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Volume 21, No.1 Page 1

理事長室から -財団JASRIの四半世紀、そしてこれから-
Message from President – The Past, Present and Future of Japan Synchrotron Radiation Research Institute –

土肥 義治 DOI Yoshiharu

(公財)高輝度光科学研究センター 理事長 President of JASRI

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 公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)は、昨年12月に創立25周年を迎えた。財団JASRIは、兵庫県と経済界(96社1団体)の出損と支援を受けて、1990年12月1日に発足した。当時の科学技術庁に設置された大型放射光施設整備懇談会の提言に基づき、大型放射光施設(SPring-8)の供用や利用支援などの業務を行うために設立された。SPring-8は、理化学研究所(理研)と日本原子力研究所との共同作業によって1991年11月から建設が始まり、1997年に完成して共用を開始した。以来、JASRIはSPring-8の発展とともに歩んできた。また、理研においてX線自由電子レーザー施設(SACLA)計画が始まった2005年頃から、SACLAの技術開発、建設、運転業務などに協力してきた。このように、JASRIは四半世紀にわたりSPring-8とSACLAの進展に寄与してきた。
 SPring-8は世界最高性能の放射光を生み出す共用施設であり、1年間に延べ1万6千人の産学官の研究者が多様な物質や材料の構造や性質を調べるために利用している。学術研究においては、わが国の発表論文総数の約1%がSPring-8を利用した研究論文であり、また多数の利用者が画期的な研究成果によって著名な学術賞を受賞している。産業応用においては、毎年170社前後の企業の方々がSPring-8を利用し、自動車、電子情報、健康、医薬、化学、金属、環境、食品などの多様な産業分野で経済社会の発展に貢献する成果を創出している。
 財団JASRIの役割は、SPring-8とSACLAの共用施設を理研とともに効率的に運転・高度化し、登録機関として共用ビームライン利用者の公正な選定と効果的な支援を行い、利用研究成果を最大化することにある。利用者の選定にあたり、SPring-8選定委員会(委員長:佐々木聡東京工業大学教授)およびSACLA選定委員会(委員長:坂田誠名古屋大学名誉教授)の助言を受けつつ、各種の審査委員会や分科会で申請課題の審査と利用時間の調整を行い、利用者を厳正に選定している。課題の審査には、300人以上の有識者の方々に委員やレフェリーをお願いしている。課題あたりのレフェリー数は、SPring-8審査で4人、SACLA審査で5人である。例年、SPring-8申請課題の採択率は70%程度、そしてSACLA申請課題の採択率は50%程度である。このように、課題審査の過程で多くの方々にお世話になっている。
 利用支援業務(研究開発、技術支援、情報支援など)の最適化のために、その業務の実施状況、技術開発の現状と将来計画を報告して有識者の助言を受けることを目的に、財団に科学技術助言委員会(委員長:雨宮慶幸東京大学教授)を設置した。有識者17人で構成される第1回委員会を昨年9月に開催して、効果的な利用支援業務を実行するための貴重な助言をいただいた。本委員会は毎年開催され、その提言内容を本誌に掲載する予定である。
 役職員329人の財団JASRIは、これまでの四半世紀の経験を生かして、これからもSPring-8とSACLAの持続的発展のために尽力するとともに、利用者の方々が学術的にも産業的にもインパクトのある研究成果を創出されるよう効果的な支援を続けていく所存です。高い志の研究者を支援する日々の仕事の感慨を短歌に詠み記している。

 

魂きはる学究の道あゆみゐる若き学徒ら未踏をめざす

科学者ら新を求めて国を越え協同しつつ独創競ふ

組織統ぶる仕組みと人事変へんとす古き不合理確認しつつ

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794