用施設は利用状況を機構が定期的に評価することにより必要に応じて、専用施設の改善、更新、撤去等を勧告することができる。 |
(2) | 機構は別に定める取り決めに従って、設置者から専用施設の現状及び利用状況についての報告を求めることができる。 |
5.その他
(1) | 設置者は専用施設の内容に応じ、ビームタイムの一定の割合を機構に提供する。 |
(2) | 機構が外部利用者の研究を支援するための分析、解析技術を提供するような方策を検討する必要がある。 |
(3) | 利用料に関する考え方等については今後別途定めることとする。 |
(4) | 機構と設置者の間の取り決め事項については今後別途定める。 |