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Volume 21, No.3 Pages 198 - 203

2. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

「重点グリーン/ライフ・イノベーション推進領域」及び「スマート放射光活用イノベーション戦略推進領域」に関わるワークショップと総括報告書について
The Workshop and the Reviewing Report on Green/Life Innovation Proposals and SR Smart Innovation Proposals

(公財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門/利用推進部/研究調整部 Research & Utilization Division / User Administration Division / Research Coordination Division, JASRI

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SPring-8

 

 大型放射光施設SPring-8では、「新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~」(2010年6月18日閣議決定)に呼応する形で、2011B期より共用ビームライン重点研究課題において「重点グリーン/ライフ・イノベーション推進領域」を指定し、SPring-8での利活用の重点的支援を行い、我が国におけるグリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略、ライフ・イノベーションによる健康大国戦略に応えて参りました。
 本領域指定は2013B期を以って終了しましたが、引き続き、総合科学技術会議で策定された「科学技術イノベーション総合戦略~新次元日本創造への挑戦~」(2013年6月7日閣議決定)を踏まえ、2014A期から2015B期までの間、「スマート放射光活用イノベーション戦略推進領域」を指定し、継続的な運用を行って参りました。
 同領域指定の終了を期に2016年6月7日(火)、京都駅前のキャンパスプラザ京都において、第4回SPring-8先端利用技術ワークショップ「明日(あす)をひらくSPring-8発イノベーション」を開催し、続けて、イノベーション戦略推進課題総括委員会において、これらの重点研究課題の実施についての総括の議論が行われました。ここでは、そのワークショップの内容、及び総括委員会の報告を紹介いたします。

 

 

 

 

 

第4回SPring-8先端利用技術ワークショップ
-明日(あす)をひらくSPring-8発イノベーション-

 

公益財団法人高輝度光科学研究センター
利用推進部 普及啓発課

 

1. はじめに
 2016年6月7日(火)にキャンパスプラザ京都(京都市下京区)(写真1)において、第4回SPring-8先端利用技術ワークショップ「明日(あす)をひらくSPring-8発イノベーション」を、(公財)高輝度光科学研究センター(以下、JASRI)の主催により開催致しました。

 

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写真1 キャンパスプラザ京都

 

 

 冒頭、JASRIの土肥義治理事長より開催の挨拶がありました。その中で、SPring-8は科学技術会議の中期計画で位置付けられた「科学技術イノベーション」に呼応して、グリーン/ライフイノベーション分野で戦略的重点領域を設け、4年間サポートしてきたこと、本ワークショップはその研究成果報告会であることの説明がありました。
 続いて鈴木昌世研究調整部長より「イノベーション戦略推進課題と本会合の趣旨」について説明がありました。重点グリーン/ライフイノベーション推進領域課題(2011B期~2013B期)およびスマート放射光活用イノベーション戦略推進領域課題(2014A期~2015B期)についての目的や位置付けといった経緯の他、それぞれの課題の審査基準や採択率などの詳しい説明がありました。

 

 

2.ワークショップ
 プログラムは、前半「ライフイノベーション(メディカル、バイオ分野)」、後半「グリーンイノベーション(産業、基礎科学)」の2つのセッションで構成され、それぞれユーザーによる研究事例を紹介する形を基本として行われました(写真2)。

 

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写真2 ワークショップの様子

 

 

 前半の「ライフイノベーション(メディカル、バイオ分野)」のセッションでは、冒頭にJASRI八木直人タンパク質結晶解析推進室長より、課題選定委員として挨拶がありました。その中で、課題選定については分科会で行い、今回のワークショップでは4年間で得られた成果の中で代表的なものを選択したとの説明がありました。
 最初に大阪大学の望月秀樹教授により、「パーキンソン病の発症の鍵を握るレビー小体の放射光赤外分光」と題して報告がありました。ご講演では、まず手の震えなどパーキンソン病の特異な症状についての説明がありました。原因はドーパミン神経細胞(メラニン)の減少によるレビー小体の蓄積であることは解っていましたが、そのメカニズムについては解明されていませんでした。そこで、鍵となるタンパク質のα-シヌクレインの構造解析をSPring-8 BL40B2の小角散乱法(SAXS)を用いて行った結果、構造を持たない単量体であることが解りました。また、ヒトの脳の中のレビー小体の構造を分光(BL43IRのFT-IR顕微鏡)を用いて調べた結果、レビー小体は中心部と周囲部(ハロー部)では異なる構造をとることが解ったとの報告がありました。
 次に国立循環器病研究センターの白井幹康先生からは「心臓血管の病態および再生研究における放射光の活用」と題してご講演を頂きました。
 始めにBL28B2で行った微小血管造影法およびBL40XUで行った心筋X線回折法の特徴や利点についての説明がありました。その応用例としてまず「糖尿病による冠血管・心筋障害の初期病態の検出とその治療」について、初期糖尿病ラットの心臓血管造影(収縮・拡張)像から、心臓全体としては正常に機能しているものの血管分岐部などローカルには異常が認められたとの報告がありました。従って進行した糖尿病ラットでは異常が部分から全体に広がっていくことが推測されました。次に心筋X線回折法の応用例として同じく初期糖尿病ラットの心筋の内側と外側で比較したところ、差異が検出され異常が認められたとのことでした。さらに、再生医療への応用として、心筋梗塞を起こしたラットの心筋にiPS細胞を移植したものからX線回折像を記録したところiPS細胞を移植した心筋が正常に働いていることが確認でき、筋芽細胞シート移植の有効性についても同じく良好な結果を得たとの報告がありました。そして近い将来、微小血管造影法と心筋X線回折法の結果を組み合わせることで重難病治療が期待できるとの展望を述べられました。
 神戸赤十字病院の築部卓郎先生からは「位相コントラストCT法によるヒト大動脈および心臓の構造研究」と題してご講演を頂きました。ご講演ではBL20B2での位相コントラストCT法の特徴に触れた後、緊急手術で多い急性大動脈解離の発症とその原因究明について報告がなされました。まず、大動脈解離は予兆がなくいつ起こるか分からない病気であり、予防のしようがないとの説明がありました。大動脈解離は内膜→中膜→外膜が次々と裂けることで出血死に至るわけですが、なぜそのようなことが予兆もなく起こるのかが解っていませんでした。そこで大動脈解離発症の予知の必要性から研究を始めた経緯の説明がありました。病理学的には大動脈解離は中膜内の外側に起こることが指摘されていたため、その部分をBL20B2の位相コントラストCT法を用いて観察した結果、正常な中膜では密度が均一なのに対して解離を起こしている中膜は未だ裂けていない部分でも密度に不均一性が認められました。将来的には中膜の密度を観測することで今まで予知できなかった大動脈疾患の治療体系にイノベーションをもたらすとの結論を頂きました。
 休憩・昼食を挟んで後半の「グリーンイノベーション(産業、基礎科学)」のセッションでは、始めに大阪大学の高尾正敏先生より、課題選定委員として挨拶がありました。その中で課題選定は、実現が遠そうな課題やあまりにも基礎的な課題は一般課題の審査に回したとの説明がありました。
 後半最初は「超高速・超低消費電力ICTの実現に向けた二次元電子系デバイスのオペランド顕微分光」と題して東北大学の吹留博一先生からご講演を頂きました。ご講演では、現在の情報通信分野では情報通信量が激増しており未使用の高周波数帯域(テラヘルツギャップ)の開拓が必要となっているとの現状報告がありました。そして未使用の高周波数帯域の開拓に向けてグラフェンや窒化ガリウムに着目し、HEMT(High Electron Mobility Transistor)の開発を行っているが、デバイス化した時点で期待された性能が発揮されないという問題を抱えているとの説明がありました。その原因としては寄生抵抗(半導体自身の抵抗)がデバイス特性を劣化させていると考えられるため、現在、BL17SUならびにBL25SUにおいて開発したオペランドX線顕微分光装置を用いてデバイスの電子状態を局所的に調べているとのことでした。
 続いて(株)カネカの辻良太郎先生からは、「有機ラジカル二次電池の電極非破壊断面観察と高性能化検討」というテーマでご講演を頂きました。最初にレアメタル不要のリチウムイオン電池としてTOT(トリオキソトリアンギュレン構造体)に注目しており、導電性の高いCNT(カーボンナノチューブ)を混ぜて電極を開発しているとの説明がありました。問題は、この電極を使って充放電を繰り返すと数十回程度で電池容量が1/6に減ってしまうことでした。原因としては充放電に伴うTOTの化学的・物理的変化、TOT/CNTコンポジットの界面状態変化・構造変化などが考えられたため、これを非破壊で観察する目的でBL20XUのマイクロCTを使用したとの経緯説明がありました。観察の結果、充放電前の電極ではCNT結晶が均一に分布しているのに対し、充放電後ではCNTの結晶はなくなり電極がアモルファス状になっていることが解りました。このアモルファス状になる原因は充放電により結晶が崩れてTOT同士の相互作用が外れてしまうことによると推測されたため、これを防ぐ目的で試しにLi(リチウム)をドープしたグラファイトを使ったところ良好な充放電特性が得られたとの報告がありました。
 大阪府立大学の牧浦理恵先生からは、「分子の界面積み木細工による高配向性ナノシート結晶の創製-微小角X線回折法によるナノシート構造解析とナノヘテロジャンクション光電変換素子への展開-」と題してご講演を頂きました。ご講演では有機多孔性材料の特徴と応用についての説明の後、現在多孔性ナノシート、配向高分子ナノシートなど、優れた機能を持つナノシートを気液界面で作製し、フリースタンディングの有機薄膜を設計しているとの説明がありました。その膜の構造を評価するためにSPring-8 BL13XUのX線回折(GIXRD)が役に立っており、構造解析の結果、ナノシートは多孔質のハニカム構造で、シートに垂直な方向には分子が積層したπ電子カラムが形成されていること、また耐熱性や膜厚の均一性においても優れた特徴が見出され、将来的には分子の種類を変更することで、より高効率な光電変換素子を目指したいとの報告がありました。
 京都大学の高谷光先生からは、「放射光XAFSで観るレアメタルフリークロスカップリング反応」と題してご講演を頂きました。最初にクロスカップリングの概要説明と液晶などへの応用例について説明がありました。SPring-8を使うようになった経緯は、従来のプラチナなど貴金属を含む金属錯体触媒に代わって資源の豊富な鉄錯体触媒が注目されているが、常磁性を示すため従来からのNMRを用いた反応機構研究は困難になったことの説明がありました。そこで磁性に影響されず測定対象元素の酸化数や幾何構造を決定することのできるX線吸収分光(XAS)に注目し、大型放射光施設SPring-8 BL27SUの強力なX線を利用した溶液XAFS(XAFS: X-ray Absorption Fine Structure)測定などによる鉄クロスカップリングの反応機構研究を行ったとのことでした。測定の結果、鉄ホスフィン錯体を触媒とする熊田-玉尾-Corriu型クロスカップリング反応の触媒中間体の同定と溶液構造決定に成功し、Kochiらの発見から45年以上議論の続いている鉄クロスカップリング反応について、直接証拠に基づく新機構の提案を行ったとの報告がありました。
 最後は、「ナトリウムイオン電池の開発と蓄電イノベーション」と題して東京理科大学の駒場慎一教授よりご講演を頂きました。ご講演では、リチウムが資源的にわずかしか存在しないことから近年ナトリウムイオン電池に注目が集まっていることが報告された他、負電極にはアルミ箔を使用可能などリチウムイオン電池に対する利点の説明がありました。開発の鍵は電極のナトリウムイオンを取り巻く組成変化、結晶構造転移、電解液との界面における電子状態など電極で何が起こっているかの解明であることから、それらをBL02B2、BL04B2を使って調べたとのことでした。測定の結果、高電位正極材料の容量劣化原因が充放電に伴う大きな体積変化に因ることをつきとめ、異種元素置換によって容量劣化の抑制に成功したことなど報告がなされました。その他カリウム電池についても興味深い紹介がありました。
 休憩を挟んで「SPring-8の利用制度について」として、JASRI木下豊彦利用推進部長より、SPring-8の利用制度全般、応募方法、課題審査についての説明が行われました。その後大阪大学の高尾正敏先生の司会で「総合討論」が行われました。ポイントを「重点化領域を設定して良かったかどうか」に絞って参加者に意見を聞いたところ、「SPring-8を使うきっかけができたので良かった」また、「重点化の領域も絞り過ぎておらず丁度良かった」との意見があった一方で、複数のビームラインを横断的に使えるようにして欲しいなど要望も出されました。また、医学応用面では今回SPring-8を使った結果を学会で発表したところ多くの反響を頂いたとのご報告も頂きました。

 

 

3.おわりに
 今回のワークショップでは産業、基礎科学、メディカル、バイオ分野から放射光を使った多くの事例が報告された上、質疑応答・討論も活発に行われ、極めて有意義な会議となりました。今回のワークショップにおける皆さまのご意見などを参考にしつつ、引き続き放射光の普及啓発に係るイベントを企画して参りたいと考えております。


(公財)高輝度光科学研究センター
利用推進部 普及啓発課
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL : 0791-58-2785
e-mail : kouhou@spring8.or.jp

 

 

 

 

 

「重点グリーン/ライフ・イノベーション推進領域」及び
「スマート放射光活用イノベーション戦略推進領域」総括報告書

 

イノベーション戦略推進課題総括委員会
委員長 高尾 正敏

 

1. はじめに
 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(共用促進法)に基づく、登録施設利用促進機関である公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)は、2011B期から、「重点グリーン/ライフ・イノベーション推進領域」、続いて2014A期からは「スマート放射光活用イノベーション戦略推進領域」を重点領域課題として指定し、約4年半に渡って、広範な分野におけるイノベーション推進に係る研究を戦略的に支援してきた。これら2つの領域の概要、目的は下記の通りである。

 1)重点グリーン/ライフ・イノベーション推進領域では、環境・エネルギーや医療・介護・健康等に係わる問題に先導して取り組み、イノベーション実現により我が国の競争力強化の礎となる新産業・新学術の創成・育成・発展を支援する。なお、指定された期間は、2011B期から2013B期まで。

 2)スマート放射光活用イノベーション戦略推進領域では、科学技術イノベーション総合戦略に掲げられた5つの課題(クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現、国際社会の先駆けとなる健康長寿社会の実現等)の解決に先導して取り組む。なお、指定された期間は、2014A期から2015B期まで。

 なお、かつてJASRIが重点領域に指定した「重点ナノテクノロジー支援」は、国からの予算支援に基づく取組であったが、これらの2つの重点領域は、それとは異なり、国の新成長戦略や科学技術イノベーション総合戦略の趣旨等も踏まえ、JASRIの独自の取組によるものである。
 本委員会では、これらの重点領域について、その研究成果やJASRIの施策について総括するとともに、今後のSPring-8を用いた研究戦略への指針の検討に資するよう提言を行うものである。

 

 

2. 研究成果の評価
 重点グリーン/ライフ・イノベーション推進領域においては、応募313課題に対し125課題が、スマート放射光活用イノベーション戦略推進領域においては、応募116課題に対し61課題が採択されており、これら2つを合わせて、計186件の課題が実施された。
 利用成果については、Science、Natureを含め、計144報(平成28年5月時点)がJASRIのデータベースに登録されており、一般課題と比較しても多くの利用成果があげられていることが評価できる。
 特に、大阪大学の望月教授によるパーキンソン病の発症の鍵を握るレビー小体の放射光赤外分光や、(株)カネカの辻研究員による有機ラジカル二次電池の電極非破壊断面観察などは、これらの重点領域の意義が充分に活かされ、SPring-8におけるイノベーションの創出に貢献された研究の成果である。
 また、国際競争力の観点からは、これらの重点領域において、海外からの利用(特に測定サンプルの取扱いや管理に注意を要する動物実験を含む)があることは、現在、世界中で新設され、またアップグレードが進められている放射光施設の中でもSPring-8の優位性が示された例と言えるであろう。

 

 

3. 施策の評価
 本来、イノベーション推進に係る研究とは、試行的な研究、チャレンジングな研究から生み出されるものであり、SPring-8の利用申請の段階においては、測定の結果を探ること自身が課題であるような、予め利用成果を具体的に想定しにくいものである。
 一般課題への申請の際には、研究の意義、目的は当然のこと、期待される成果の他、ビームライン選定の理由、測定手法、ビームタイム算出等根拠などの詳細な記述が必要であり、イノベーションに繋がるアイデアを持ちながらも、SPring-8に不慣れな研究者に対しては、その敷居を高くし、ひいては、成果創出の時機を逸することが危惧される。
 これらの2つの重点領域では、一般課題の審査の前に予め一定のビームタイム枠を確保しつつ、一般課題の審査基準の他に、“イノベーションとしての必要性・重要性”の観点も踏まえ、課題を選定してきた。
 具体的な測定手法や実験計画が多少不明確であっても、得られそうな成果にポイントを置き、JASRIスタッフによる支援の結果、優れた利用成果をあげている課題もある。これらの重点領域は、SPring-8において、従来の一般課題の枠では採択に至らなかったであろう新奇な研究を展開させるに充分に機能したと言える。
 なお、これらの重点領域で採択され、SPring-8での研究が進展した場合は、一般課題に移行するべきであり、一定の役割を担いつつ、期間が4年半で終了したことも適当である。

 

 

4. 今後の施策への提言等
 共用促進法に基づき、SPring-8を広く共用していく一方で、全く新しい利用分野の開拓も進めるためには、その時節に合った社会的意義、新規性を重視した研究を、如何にSPring-8に取り込んでいくかが重要である。
 そのためには、JASRIが科学技術基本計画や、国の政策、イノベーション総合戦略等を充分に理解し、まずは、国の大型研究プロジェクト等に関わる研究者、企業の技術者にSPring-8の周知を図り、新規のユーザー層を広げることが第一である。
 次いで、SPring-8の利用に繋げるためには、JASRIスタッフによる利用申請前の相談、コーディネーションの段階で、将来の成果を見極めつつ、ビームラインの選択、測定手法、試料周りも含めた具体的な議論を行うことが有効であると考える。
 利用課題制度においても、研究の目的や社会的意義を重視し、イノベーションの創出に不可欠な自由な発想に基づく研究であっても採択されるような制度の検討が必要である。その際には、例えば、JASRIが平成15年~17年に実施したトライアルユース制度が、産業界における放射光の新規利用拡大に有効であったように、新たなイノベーション創出に特化した新たな枠の設置や、利用後の査読付論文の登録がSPring-8の敷居を高くする要因にならないよう、一定の配慮も必要と思われる。
 さらに、プロジェクト型研究では、「課題まるごと解決」を目指して、複数のビームラインや計測装置を一括して申請し、利活用できるなどの仕組みの整備が必要である。

 

 

5. 終わりに
 「重点グリーン/ライフ・イノベーション推進領域」、「スマート放射光活用イノベーション戦略推進領域」は、国の政策に基づき、4年半に渡って実施し、SPring-8でしかなし得なかった利用成果の創出に寄与してきた。
 今後とも、SPring-8が我が国における研究開発の強力なツールとなり続け、科学技術立国としての先端産業の発展に貢献することが期待される。

 

 

6. イノベーション戦略推進課題総括委員会について
(1)委員(50音順、○:委員長)
  梶谷 文彦 川崎医科大学/川崎医療福祉大学
  木村  滋 公益財団法人高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門
  白井 幹康 国立循環器病研究センター 肺高血圧症先端医学研究部
  壽榮松宏仁 国立大学法人東京大学

○高尾 正敏 国立大学法人大阪大学 経営企画オフィス

  藤原明比古 関西学院大学 理工学部
  村上 昌雄 獨協医科大学医学部、獨協医科大学病院 放射線治療センター
  八木 直人 公益財団法人高輝度光科学研究センター タンパク質結晶解析推進室

 

 

(2)開催日時及び場所
  平成28年6月7日(火)午後4時20分~午後5時
  キャンパスプラザ京都5階 第2演習室

以 上

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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