ページトップへ戻る

Volume 23, No.2 Pages 129 - 130

3. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

2018年度に指定期間が延長されたパートナーユーザーの紹介
The Duration of the Designation Period of Partner Users Extended in FY2018

(公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI

pdfDownload PDF (268 KB)
SPring-8

 

 2013年度まで運用していた「パワーユーザー」制度について、2014年度より名称および一部運用を変更し、「パートナーユーザー」(以下「PU」という)として運用を開始しました。2018年度は、2名の指定期間延長申請があり、PU審査委員会による審査の結果、2名の指定期間が延長されました。延長されたPUおよびPU審査委員会からの審査結果を以下に示します。

 

 

PUの概要

・PUは、2013年度までの「パワーユーザー」の名称および一部運用を変更したもの。

・2014年度以降のPUは、共用ビームラインおよび測定技術を熟知し、放射光科学・技術の学術分野の開拓が期待できる研究者で、
1)ビームライン実験設備の開発および高度化への協力
2)上記高度化等に関連した、先導的な放射光利用の実施および当該利用分野の拡大・推進
3)上記高度化等に関連した利用者支援
のいずれも満たすユーザーを指す。

・PUの指定期間は原則2年間(PU審査委員会が必要と認めた場合には延長可。最長5年間)。

 

[延長指定されたPU]
1. 佐々木 孝彦(東北大学)

(1)延長後の指定期間
 2015年12月2日に指定した期間(2016A期から2017B期までの2年間)を、2016A期から2019B期までの4年間に延長する。

(2)実施内容
 研究テーマ:放射光赤外顕微分光による強相関電子系分子性物質の電荷ダイナミクスの研究
 高度化:赤外ビームラインの整備と先導的活用
 利用研究支援:当該装置を用いた利用実験の支援

(3)ビームライン:BL43IR

(4)審査コメント
 本課題は、BL43IRのBL高度化プロジェクトと協調して、(1)赤外顕微ステーションでの微小領域赤外分光とその二次元空間走査による電子状態の空間イメージング測定の向上による高空間分解能・高精度化とその利用研究の促進と、(2)磁気光学ステーションの優位性を活かす低エネルギー領域への分光領域拡張と安定利用への標準化を行うことを目的として実施された。
 その結果として、(1)については、試料ステージの高剛性化、偏光子挿入位置の変更により微小試料について安定的に再現性よい実験を可能にした。本ステーションは、主たる測定手法ではないが、有機伝導体の電荷グラスの発見にも利用された。(2)については、長期的に稼働休止状態にあった磁気光学ステーションの再整備、調整、改良を行い、中赤外光領域では実験に必要な光強度を得られるようにし、ビームライン担当者の支援のもとでユーザー利用が可能なレベルに整備を完了するなどの成果を上げた。またユーザー拡大の努力を行い、本装置を利用する共同利用3課題を集め、そのうち一課題は黒燐のランダウ準位の観測結果を得るなど、ユーザー獲得にも努力している。
 一方、(1)については、調整過程の複雑さが予想されたため、計画にあげたアパチャー挿入と光学調整の標準化は実施せず、(2)については、遠赤外領域への拡張のため、検出器や光学窓の変更や光学調整を行ったが、遠赤外光域では光量が足りないため実験が難しいことが判明するなど、課題も明確になった。
 これまでの活動により得られたビームライン高度化に対する課題を踏まえて、(延長1)赤外顕微偏光分光における微小試料、微小領域に対する遠赤外領域測定の安定化・高精度化、(延長2)磁気光学ステーションの安定利用・標準化と光強度増強にむけた光学系改修、をビームラインの高度化として進め、高度化された装置の利用により強相関電子系分子性物質に特徴的な電荷ダイナミクス解明を推し進めることを目指して延長申請の応募があった。
 委員会としては、実施されたPU活動を評価し、延長期間における実施計画を妥当と考え、延長を承認する。(延長1)については、引き続き高度化を進め、装置の特徴を活かした先端研究を進めていただきたい。一方、(延長2)の遠赤外領域への拡張については、ビームライン全体の抜本的な改修が必要かも知れず、PU活動の範疇を超える懸念があるため、担当者と相談しながら計画を進めていただきたい。また、装置の特徴から急激にユーザーが増えることはないと思われるが、これまで同様にユーザー開拓もお願いしたい。


2. Bo Iversen(University of Aarhus)
(1)延長後の指定期間
 2015年12月2日に指定した期間(2014A期から2017B期までの4年間)を、2014A期から2018B期までの5年間に延長する。

(2)実施内容
 研究テーマ:Application of synchrotron radiation in materials crystallography
 高度化:構造ダイナミクス分析基盤整備と先導的活用
 利用研究支援:当該装置を用いた利用実験の支援

(3)ビームライン:BL02B1

(4)審査コメント
 This project sets three goals. 1) Establishment of accurate data collection system and its application to novel materials. 2) Development of time-resolved data collection system for precise structural analysis at charge density level. 3) Improvement of the usability of the system for users. Two years ago the review committee appreciated good achievements on the abovementioned points 1) and 3). On the point 2), the committee proposed to make an optional plan for developing the time-resolved x-ray diffraction. The committee also requested to pay more attention to outreach activities.
 The committee also esteems recent two-year activities of this group. The collaboration between the four subgroups has strengthened the bilateral network in the crystallography between Denmark and Japan. The reversal of the electric polarization in a typical ferroelectric BaTiO3 was successfully observed in the time-domain of a time resolution of micro-seconds. Picosecond crystallography of a typical piezoelectric quartz was performed to clarify the atomic oscillations. On the other hand, the committee is not yet satisfied with the outreach activities of this group.
 The committee approves another year extension of this partner-user program, because the extension will be useful for the development of diffraction measurement techniques by using a newly-introduced CdTe detector. The committee strongly recommends that the group helps evaluation of the detector through data analysis at the charge density level. Moreover, the high x-ray diffraction technology developed by the PU group should be more widely applied to the researches of many groups. The committee expects the outreach activities of the PU group.

 

 

以 上

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794