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Volume 17, No.4 Pages 426 - 427

5. 談話室・ユーザー便り/USER LOUNGE・LETTERS FROM SPring-8 USERS

SPRUC臨時総会 パネル討論 「放射光科学のグランドデザインとSPRUCの果たす役割」
Digest for Panel Discussion in SPRUC General Meeting 2012 – The Grand Designing for Synchrotron Radiation Sciences in Japan as Roles of SPRUC –

高尾 正敏 TAKAO Masatoshi

SPring-8ユーザー協同体(SPRUC) 広報幹事/大阪大学 大型教育研究プロジェクト支援室 Support Office for Large-Scale Education and Research Projects, Osaka University

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 久保田幹事によるSPring-8シンポジウム2012報告にもありますように、SPing-8ユーザー協同体(SPRUC)臨時総会にて(8月26日於:大阪大学コンベンションセンター)、「放射光科学のグランドデザインとSPRUCの果たす役割」を主題とするパネル討論を開催しました。SPRUCはSPring-8のユーザー全員(約12,000人規模)の大組織であります。今回の企画をはじめ様々な議論の過程等を会員全員で共有化することが、運営の第一歩と考えて開催いたしました。今回はユーザー組織の再出発ということと、折からSPring-8次期計画の議論が開始されていることもあり、日本全体、あるいは世界、アジアを見て、放射光科学がどうあるべきか、あるいは放射光施設群をどのように配置していくべきかのほか、人材育成などについてなど、グランドデザインを考えるという観点で企画しました。
 パネラーには、日本のほとんどの放射光施設を代表される先生方にお越しいただき、それぞれの想いを語っていただきました。まだまだ、生煮え、言い放しの状態ですが、オールジャパンの議論をSPRUCがハブとしての役割を果たして継続していきたいと考えています。当日の議事概要は既にSPRUCのホームページに公開されていますのでご参照ください。
http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/panel_discussion_1208.html
 当日参加されなかった会員、あるいは当誌の読者の方も是非ご一読いただき、ユーザーの立場、あるいは、納税者の立場で今後の議論へ参画していただくことをお願い申し上げます。東日本大震災、福島事故の余波は科学技術へも大きく、放射光科学のように大型施設を必要とする分野としても、コミュニティが一体化して、共有できるグランドデザインを描き、それに沿って活動することが求められていると思います。パネラーの先生方からは同じ想いが語られました。
 グランドデザインを描くためには、多数のユーザーのいるSPring-8が兄貴分となることが求められます。以下はモデレーターを仰せ付かった筆者の見識で整理した論点です。全ての課題について議論できたわけではありませんが、今後のことも含めて課題の羅列として整理しています。12,000という数字の怖さは、「あなたは設備装置を作る人、私は使う人」という分離が起こって、しかも殆どが、もの言わぬユーザー「サイレントマジョリティ」になってしまう可能性が大きくなることです。「そこにSPring-8があるから」ではなく、「より高機能で、使い勝手のよいSPring-8を自分たちで」を目指して、若手が主体となって活動することと、ベテランには環境づくりを期待しての論点です。


・SPRUCの意味(ユーザー全員の参加:12,000人規模のグローバル組織)
 ちなみに、放射光科学のプロ集団としての、日本放射光学会は1,300人
・量としては、ユーザーの総意が目指せるが、そのためには、サイレントマジョリティの声を集約していくことが最も重要
・ユーザー全員のSPRUC各研究会活動に参加を義務化したので、プロとそうではないユーザーのコミュニケーションが課題
・新規研究会立ち上げ、研究会間のコラボなどで、共通の話題を設定し、基本に立ち返っての活動が求められる。
・日本全体の放射光施設の今後の方向付けと施設、ユーザー双方合意によるロードマップづくり
  世界の中で、アジアの中での施設間競争への対応と協奏
  国内施設のそれぞれの得意芸の強化による差別化
  ナショナルセンターと地域センター
・最先端設備機器開発・供用とスループット向上・コンビニ化への対応という一見相反する課題への対応
  基礎科学の中でも、最先端・先導的装置開発を伴う用途と、使い勝手のよいルーチン的な用途の
  バランス産業応用への取り組み
・ユーザー・施設・学会 各々の役割と責務
・大型共用施設間の連携(SPring-8/SACLA、J-PARC、京コンピューター)
・装置開発者・ユーザー双方で、日本全体での若手人材養成のための大学との教育連携
・放射光科学コミュニティとして提案活動(国際協力、人材育成、行政施策、・・・)

 課題山積ですが、日本の放射光科学の将来方向を会員全体で考えようということです。
「talkative majority:おしゃべりな多数」が実現することを期待しています。



高尾 正敏 TAKAO Masatoshi
大阪大学 大型教育研究プロジェクト支援室
〒565-0871 吹田市山田丘2-1
TEL:06-6879-4345
e-mail:takaoma@lserp.osaka-u.ac.jp



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794