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Volume 22, No.4 Pages 364 - 365

3. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

2017B期 採択「新分野創成利用」研究グループの紹介
2017B Newly Approved Research Groups for SPring-8 Epoch-Making Initiatives Projects

(公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI

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SPring-8

 

 2015B期より「新分野創成利用」の運用を開始しています。この利用は、SPring-8の利用研究成果創出を質的・量的に飛躍させるために、既存の研究分野の枠を超えた複合・融合領域等における未踏分野の開拓・創成およびそれに伴う利用の裾野を拡大することを目的としています。公募は、SPring-8で未踏分野の研究を展開しようとする研究グループ(構成は以下の図のとおり)を対象とします。採択されたグループは、代表責任者の裁量により有効期間(2年間)内に各分担責任者が複数ビームラインで「新分野創成利用課題」を実施することも可能となり、またビームタイムも認められた範囲内で期ごとに任意に配分(但し審査あり)することができます。

 

 

 

 2017B期は、1グループの応募があり、新分野創成利用審査委員会による審査の結果、採択されました。採択されたグループおよび新分野創成利用審査委員会からの審査結果を以下に示します。

 

[有効期間]
 2017B期から2019A期までの2年間

 

[採択された研究グループ]
 代表責任者(所属):小野輝男(京都大学)
 ・分担責任者1(所属、利用BL):壬生攻(名古屋工業大学、BL08W、BL09XU)
 ・分担責任者2(所属、利用BL):千葉大地(東京大学、BL17SU、BL25SU、BL39XU)
 ・分担責任者3(所属、利用BL):岡本聡(東北大学、BL25SU、BL39XU)
 ・分担責任者4(所属、利用BL):水口将輝(東北大学、BL09XU、BL13XU、BL25SU、BL47XU)
 ※利用BLは、採択時(2017B期)のものを示す。2018A期以降は、実験計画の進捗状況に応じ変遷する。

 

[プロジェクト名]
 ナノスケール実スピンデバイス開発に向けた新しい放射光利用

 

[審査コメント]
〇新分野創成の見込み
 本提案は、2015B期選定(2015B期~2017A期実施)のプロジェクト「ナノスケール実スピンデバイス開発に向けた新しい放射光利用」(代表責任者:大野英男東北大学教授)を第1期と位置づけ、第2期の継続プロジェクトとして申請されており、前プロジェクトに残された、(1)相互の技術利用/提供、(2)技術開発の未達成の課題の解決と進展を目指し、分担責任体制を見直し強化、各テーマの深化と横の連携を図るスキームとなっている。当該分野は、今も発展途上にあり、スピン流デバイス、電界誘起スピン制御、反強磁性スピントロニクス、スキルミオンなど、新しいサイエンスが次々に登場しているホットな領域であり続けていることを考慮し、本提案は「新分野創成」の見込みがあると判断した。

〇申請グループ構成の新規性
 前プロジェクトのメンバー構成を再検討・再構成し、代表責任者:小野輝男のもと、ミクロ磁性(分担責任者:壬生攻)、電界誘起物性(分担責任者:千葉大地)、超高速ダイナミクス(分担責任者:岡本聡)、電子構造・結晶構造解析(分担責任者:水口将輝)の4チーム構成としたことは、本提案の趣旨を実行に移すためにおおむね妥当な構成である。

〇研究の持続的発展性
 先に述べたように、当該分野は発展途上にあり、放射光利用によって電界誘起磁気異方性の機構解明により超低消費電力デバイスの実現、超高速ダイナミクスの解明により高周波デバイスの実現など、さらなる持続的発展が期待される。

〇研究計画の実行性・妥当性
 構成メンバーは、第1期プロジェクトでの実績をもち、それを発展する形で計画されている。特に、実デバイスにおける単一原子層以下の界面構造における磁化のダイナミクスや、実素子構造での電界誘起オペランド計測などの課題が計画されており、おおむね妥当と判断される。

〇総合評価
 以上、各項目を総合的に判断して、本提案は、「新分野創成利用」における「グループ利用による効率的な研究遂行」の趣旨に合致したものであり、グループ構成、研究計画もおおむね妥当で、今後の持続的発展が可能であると認められ、採択するに相応であると判断する。

●代表責任者へのコメント
 新学術領域メンバー・特別推進研究代表者等との対話の機会を通じて、若手研究者の参画を進めることで、さらなる新規性を目指していただきたい。また、構成メンバーのミーティングの機会を増やし、グループ内の相互理解と、相互連携を盛んにしてほしい。

以 上

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794