Volume 01, No.5 Pages 1 - 3
1. ハイライト/HIGHLIGHT
SPring-8専用ビームライン計画の受け入れについて
Application Procedure of the Contract Beamlines at SPring-8
1.専用ビームラインとは
専用ビームライン(専用施設)は、日本原子力研究所及び理化学研究所以外の者によってSPring-8に設置されるビームラインであって、放射光を使用した試験研究を行うためのものです。SPring-8に設置される放射光ビームラインの全体像は、共用ビームラインを含め、表1のように整理されます。
表1 SPring-8のビームライン
区 分 | 設 置 者 | 利 用 者 | 設置/利用方法 |
---|---|---|---|
専用ビームライン | 原研/理研以外の者 | 設置者がほぼ専有して利用 | 設置計画の審査 |
共用ビームライン | 原研/理研 | 国内外・産学官の研究者 | 利用課題の審査 |
原研ビームライン | 原研 | 原研の研究者 | |
理研ビームライン | 理研 | 理研の研究者 | |
他のビームライン マシン診断用 R&D用 |
原研/理研 | SPring-8の運転・維持管理 ・高度化を担うJASRI(注)の研究者 |
(注)JASRI:財団法人高輝度光科学研究センター
共用ビームラインについては、来年10月からの利用開始に向け、ビームラインの建設と並行して、放射光利用研究課題の募集(締切:平成9年1月10日)が行われていますから、その利用を希望される方は「SPring-8利用者情報Vol.1, No.4(9月号)」の応募手続きを参照して下さい。
ここでは、SPring-8に自前の専用ビームラインを設置し、それを用いた放射光利用研究の実施を希望する方に対する専用ビームライン計画の受け入れ手続きを紹介します。なお、上記の表において、専用ビームラインの利用者として「設置者がほぼ専有して利用」と表現しているのは、SPring-8全体の安全性、健全性等を確保するため、専用ビームラインについても、そのビームタイムの一定割合をJASRIに提供していただく予定であることを意味します。
2.専用ビームライン設置計画審査の流れ
共用ビームラインの利用が利用研究課題の申請に基づく審査を経て行われるのと同様、専用ビームラインの建設も設置計画の申請に基づく審査が行われます。この審査は以下の流れに従い、「設置計画趣意書」及び「設置実行計画書」の2段階の申請をJASRIの諮問委員会(専用施設検討委員会)が検討評価することにより進められます。
3.専用ビームライン設置計画趣意書
設置計画趣意書は、ビームライン設置計画の科学的及び技術的内容、ビームラインを専有とする必要性等について検討評価するための計画書です。その様式は以下のとおりであり、全体をA4版6枚程度にまとめていただくことになります。また、同一光源/同一光学系でないビームライン計画については、各々について趣意書が必要です。なお、受入が内定した趣意書の有効期間は3年間です。
1. | ビームラインの名称 |
2. | 機関名及び代表提案者名(所属、連絡先住所、電話番号、FAX、E-mail) |
3. | 研究概要 |
(1)目的(ビームラインを専用とすることの必要性を含む) | |
(2)内容 | |
(3)国内外の他の放射光施設における研究の現状 | |
4. | 希望する光源の性質 |
(1)光源の型、偏光利用の有無 | |
(2)エネルギー範囲 | |
(3)その他(安定性等) | |
5. | 光学系の概要(概念図を添付) |
6. | 試料位置での光の性質 |
(1)エネルギー範囲 | |
(2)エネルギー分解能 | |
(3)光ビームサイズ | |
(4)光の発散角 | |
(5)光子数(光子数/秒) | |
(6)光ビーム位置の安定性 | |
(7)その他 | |
7. | 実験ステーションの概要(概念図を添付) |
8. | 建設グループの構成(ビームラインの建設に参加するメンバーの氏名、所属、年齢、建設における分担を記述) |
9. | 予算計画等の準備状況 |
10. | 建設スケジュール |
11. | その他(安全性等に関する事項) |
(1)反応性ガス使用の有無と種類 | |
(2)RI試料使用の有無と密封・非密封の別及び種類 | |
(3)その他取扱に注意を要する試料等使用の有無及び種類 | |
(4)その他(特殊装置[強磁場発生装置等]の使用の有無) | |
12. | 専用ビームラインの維持管理、特に安全管理はJASRIにおいて一元的に実施する必要があると考えられますが、このことに関するご意見を記述して下さい。 |
4.専用ビームライン設置実行計画書
設置実行計画書は、予算計画を含むビームラインの建設計画、利用計画、維持管理計画及び安全管理計画並びに技術的実行可能性等々について検討評価するための計画書です。その様式は以下のとおりであり、詳細な技術的データ等を含めて全体をA4版20枚程度にまとめていただくことになります。
1. | ビームラインの名称 |
趣意書段階での名称を変更する場合は、旧名称を( )書きで記入して下さい。 | |
2. | 機関名、代表者氏名、担当者氏名、所属、連絡先(住所、電話、FAX、E-mail) |
代表者は、計画の受入が決定した後、JASRIとの間で締結する専用ビームライン計画の受入に関する契約の当事者となりますので、機関の代表権を有する者の氏名を記入して下さい。また、担当者は、JASRIとの協議の窓口となるビームラインの設計・建設の実質的責任者の氏名を記入して下さい。 | |
3. | 研究概要 |
(1)目的 | |
(2)内容 | |
(3)国内外の他の放射光施設における研究の現状 | |
4. | 光源 |
(1)光源の型、偏光利用の有無 | |
(2)エネルギー範囲 | |
(3)その他(安定性等) | |
5. | 基幹チャンネル(図面を添付して下さい) |
6. | 光学系(図面を添付して下さい) |
7. | 試料位置での光の性質 |
(1)エネルギー範囲 | |
(2)エネルギー分解能 | |
(3)光ビームサイズ | |
(4)光の発散角 | |
(5)光子数(光子数/秒) | |
(6)光ビーム位置の安定性 | |
(7)その他 | |
8. | 実験ステーション(図面を添付して下さい) |
以上の「3.研究概要」〜「8.実験ステーション」までについては、趣意書段階の計画に基づき、JASRIとの協議結果及び予算計画を踏まえ、建設するビームラインの内容を具体的に示して下さい。 | |
9. | 測定準備室及び試料準備室に整備する設備等 |
専用ビームライン1本当たり、約40 m2の測定準備室及び試料準備室が各々1室計2室用意されています。それらの室に整備あるいは持ち込む予定の設備、機器等を記入して下さい。 | |
10. | 建設グループの構成 |
氏名、所属、年齢、建設における担当、経験の有無、経験の内容を記入して下さい。また、ビームラインの組立、調整等に責任をもつSPring-8サイトでの建設担当者を必ず記入して下さい。 | |
11. | 設計、建設に当たってJASRIに期待する技術的助言等の内容 |
趣意書に対するJASRIからの意見やJASRIとの協議結果等を踏まえて記入して下さい。 | |
12. | 設計・建設スケジュール |
主要なマイルストーンを月または四半期のスケールでお示し下さい。 | |
13. | 建設予算の見積及び予算獲得の見通し |
計画の受入が決定した場合、速やかに予算執行が可能であることをお示し下さい。 | |
14. | 安全管理計画及び安全管理体制 |
考え方、人員計画、予算計画、JASRIに希望する事項等について記入して下さい。 | |
15. | 維持管理計画及び維持管理体制 |
考え方、人員計画、予算計画、JASRIに希望する事項等について記入して下さい。 | |
16. | 利用計画及び利用体制 |
ビームライン完成後、実施を予定する具体的な利用研究課題、実施計画を列挙するとともに、その人員計画、予算計画、JASRIに希望する事項等について記入して下さい。また、利用研究においてRI試料(密封、非密封)や反応性ガス、化学薬品等取扱に注意を要する試料の使用を計画する場合は、その種類と量及び安全対策等について記入して下さい。 | |
17. | その他 |
ご要望をお書き下さい。なお、SPring-8に建設する必要性について、改めてお書き下さい。 |
5.問い合わせ先その他
専用ビームラインの設置及び利用に関する基本的考え方は「SPring-8利用者情報No.1(3月号)」34〜35頁に掲載されています。提案者は国内外、産学官を問いません。専用ビームラインに関しての問い合わせ窓口は下記のとおりです。
放射光利用研究促進機構 財団法人高輝度光科学研究センター
利用業務部 福塚淑郎、松本 亘
電話(07915)8-0961
FAX(07915)8-0965