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Volume 14, No.4 Pages 322 - 331

4. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

SPring-8シンポジウム・SPring-8産業利用報告会 合同コンファレンス 〜SPring-8利用の学術と産業の融合〜
Jointly Reporting Academic and Industrial Activities at SPring-8

中村 哲也 NAKAMURA Tetsuya[1]、舟越 賢一 FUNAKOSHI Kenichi[1]、廣沢 一郎 HIROSAWA Ichiro[2]、鈴木 昌世 SUZUKI Masayo[3]

[1](財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 Research & Utilization Division, JASRI、[2](財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室 Industrial Application Division, JASRI、[3](財)高輝度光科学研究センター 研究調整部 Research Coordination Division, JASRI

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1. はじめに

 平成21年度、それまで個別に実施されてきた「SPring-8シンポジウム」と「SPring-8産業利用報告会」を合同で開催し、学術界と産業界とに於けるSPring-8の利用成果を総合的・一体的に報告できたことは極めて意義深い。「SPring-8シンポジウム」、或いは「SPring-8産業利用報告会」の内容に御関心のある読者には後段の該当箇所を御覧頂くこととして、冒頭、これらSPring-8の二大行事が融合することとなった経緯に、若干、触れることをお許し頂きたい。

 

 

2. 経緯

 今年、大型放射光施設(SPring-8)は供用を開始して12年目を迎えた。今後もSPring-8が放射光科学・放射光産業の両領域に於いて発展的に成果を創出し続けるには、施設者((独)理化学研究所(以下、理研)・(財)高輝度光科学研究センター(以下、JASRI))、並びに利用者(学術界、産業界)が緊密に連携する必要がある。また、SPring-8で創出された科学的・産業的成果が如何なる形で社会に貢献したかを一般社会に“見える形”で示し、SPring-8の存在意義が広く認知されるよう不断の努力を払うことも必要である。こうした環境にあって、従来、学術利用に関しては、「SPring-8シンポジウム」、産業利用に関しては、「SPring-8産業利用報告会」に於いて対応してきたところである。

 SPring-8シンポジウム(以下、シンポと略す)は、施設者(理研・(独)日本原子力研究開発機構(以下、原研)・JASRI)、並びにSPring-8利用者懇談会が主催者となり、平成8年10月に第0回が開催されて以降、昨年度まで、「施設者と利用者との対話の場」としてSPring-8キャンパス、及びその近傍(兵庫県立先端科学技術支援センター/第0回〜第3回)、放射光普及棟/第4回〜第11回)にて継続的に開催しており、昨年度は、「潜在的利用者を開拓する場、及び一般社会に活動・成果を提示する場」として首都圏[日本未来館(東京・お台場)]にて開催した。シンポでは、主として、施設者側からSPring-8概要(将来計画を含む)を報告し、また、利用者側からは利用研究成果が報告されてきたが、産業界からの利用者との接触は希薄で、利用研究成果が、その後、如何に成熟し、産業利用という形で社会貢献を為しているかという出口を見据えた報告は稀であった。

 他方、SPring-8産業利用報告会(以下、報告会と略す)は、それまで個別に開催されていた①産業用専用ビームライン(サンビーム、BL16XU、BL16B2)成果報告会、②産業利用IビームラインBL19B2を中心に複数の共用ビームラインで実施されたトライアルユース課題や先端大型研究施設戦略活用プログラム課題等の報告会、及び③兵庫県ビームライン(BL08B2、BL24XU)の成果報告会を合同で実施することにより、「産業利用分野のSPring-8ユーザーの技術交流と情報交換の場」として、平成15年12月に第0回が首都圏で開催されて以降、SPring-8キャンパス(放射光普及棟/第1回〜第3回)、及び首都圏(総評会館/第4回、日本未来館/第5回)にて継続的に開催している。同報告会では、産業界の利用者から多くの優れた成果が報告されたが、その一方、施設者側からSPring-8の「加速器設備」、「X線光源」、「ビームライン」、「計測装置・技術」等に関して概要・将来構想等を報告することは稀であり、また学術界からの利用者との接触も希薄であるため、将来、産業利用に於いても活用可能となる装置・計測技術等の最新情報に接する機会は少なかった。

 こうした課題に対応すべくシンポ・報告会は、過去、数年間に渡り、学術界・産業界の優れた利用者を相互に講演者(1名程度)として招待する等の対策を講じてきたが、施設者・学術界・産業界が強く連動するには至らなかった。こうした背景の下、昨年秋頃より、シンポ・報告会の両実行委員会を中心に、「シンポ・報告会合同開催」という構想が本格的に検討されることとなった。特に、両実行委員会は以下の4点を望んだ。

①シンポと報告会との合同開催により、放射光の学術利用から産業利用に至るまでの利用研究全般を俯瞰・概観することを可能とし、実質的な産学官連携を促進して、一層の成果創出を促したい。

②利用成果を適切に社会に還元する上で、放射光科学は出口としての放射光産業をしっかりと見据える必要があるが、報告会とシンポの合同開催をその有用な一手段にしたい。

③産業利用関係者は放射光科学の最先端に常に敏感であって、放射光技術を早期に導入するための準備を進めるべきであるが、報告会とシンポの合同開催をその有用な一手段としたい。

④学術界・産業界が一堂に会して、より多くの、より優れた利用研究成果を報告し、一般社会に対してSPring-8の創出した科学的・技術的成果の社会貢献を印象付けたい。

 こうした両実行委員会の構想に対して、当初より、多くの方々に御理解・御賛同頂けたことは甚だ幸いであった。

 

 

3. 一堂に会して

 平成21年度、シンポ及び報告会は、前節に述べた経緯を踏まえ、合同コンファレンスとして、2009年9月3日〜4日の期間、東京ステーションコンファレンスを会場とし、理研、JASRI、産業用専用ビームライン建設利用共同体、(財)ひょうご科学技術協会、SPring-8利用者懇談会が主催し、またSPring-8利用推進協議会には共催頂き、蛋白質構造解析コンソーシアムにも協賛を頂いて、開催の運びとなった。

 開会(セッション1)はシンポ・報告会合同で挙行した(写真1)。まず、理研の藤嶋理事(代理:木田理化学研究所播磨研究所副所長)(写真2)、JASRIの白川理事長(写真3)より主催者挨拶があり、SPring-8の延べ利用者数が10万人に達するなど利用研究が順調に拡大していること、また産業利用については海外施設とのワークショップや国際レビューで高い評価を得ていることなどの近況が報告された。つづいて、文部科学省の磯田研究振興局長(写真4)より、SPring-8が科学技術の重要な拠点の一つになっているとの評価を頂き、本年は基礎科学強化年であることから産学合同開催によって基礎から応用までの包括的な情報交換が行われることを期待したいとの御挨拶を頂いた。

 

 

 

写真1 会場

 

 

 

写真2 (独)理化学研究所播磨研究所 木田光春副所長

 

 

 

写真3 (財)高輝度光科学研究センター 白川哲久理事長

 

 

 

写真4 文部科学省 磯田文雄研究振興局長

 

 

 引き続いて招待講演(セッション2)をシンポ・報告会合同のセッションとして設け、産学連携の象徴として、京都大学の松原教授(写真5)と(株)東芝の佐野氏(写真6)に御講演頂いた。松原教授は、メッキプロセスで生じる電析や耐候製鋼における雪崩錆、さらに、海浜環境におけるステンレスの腐食に関するメカニズムをX線異常散乱法により解明し、素材産業に直接的に貢献する研究内容を中心に講演された。松原教授はさらにXFEL利用推進研究においても中心的な役割を担っており、電子顕微鏡と光学顕微鏡の分解能の隙間である100 nm-1 µmの領域を埋める手法として、コヒーレントX線回折法を紹介された。講演の最後には、(故)本多光太郎教授の言葉「産業は学問の道場」を引用され、産業と学問が密接であることを述べられて招待講演を締め括られた。松原教授の具体的な事例と豊富なデータを用いた御講演は、産業界との関係が深い金属材料分野での放射光利用の更なる可能性を深く印象づけるものであった。

 

 

 

写真5 京都大学 松原英一郎教授

 

 

 

写真6 (株)東芝 佐野雄二技監

 

 

 佐野氏は、レーザーピーニング技術を利用した表面改質について、表面近傍の残留応力深さ分布をBL19B2を使って調査した研究を紹介された。レーザーピーニングでは、1000 kW、10 nsの短パルスのレーザーを水中で金属に集中照射し、結果として水中で数GPaの圧力を発生することで金属表面に圧縮応力を生成する技術であり、最近では原子炉の応力腐食割れ対策に利用されている。そのほか、航空機用アルミ材料のレーザーピーニングによる長寿命化を調査するために、吸収コントラストCTによる疲労亀裂の断層撮影を行うなど、SPring-8を使った利用研究が進行している状況を発表された。この技術は既に事業化されているとのことで、放射光産業利用の最終目標である事業への貢献の具体例を明瞭に示して頂けた。重電分野に於ける放射光利用パイオニアとして今後とも同氏の益々の御発展を祈念したい。

 この後、2ヶ所の講演会場を設けてパラレル・セッションとし、シンポ側プログラム、並びに報告会側プログラムを同時に進行させた。無論、SPring-8利用研究に関する学術界と産業界との連携促進の為、参加者は両会場を自由に行き来できるよう配慮した。以下、シンポ側、報告会側、其々の報告に紙面を割きたい。

 

 

4. SPring-8シンポ報告

4-1 施設報告

 本セッションでは、まずJASRI大野研究統括より、ビームライン稼働・建設、利用者数、成果、外部評価の各状況についての説明があった。この中で、①残ビームラインポートが少なくなってきた現在において、ビームラインのスクラップ&ビルドを考える時期にきていること、②2010年には3回目の評価活動が必要であること、③ESRFと比較してSPring-8の学術論文数が少なく、利用者と施設者双方で良い研究テーマを取り込む工夫と努力が一層必要であることなどが述べられた。

 JASRI高田利用研究促進部門長は、最近の物質科学、生命科学、産業利用の代表的な研究成果を報告し、X線ピンポイント構造計測を例に、光源特性を活かした先端計測の進展により、新たな放射光科学の研究領域が広がりを見せていることをしめした。そして、産業界における高度計測のニーズ開拓が学術界の重要な役割の一つであり、SPring-8の優れた光源特性を産業に有効活用する時代に移行しつつあるとの展望を述べた。また、SPring-8の人材育成の活動の一例として、萌芽的研究課題アワードについて紹介した。

 JASRI大熊加速器部門長からは、最近の加速器開発の状況について報告があり、エミッタンス結合比0.2%を維持する努力が行われていること、また、第2電子銃とその専用電源の導入により電子銃トラブル起源のダウンタイムが解消されることのほか、長直線部4ヵ所に挿入光源を設置する場合の加速器の最適化デザインについて説明があり、さらにSPring-8次期計画についての現状案も紹介された。理研播磨の石川センター長からは、XFEL建設が順調に進んでいること、2011年の秋に供用開始する予定であることが説明された。また、SPring-8とXFELとの相乗効果が期待されており、その検討が既に始まっていることや課題選定についても言及され、供用開始当初は「使いながら使い方を考える」フェーズにあるとの見通しを示された。

 同セッションの最後に、SPring-8利用研究課課題審査委員会からの報告として松下委員長(代理:JASRI八木利用研究促進部門副部門長)から課題審査の仕組み、レフェリーの人数、外国人レフェリー制の導入、共用ビームラインの利用制度と利用料金、審査希望研究分野、2009Bの審査スケジュール、応募状況と採択率などの説明があった。最後に、得られた成果の公開とDB登録を利用者に強くお願いする旨の連絡があった。

 

4-2 利用者懇談会概要報告

 本セッションでは、SPring-8利用者懇談会(以下、利用懇)とその研究会活動の概要について、佐々木利用懇会長から報告があった。利用懇の目的については、①ユーザーと施設のインターフェースの役割を担うこと、②会員のSPring-8での研究活動がスムーズに進展するのを支援すること、③SPring-8自身が発展するのを支援すること、④会員相互の交流を図っていくこと、と紹介した。また、SPring-8が、建設フェーズ→利用フェーズ→円熟期フェーズと推移したことをうけ、第2期研究会の立ち上げ(計35研究会)を行ったこと、さらに、供用開始10周年記念出版を行ったことが報告された。今後の研究活動を支える運営については状況の変化に対応しながら進め、2019年に計画するSPring-8大改修も視野に入れて考えていきたい。との抱負が述べられた。

 

4-3 若手の奨励講演会(SPring-8萌芽的研究支援ワークショップ受賞講演)

 本セッションでは、第2回SPring-8萌芽的研究アワード受賞式と受賞講演が行われた。高田SPring-8萌芽的研究アワード審査委員会委員長から概要、審査基準が報告され、2回目である今回は39件の萌芽課題のなかから8件の応募があり、このうち、6名が口頭発表による審査を受けた結果、東京工業大学フロンティア研究センター・星野さんが最優秀賞、京都大学大学院工学研究科・藤森さんが優秀賞を授与された。課題名は以下の通りである。最優秀賞:「多形結晶形成により発光色制御された〔AuC1(PPh3)2〕の光励起構造の直接観察」。優秀賞:「ダイオキシン類生成時における飛灰中金属の相互作用」。受賞された御二人は勿論のこと、放射光科学に於ける若手研究者諸兄姉の御活躍に期待するところ大である。

 

4-4 利用者懇談会研究会の活動発表

 本セッションでは、利用懇研究会より活動報告や最近の研究成果について講演していただいた。まず、高分子化学研究会から住友化学(株)の山口氏から最近の研究会活動とフロンティアソフトマター開発産学連合ビームライン(BL03XU)の紹介があった。続いて、構造物性研究会から名古屋大学の澤教授が講演し、最近BL02B1に導入された広い測定角度範囲とワイドダイナミックレンジを併せ持つ大型湾曲IPカメラを使用し、従来と比較して高いレベルの分解能・統計精度での回折X線強度の測定が行えるようになったとの報告を行った。さらに、3d遷移金属酸化物の物性を理解するうえで最も重要な3d電子の電子密度分布を多極子展開の手法を用いて可視化した最新の研究成果を紹介した。3件目の講演は、顕微ナノ材料科学研究会から奈良先端科学技術大学院大学 大門教授が二次元光電子アナライザーを用いた光電子回折実験から得られる立体原子顕微鏡について、これまでの研究成果を紹介した。さらに、試料の微小領域に対して同様の測定を可能にする開発中のマイクロ分光顕微鏡装置について原理や開発状況について説明した。本セッションでは、3件の研究会報告の後、利用懇報告が行われた。久保田利用幹事より研究会活動の報告が行われたほか、各研究会への旅費補助の方針が説明された。また、補助を研究費開催のための会場費など、資金用途の自由度を高める可能性について議論された。

 

4-5 長期利用課題報告

 二日目冒頭の本セッションでは、3件の長期利用課題報告がなされた。まず、早稲田大学の寺崎教授から有機伝導体の精密構造解析の報告があった。ある種の有機物質結晶では2つの電荷秩序が共存しているが、この平衡が電流通電によって破れ、抵抗値や圧電効果、結晶格子に非線形の変化が見られる。時分割測定によってこれらの応答機構が解明されつつあり、この物性を生かした有機エレクトロニクス新物質の開発に役立てたいとのことであった。東京大学の豊島教授は、細胞内外のイオン濃度調節を行う膜タンパク質の結晶構造解析について報告した。筋肉の作動に必要なCa2+イオンの能動輸送には、ポンプとして働くCa2+-ATPaseのダイナミックな構造変化が必要である。結晶化さえ困難なこの試料の9つの構造を明らかにし、その輸送機構の詳細が明らかとなった。また、コントラストの低い脂質二重膜を可視化する手法も開発し、タンパク質の運動に伴う膜の変形も捉えている。さらに、神経興奮の基盤となるNa+/K+-ATPaseについても解析結果を報告した。北九州市立大学の櫻井教授は、ドラッグデリバリーシステム粒子の構造機能解析の現状を報告した。使用する脂質や高分子は、薬剤分子を捕捉し細胞に導入するために、各段階で適切なナノ構造を取る必要がある。その構造を明らかにするために新しい試料セルなどの開発によって溶液散乱測定の精度を高めて詳細に解析を行い、脂質の相転移や薬剤を内包した高分子のミセル構造に新たな知見が得られた。

 

4-6 利用者懇談会研究会の活動発表II

 本セッションでは、広島大学の高橋教授が、電子収量XAFS法、時間分解XAFS法、高感度な蛍光分光XAFS法などの先端的XAFS法を用いた化学種(価数・化学結合状態)分析により、地球表層に存在するヨウ素・ウラン・砒素などの挙動を把握することが、地球化学・環境化学研究において有効であることを紹介された。つづいて、名古屋大学の秋山講師より、X線小角散乱リアルタイム測定により、シアノバクテリアの生物時計を構成している3種類のKaiタンパク質(KaiA、KaiB、KaiC)が24時間周期で離合集散し時を刻む様子や、KaiCタンパク質が重要な役割を担っていることの報告がなされた。3件目の講演では、愛媛大学の西原上級研究員から、高圧2次元X線回折により、高圧下(10 GPa)においてカンラン石が温度上昇によって応力が緩和する様子を観察した結果や、今後、深さ660 kmの地球深部における流動特性を明らかにするために、高温高圧下(23 GPa、1900 K)での応力測定技術の開発を目指して準備を進めていることが紹介された。

 

4-7 ポスターセッション

 本セッションでは、研究会報告につづいてポスターセッションが行われ、利用懇研究会報告35件、施設報告として共用ビームライン等14件、理研・専用施設等13件、パワーユーザー活動報告6件、長期利用課題報告6件のポスターが発表された。

 

4-8 利用者と施設者の意見交換

 本セッションでは、利用者と施設者との意見交換が行われた。会合には46名が出席し、4研究会から事前に提示された意見に対してJASRI大野研究統括が回答する形式で行われた。①利用課題数の増大に伴い発生しているSPring-8ビームラインに於ける混雑解消の要望に対しては、今後、日本の放射光コミュニティーとして新たな放射光施設をつくるようなことも視野に入れてほしいこと、②施設者側から利用者側への情報伝達は研究会に所属するJASRIスタッフを経由することで対処してほしいこと、また③大電流少数均等バンチ運転の要望については、JASRI大熊加速器部門長から生成可能なバンチモードと発熱量の関係などの説明をし、さらに、少数バンチで実現できる電流値には現ファシリティとしての限界があることの原理的背景を示した。

 

 

5. 産業利用報告会

5-1 重点産業課題成果報告

 開会・招待講演をシンポと合同で開催した後、3日午後は、JASRIの2008年度重点産業課題の成果報告が行われた。前半は、JASRI古宮コーディネータを座長として、“HX-PESならびにXAFSを用いたITOとαNPD界面に挿入されたMoO3超薄膜の構造ならびに電子状態解析”((株)三井化学分析センター 塩沢氏)、“トランジスタ用有機他結晶試料薄膜における結晶子サイズの評価”(千葉大学 中村助教授)、“オンボードレーザ融着”(NTTフォトニクス研究所 小池氏)の3件、後半は堀江コーディネータの座長で“刺激応答型自己組織化能を有する繊維金属錯体の粉末X線構造解析”(京都大学 高谷准教授)、“ゴム接着処理後のブラス表面のHAX-PES解析”(横浜ゴム(株) 鹿久保氏)、及び“放射光X線回折を利用した角層細胞間脂質の構造解析に基づく医薬品・化粧品の開発”(星薬科大学 小幡助教授)の3件、計6件の口頭発表が行われた。重点産業利用課題は産業利用ビームラインであるBL14B2、BL19B2、BL46XUを中心に行われているが、これらのビームラインとともにBL47XU(小池氏)やBL40B2(高谷准教授、小幡助教授)なども利用した成果が報告され、放射光の産業利用分野の拡大とともに、測定技術や利用ビームラインが多様になっていることが示された。また、07年度に産業利用に特化した共用ビームラインへと運用変更したBL46XUのHAX-PESをもちいた発表が2件あり、SPring-8の高輝度光源の特徴を活かしたHAX-PESに対する期待や関心が高いことが伺えた一方、より効果的な利用のためには試料調製や測定条件に関する技術やノウハウの一層の蓄積が必要であることを感じさせられた。

 

5-2 ポスター発表

 3日午後の後半は5階ホールでポスター発表を行った。今回の発表件数は、JASRI 25件、兵庫県16件、サンビーム21件のポスター発表に加えて、共催の利用推進協議会より1件、協賛の蛋白質構造解析コンソーシアムより1件、計64件で前回より20件程度少なくなった。ポスター発表を申し込まれた一部の方には、掲示場所を確保できず発表をご遠慮いただくことになってしまったことを、この紙面で改めてお詫びしたい。発表当日は会場のあちらこちらで、ポスターを前に活発な議論が行われていたことをうれしく思う一方、掲示場所が狭くなってポスター会場内を移動しにくいなど参加してくださった方に不便な思いをさせてしまった点が悔やまれる。サンビーム及び重点産業利用課題の掲示場所は照明環境が整っているとはいえず、発表に支障をきたしたのではないかと心配したが、その心配のとおり参加者アンケートでもポスター会場の不十分な照明や会場の狭さの指摘が数多くあり、次回以降は発表件数や配置などを会場の状況に応じてより慎重に決める必要があることを痛感した。

 

5-3 兵庫県ビームライン成果発表

 9月4日は午前10時30分より松井兵庫県放射光ナノテク研究所所長を座長に(株)三菱化学科学技術研究センターの伊村氏による“Fe置換アルミノフォスフェイトの水吸着メカニズム”、(株)白石中央研究所 江口氏による“SAX/WAXS同時測定による炭酸カルシウム微粒子生成過程のその場観察”、P&Gジャパン(株)の佐野氏による“兵庫県ビームライン(との連携)への期待”、ひょうご科学技術協会の竹田氏による“マイクロ小角散乱装置整備の現状”の4件の口頭発表が行われた。以上は兵庫県ビームラインBL24XU及びBL08B2を利用した研究成果の発表であるが、伊村氏はBL24XUの成果に加えてPFでのXAFS測定の結果も含めた成果を発表し、江口氏はBL14B2のXAFS測定のデータ、佐野氏はBL19B2でのX線イメージングの像を紹介するなど放射光利用に習熟したユーザーは共用ビームラインや専用ビームライン、更には施設の垣根を越えて測定目的や測定技術に応じて最適なビームラインを選択して実験をしていることを如実に示す講演となった。特に佐野氏の質疑応答の中で「世界中の中でもっとも早くよいデータが得られるところで実験をする。最近ではESRFを利用することも多い。」との趣旨の発言があり、全世界を相手に技術開発活動を行っている企業の放射光利用に対する考え方を再認識することができた。

 

5-4 サンビーム研究発表会

 9月4日の午後はサンビーム研究発表会が行われた。サンビーム共同体運営委員長の杉崎氏((株)神戸製鋼所)の挨拶に続いて“金属材料開発におけるSPring-8の活用”((株)神戸製鋼所 中山氏)、“二次元XAFS法を用いた二次電池材料の価数分布評価”、((株)豊田中央研究所 山口氏)、“全反射X線回折による窒化物超格子の解析”、(日亜化学工業 (株)川村氏)、“XMCDによるネオジウム磁石の磁気評価”((株)日立製作所 上田氏)、“X線反射率、回折によるMnIr交換結合膜の磁気構造解析”((株)富士通研究所 土井氏)の5件の口頭発表が行われた。山口氏、上田氏の発表は06年の大幅な設備更新の際に新規導入した機器を用いての成果で、(共用ビームラインの課題に比較してビームタイムが長いため、思い切った測定技術開発が可能な)専用ビームラインの特徴を活かした発表との印象を受けた。

 

 

6. パネルディスカッション

 セッション10では、本シンポの目玉である産学連携をテーマにしたパネルディスカッションが行われ、142名が出席した(司会:高原教授(九州大学)、竹村氏((株)東芝)、パネラー:岡田氏(住友化学(株))、古宮氏(JASRI)、佐々木教授(東京工業大学)、松井氏(兵庫県放射光ナノテク研))。

 司会の高原氏より、「我が国の科学技術、産業、経済、および、教育に資することを目的として、SPring-8利用における産学連携のあり方を考える。産、学の両者に利益となる体制づくりと進め方についてパネラーと会場参加者の経験を踏まえ議論する。」という趣旨説明の後、前日に行われたアンケートの回答結果が報告された(回答数122)。その結果、産学連携の有経験者が約6割に及ぶこと、産学連携の主たる目的として技術交流が多く挙げられる一方で、研究スピード、成果の帰属、守秘義務、成果発表などを問題と感じるケースがあることが示された。

 続いてパネラー4名による意見が述べられた。岡田氏からは、フロンティアソフトマター開発産学連合ビームラインやその組織系図が紹介された。松井氏からは、産学官における利用形態の差というテーマについて、それぞれの立場の相違点を示した上で、複合科学領域・境界領域の知識の必要性が指摘され、これからは、産・学・官それぞれ単独でなく三者の交流が必要であることが述べられた。

 古宮氏からは、産学連携課題の現状を示し、産学官の連名の課題数が30%にもおよぶこと、材料関係がその70%を占めることなどが紹介され、SPring-8では産学連携は実質的にかなり進展していることからSPring-8の主体的役割の増大(事例情報の蓄積)が重要であるとの見解を述べた。佐々木氏からは、利用懇の立場からみた産学連携について意見があり、研究会レベルでは産学官の連携は進んでおり、さらに連携を強めるためには、全体の意見を集約できる組織として利用懇と利用推進協議会を含めた全ユーザーを横断した「SPring-8ユーザーユニオン(仮称)」が必要であるとの主張があった。会場から、SPring-8ユーザーユニオンをどう組織するか、資金源などについて多くの関心が寄せられた。

 また、高田利用研究促進部門長(JASRI)からSPring-8を使った産業利用は高度な内容になりつつあり、学術の果たす先端計測技術の役割が大きくなってきていることや、人材育成も含めて産学の役割分担を改めて考え直す時期にきているのでは、との意見が出された。また、十分に基盤化されていない技術を生かすために企業から人材をビームラインに送り込んで技術を習得し、企業に戻ってからその技術を生かしたらどうかなどのアイディアが示された。また、大学の立場から池田教授(岡山大学)より求める知財やその扱いに関する大学と企業の立場の違いが指摘され、また岡田氏(住友化学(株))からはフロンティアソフトマター開発産学連合ビームラインのケースでは、知財の立場は企業グループのなかで共有することになっていることや、一般的に、SPring-8で出るような分析に関する成果よりは材料に関してはかなりシビアな考え方があるとの説明があった。また、櫻井教授(北九州市大)からは、企業側はSPring-8で経験ある学生をもっと取り込んでいくべきであり、分野を下支えする若い人材を育成していくことが必要であるとの意見があった。

 最後に、主催者を代表してJASRI大野研究統括より挨拶があり、関係各位の御尽力により、「SPring-8シンポ」と「SPring-8産業利用報告会」とが合同で開催され、極めて成功裏の内に終了できたことに謝意が述べられた。

 パネルディスカッションには1時間30分の時間を設定していたが、予想以上に活発な議論が展開され、あっという間の終了時間となった。共用ビームラインばかりでなくサンビームや兵庫県ビームラインのユーザーの方など多くの産業利用報告会出席者に御参加頂いたことに感謝申し上げたい。しかしながら御参加頂いた多くの現役企業研究者の方からは御意見を伺うことができなかったことは少々残念であった。

 

 

7. 合同コンファレンスを終えて

 合同コンファレンスにはシンポ側から178名、報告会側から246名の参加登録を頂き、総参加者数は424名に達した。シンポに関して言えば、数字上、昨年度の326名から半減したことになる。しかし、昨年度の参加者が産業利用報告会側での参加登録に流れたことが主な原因であると考えられることから、実質数としては昨年並みであると分析している。但し、一昨年までサテライト的に行われた利用懇研究会のミーティングが開催されなかったことで、参加者数が減少傾向となった可能性も排除できない。他方、報告会に関して言えば、本年は景気後退の影響で企業ユーザーは以前よりも出張が難しくなったこともあって、参加者の大幅な減少を覚悟していたが、1日目229名、2日目185名、全参加者数246名で前年比約13%減にとどまりほっとしているというのが実感である。

 さて、初の「SPring-8シンポ」「SPring-8産業利用報告会」の合同開催(合同コンファレンス)には如何なる御評価を頂いたのか。当日、参加者にご記入いただいたアンケートでは、SPring-8シンポとの合同開催を「評価する」、もしくは「ある程度評価する」との回答が約63%で概ね好評だった。シンポ・報告会実行委員会では9月17日に会合を開き、「運営上、若干の課題は残したものの、その主旨に於いて合同開催は成功であった」との結論に至り、理化学研究所と高輝度光科学研究所で構成するSPring-8運営委員会に於いても、「来年度も合同コンファレンスの形態を踏襲し、2010年11月初旬を目途に開催の準備を進める」旨、了承されたところである。

 今回は、初の合同開催であったことから、シンポ側と報告会側のこれまでのスタイルを維持し、合同でありながらも各セッションの開始・終了時間などは独立した進行で行われた。そのため、参加者が横断的に交流する妨げとなってしまった点は否めない。また、ポスターセッションに関しては、場所、照明からプログラム上の工夫に至るまで配慮に欠ける点が多々存在した。合同コンファレンスを実施する上で参加者各位にご迷惑をお掛けしたことをお詫びしたい。来年度は可能な限り是正し、よりよい合同コンファレンスを目指したい。最後に、今回初の合同シンポに御参加、御協力頂いた全ての方々に深く御礼申し上げる。

 

 

9月3日(木)1日目

第13回SPring-8シンポジウム 第6回SPring-8産業利用報告会
会場 : 501
10:00 主催者挨拶 藤嶋信夫(理化学研究所 理事 播磨研究所長)
10:05 主催者挨拶 白川哲久(高輝度光科学研究センター 理事長)
10:10 来賓挨拶 文部科学省
10:30 招待講演 松原英一郎(京都大学)/放射光による2,3の金属材料分野の産学連携研究
11:00 招待講演 佐野雄二(東芝)/レーザーピーニング技術の開発におけるSPring-8の活用
11:30 ----- 昼休憩 -----
会場 : 501
12:50 重点産業利用課題研究
挨拶
山川晃(JASRI)
会場 : 503 12:55 重点産業利用課題研究
13:00 施設報告 HX-PESならびにXAFSを用いたITOとαNPD界面へ
SPring-8の現状 挿入されたMoO3超薄膜の構造ならびに電子状態解析
大野英雄(JASRI) 塩沢一成(三井化学分析センター)
13:20 施設報告 13:20 重点産業利用課題研究
拡がるSPring-8の光の特性利用 トランジスタ用有機多結晶薄膜における結晶子
ー学術研究から産学連携への展開ー サイズの評価
高田昌樹(理研/JASRI) 中村雅一(千葉大学)
13:40 施設報告
光源加速器の現状と将来 13:45 重点産業利用課題研究
大熊春夫(JASRI) オンボードレーザ融着光ファイバの微細構造観察
14:00 施設報告 小池真司(日本電信電話)
XFELとSPring-8で拓く光科学の新境地 14:10 ----- 休憩(5分) -----
石川哲也(理研) 14:15 重点産業利用課題研究
14:20 施設報告 刺激応答型自己組織化能を有する遷移金属錯体の
課題審査委員会からの報告 粉末X線構造解析
松下正(高エネルギー加速器研究機構) 高谷光(京都大学)
14:40 利用者懇談会と研究会活動の概要 14:40 重点産業利用課題研究
SPring-8利用者懇談会会長 ゴム接着処理後のブラス表面のHAX-PES解析
佐々木聡(東京工業大学) 鹿久保隆志(横浜ゴム)
15:00 萌芽的研究支援受賞講演
15:05 重点産業利用課題研究
放射光X線回折を利用した角層細胞間脂質の構造
15:20 解析に基づく医薬品・化粧品の開発
----- 休憩(15分) ----- 小幡誉子(星薬科大学)
15:30 会場 : ロビー・ホワイエ
15:35 利用懇研究会発表
最近の高分子科学研究会の活動 SPring-8産業利用報告会ポスター発表
山口登(住友化学)
16:05 利用懇研究会発表 重点産業利用課題研究
SPring-8における構造物性研究の新たな方向性 兵庫県ビームライン成果
澤博(名古屋大学) サンビーム研究
16:35 利用懇研究会発表 蛋白質構造解析コンソーシアム
原子配列を立体視するマイクロ分光顕微鏡 SPring-8利用推進協議会
大門寛(奈良先端科学技術大学院大学)
17:05 利用者懇談会からの報告と討論
SPring-8利用者懇談会担当幹事
18:00 会場 : 501
技術交流会(〜20:00)

 

 

9月4日(金)2日目

第13回SPring-8シンポジウム 第6回SPring-8産業利用報告会
会場 : 501
9:30 長期利用課題報告
共存する電荷秩序が作る機能と構造
寺崎一郎(早稲田大学)
10:10 長期利用課題報告 会場 : 503
膜輸送体作動メカニズムの結晶学的解明 10:30 兵庫県ビームライン成果
豊島近(東京大学) 挨拶
松井純爾(兵庫県放射光ナノテク研究所)
10:35 兵庫県ビームライン成果
Fe置換アルミノフォスフェイトの水吸着メカニズム
10:50 長期利用課題報告 伊村宏之(三菱化学科学技術研究センター)
遺伝子導入用DDS粒子のナノ構造と機能の相関 11:00 兵庫県ビームライン成果
櫻井和朗(北九州市立大学) SAXS/WAXS同時測定による炭酸カルシウム微細
粒子生成過程のその場観察
江口健一郎(白石中央研究所)
11:30 11:25 ----- 休憩(10分) -----
11:35 兵庫県ビームライン成果
兵庫県ビームラインへの期待
----- 昼休憩(60分) ----- 佐野則道(P&Gイノベーション合同会社)
12:00 兵庫県ビームライン成果
マイクロ小角散乱装置整備の現状
竹田晋吾(ひょうご科学技術協会)
12:30 利用懇研究会発表 12:25
応用的XAFS法を用いた地球化学・環境化学研究
高橋嘉夫(広島大学) ----- 昼休憩(65分) -----
13:00 利用懇研究会発表
生物時計のからくりを放射光で解き明かす
秋山修志(名古屋大学)
13:30 利用懇研究会発表 13:30 サンビーム研究発表
SPring-8における地球深部の流動特性の研究 挨拶
西原遊(愛媛大学) サンビーム協同体運営委員長
杉崎康昭(神戸製鋼所)
13:35 サンビーム研究発表
金属材料開発におけるSPring-8の活用
中山武典(神戸製鋼所)
14:00 会場 : ロビー・ホワイエ 14:00 サンビーム研究発表
2次元XAFS法を用いた二次電池材料の価数分布評
SPring-8シンポジウムポスター発表
山口聡(豊田中央研究所)
施設報告 14:25 サンビーム研究発表
利用者懇談会研究会 全反射X線回折による窒化物超格子の解析
パワーユーザー活動報告 川村朋晃(日亜化学工業)
長期利用課題報告 14:50 ----- 休憩(15分) -----
15:05 サンビーム研究発表
XMCDによるネオジム磁石の磁気評価
上田和浩(日立製作所)
15:30 利用者と施設者の意見交換 15:30 サンビーム研究発表
【パネラー】佐々木聡(東京工業大学) X線反射率、回折によるMnIr交換結合膜の磁気構造
      大野英雄(JASRI) 評価
土井修一(富士通研究所)
16:00 ----- 休憩(15分) ----- 15:55 ----- 休憩(20分) -----
16:15 会場 : 501
パネルディスカッション(産学連携)
【司  会】高原淳(九州大学)、竹村モモ子(東芝)
【パネラー】岡田明彦(住友化学)、古宮聰(JASRI)、佐々木聡(東京工業大学)、
松井純爾(兵庫県放射光ナノテク研究所)
17:45 閉会挨拶 大野英雄(JASRI)
17:50 終了

 

 

 

中村 哲也 NAKAMURA Tetsuya

(財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 分光物性IIグループ

〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1

TEL:0791-58-0833 FAX:0791-58-0830

e-mail:naka@spring8.or.jp

 

舟越 賢一 FUNAKOSHI Kenichi

(財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 構造物性Iグループ

〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1

TEL:0791-58-2750 FAX:0791-58-0830

e-mail:funakosi@spring8.or.jp

 

廣沢 一郎 HIROSAWA Ichiro

(財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室

〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1

TEL:0791-58-0924 FAX:0791-58-0988

e-mail:hirosawa@spring8.or.jp

 

鈴木 昌世 SUZUKI Masayo

(財)高輝度光科学研究センター 研究調整部

〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1

TEL:0791-58-0925 FAX:0791-58-0878

e-mail:msyszk@spring8.or.jp

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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