SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

早期公開 既公開版

SPring-8 Section A: Scientific Research Report

2011B1600 / BL09XU
一酸化窒素還元酵素の反応機構の解明のための核磁気共鳴非弾性散乱実験条件の確立
Establishment of Experimental Condition of Nuclear Resonance Vibrational Spectroscopy for Elucidation of Molecular Mechanism of Nitric Oxide Reductase-catalyzed Reaction

當舎 武彦a, 岡田 昇大a,b, 依田 芳卓c

Takehiko Toshaa, Norihiro Okadaa,b and Yoshitaka Yodac

a理化学研究所SPring-8, b兵庫県立大学, c(公財)高輝度光科学研究センター

aRIKEN, SPring-8 Center, bUniversity of Hyogo, cJASRI
Abstract

 一酸化窒素還元酵素(NOR)は、ヘム鉄と非ヘム鉄からなる複核中心を活性部位にもつ膜結合型の金属酵素であり、2分子の一酸化窒素(NO)を2当量の電子とプロトンを利用し、亜酸化窒素(N2O)に還元する。本研究では、核共鳴非弾性散乱(NRVS)測定によりNORの活性部位の詳細な構造情報を得ることを目的とし、その試料の調製法や測定条件を検討した。


キーワード: 核共鳴非弾性散乱、金属タンパク質、ヘム鉄、非ヘム鉄


2012A1300 / BL43IR
皮膚角層細胞間脂質モデルの確立と赤外吸収特性の評価
Preparation of Lipid Model of Stratum Corneum and Evaluation of Infrared Characteristics

小幡 誉子a, 森脇 太郎b, 池本 夕佳b, 太田 昇b

Yasuko Obataa, Taro Moriwakib, Yuka Ikemotob, Noboru Ohtab

a星薬科大学, b(公財)高輝度光科学研究センター

aHoshi University, bSPring-8/JASRI

Abstract

 代表的な脂質を組み合わせて調製した脂質モデルは、脂質組成によって赤外吸収特性が異なった。CH2 面内変角はさみ振動の比較において、皮膚表面温度付近で直方晶の存在を示唆する吸収ピークのスプリットが明確に認められる処方と、皮膚表面より低温ですでにピークが単一となっている処方があった。温度走査に伴う相転移挙動から推定される充填構造の変化は、微量脂質の添加の割合により大きく影響を受ける可能性が示唆された。


Keywords: 皮膚角層、細胞間脂質、ラメラ構造、充填構造、赤外吸収

2012A1484 / BL09XU
核共鳴非弾性散乱測定の膜結合型一酸化窒素還元酵素への適用
Application of Nuclear Resonance Vibrational Spectroscopy to Membrane-integrated Nitric Oxide Reductase

當舎 武彦a、依田 芳卓b

Takehiko Toshaa and Yoshitaka Yodab

a理化学研究所 SPring-8、b(公財)高輝度光科学研究センター

aRIKEN, SPring-8 Center, bJASRI

Abstract

 膜結合型一酸化窒素還元酵素(NOR)は、ヘム鉄と非ヘム鉄からなる複核中心を活性部位にもっており、2分子の一酸化窒素(NO)から亜酸化窒素(N2O)に還元する反応を触媒する。本研究では、NOR の活性部位構造を検討できる手法として核共鳴非弾性散乱(NRVS)に着目し、酸化型、還元型、配位子結合型試料の測定を行った。


Keywords: 核共鳴非弾性散乱、金属タンパク質、ヘム鉄、非ヘム鉄/p>

2012B1472, 2013A1535, 2015B1545 / BL04B1
D-DIA型高圧変形装置を用いたせん断変形および摩擦実験の試み
Experiments toward Shear and Frictional Deformation in D-DIA Apparatus

久保 友明a, 岩里 拓弥b, 肥後 祐司c, 今村 公裕c

Tomoaki Kuboa, Iwasato Takuyab, Yuji Higoc, Masahiro Imamurac

a九州大学, b新日本非破壊検査(株), c(公財)高輝度光科学研究センター

aKyushu University, bShin-Nippon Nondestructive Inspection Co., Ltd., cJASRI

Abstract

 D-DIA型高圧変形装置に一軸圧縮変形セルと単純せん断変形セル、二軸摩擦変形セルを組み込んで比較実験を行った。単純せん断変形セルを用いた実験では試料部で均質なせん断変形が起こったがその歪み量は小さく、また応力解析からせん断変形に加え一軸圧縮成分の寄与が認められた。二軸摩擦変形セルを用いた実験ではピストン−試料間で局所変形(スリップ)が起こり、ラジオグラフィー像の時分割測定からそれは安定すべりであることが示唆された。


Keywords: 深発地震、高圧変形実験、単純せん断変形、摩擦変形


2014B1053 / BL02B2
非合法性が疑われる未知薬物の粉末X線回折測定による構造解析
Structure Analysis of Unknown Drugs Suspected of Illegality using Powder Diffraction Method

橋本 敬, 本多 定男

Takashi Hashimoto, Sadao Honda

(公財)高輝度光科学研究センター

 JASRI

Abstract

 放射光を用いた非破壊的な高感度X線回折法によって、乱用薬物の危険ドラッグの結晶構造解析を行った。測定は結晶をメノウ乳鉢で粉砕しリンデマン製ガラスキャピラリー(内径 0.3 mmΦ)に入れ粉末X線回折測定を行った。測定データの解析はEXPOを用いた直接法により初期構造を決定し、リガクのPDXLを用いて精密化を行うことができた。


キーワード: 科学捜査、合成覚せい剤類、粉末X線回折


2014B1527 / BL20XU
形成期の惑星内部における鉄合金メルトとケイ酸塩の分離過程
Metal-Silicate Separation Process in the Planetary Interior

岸本 俊八a, 浦川 啓a, 寺崎 英紀b, 桑原 荘馬b, 西田 圭佑c, 坂巻 竜也d, 竹内 晃久e, 上杉 健太朗e

Syun-Pachi Kishimotoa, Satoru Urakawaa, Hidenori Terasakib, Soma Kuwaharab, Keisuke Nishidac, Tatsuya Sakamakid, Akihisa Takeuchie, Kentaro Uesugie

a岡山大学, b大阪大学, c東京大学, d東北大学, e (公財)高輝度光科学研究センター

aOkayama University, bOsaka University, cUniversity of Tokyo, dThohoku University, eJASRI

Abstract

 形成期の惑星内部で起きた金属核と珪酸塩マントルの分離過程について高温高圧実験とX線CT測定を用いて調べた。部分溶融したマントル内でFe-Sメルトはその体積が10~18%を超えるとネットワークを形成する。その結果、Fe-Sメルトはマントルを浸透流として沈降し重力分離を起こす。また、マントルが高いメルト分率を持ち液体的に振る舞う場合、マントルの上にあるFe-Sメルト層は直ちにダイアピルを形成し沈降を始める。


Keywords: 核・マントル分離過程、X線マイクロCT、高温高圧


2014B3801 / BL23SU
Cs吸着バーミキュライトの軟X線放射光光電子分光
Photoemission Spectroscopy with Soft X-ray Synchrotron Radiation for Cs-adsorbed Vermiculite

寺岡 有殿

Yuden Teraoka

(国研) 量子科学技術研究開発機構

National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology

Abstract

 粘土鉱物に吸着したセシウムの化学結合状態に関する情報を得るため、粘土鉱物の一種であるバーミキュライトにセシウムを吸着させ、軟X線放射光を用いた高分解能光電子分光を試みた。粘土鉱物の絶縁性のために粉末試料の帯電は避けられず、試料の成分元素の光電子ピークを解析することは困難であるが、帯電シフトしない光電子ピークも観測されたことから、バーミキュライトに吸着したセシウムの内殻結合エネルギーを評価できることが分かった。


Keywords: 軟X線放射光光電子分光、バーミキュライト、帯電、セシウム


SPring-8 Section B: Industrial Application Report

2012A1763 / BL19B2
BL19B2X線小角散乱装置の集光ミラー導入による信号強度向上の検討
Improvement of Signal of X-ray Small Angle Scattering Measurement at BL19B2 Installing Horizontal Focusing Mirror

佐藤 眞直

Masugu Sato

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 測定能率向上を目的として、2012年度夏季停止期間に水平集光ミラーを光学ハッチに導入して入射X線ビームフラックスを向上することによる信号強度増強を検討しているBL19B2のX線小角散乱装置において、改造による信号強度利得を評価するために、参照試料(界面活性剤混合試料、Cu-Cu合金試料)の小角散乱プロファイル測定を行った。


Keywords: X線小角散乱、ヘルスケア、金属、集光ミラー


2012B1396 / BL14B2
KyLi1-yTaxNb1-xO3結晶のXAFSを用いたトラップに関する研究
Studies on Trap in KyLi1-yTaxNb1-xO3 Crystals Using XAFS

豊田 誠治, 宮津 純*, 小林 潤也

Seiji Toyoda, Jun Miyazu*, Junya Kobayashi

日本電信電話株式会社 NTTデバイスイノベーションセンタ, *現所属:日本電信電話株式会社 NTT知的財産センタ

NTT Device Innovation Center, NTT Corporation, *Present affiliation: NTT Intellectual Property Center, NTT Corporation

Abstract

 電気光学結晶KyLi1-yTaxNb1-xO3(KTN)結晶のトラップに関する知見を得るためにTa、Nb吸収端のXAFSを測定した。XAFSの測定結果を解析したところ、KTN結晶のNbおよびTaの化学状態に対するトラップの影響は確認できなかった。一方、最近接のTa-Taおよび最近接のNb-Nbに基づくXAFS信号が弱いことがわかった。これは、KTN結晶のTaとNbがクラスター的に集合しているのではなく、ランダムに配列しているためと考えられた。

2012B1520 / BL19B2
BL19B2X線小角散乱装置の集光ミラー導入による信号強度向上の検討II
Improvement of Signal of X-ray Small Angle Scattering Measurement at BL19B2 Installing Horziontal Focusing Mirror II

佐藤 眞直

Masugu Sato

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 BL19B2のX線小角散乱装置は測定能率向上を目的として、2012年度夏季停止期間に水平集光ミラーを光学ハッチに導入して入射X線ビームフラックスを向上することによる散乱信号強度増強をおこなった。本実験では、参照試料(グラッシーカーボン、界面活性剤混合試料)の小角散乱プロファイル測定を行い、水平集光ミラー導入前の2012A期に実施した同参照試料の事前測定データと比較することにより、改造による信号強度利得の評価を行った。その結果約50倍の利得を得ることに成功していることがわかった。


Keywords: X線小角散乱、ヘルスケア、金属、集光ミラー


2012B1894 / BL19B2
放射光X線小角散乱法によるZr-Cu-Ni-Al-(Pd, Pt, Ag or Au)系 金属ガラスにおける構造不均一性の評価と塑性変形誘起ナノ結晶化挙動の解明
Evaluation of Structural in Homogeneity by Small Angle Synchrotron Radiation X-ray Scattering and Elucidation of Plastic Deformation Induced Nanocrystallization Behavior in Zr-Cu-Ni-Al-(Pd, Pt, Ag or Au) Bulk Metallic Glasses

山田 昌弘*, 神里 良, 吉田 慎二, 足立 大樹, 山崎 徹

Masahiro Yamada*, Ryo Kamizato, Shinji Yoshida, Hiroki Adachi, Tohru Yamasaki

兵庫県立大学大学院

University of Hyogo

*現所属:NTN株式会社

*Current affiliation: NTN Corporation

Abstract

 Zr-Cu-Ni-Al系金属ガラスにおけるPd、Au等の貴金属元素の添加は、非晶質構造中にナノクラスターを形成し、塑性変形能を改善させる。また、Au添加合金においては、ガラス転移温度( Tg )以下でのAnnealによって、さらに大きく塑性変形能が改善する。本研究では、Zr-Cu-Ni-Al-(Pd, Pt, Ag or Au)系金属ガラスのAnneal前後でのX線小角散乱を測定し、非晶質構造の不均一性について評価した。Au添加合金では、Ag、Pt添加合金と比べて、圧縮破面近傍での散乱強度の増加が小さく、せん断帯付近における不均一性の成長が抑制されることから、高い塑性変形能を示すと考えられる。


Keywords: Zr-Cu-Ni-Al系金属ガラス,構造不均一性,変形誘起ナノ結晶化,X線小角散乱


2013A1802 / BL14B2
ガラスからのゼオライト合成とガラス中Srの局所構造評価
Synthesis of Zeolite from Glass and Investigation of Local Structures of Sr in the Glass

小橋 正a, 内海 康彦a, 柿森 伸明a, 佐藤 充孝b, 中平 敦c

Tadashi Kobashia, Yasuhiko Utsumia, Nobuaki Kakimoria, Mitsutaka Satob, Atsushi Nakahirac

aシャープ(株), b東北大学金属材料研究所, c大阪府立大学

aSharp Co., Ltd., bIMR, Tohoku University, cOsaka Prefecture University

Abstract

 液晶テレビに使用されているガラスを原料として合成したゼオライトと、原料のガラス中のSrの局所構造をXANESにより評価した。その結果、ゼオライトの生成量を増加する効果をもたらすガラス原料の酸処理によって、ガラス原料中のSr濃度は変化するが局所構造は変化していないことが判った。また、生成したゼオライト中のSrの局所構造をXANESで評価した結果、ガラス原料中のSrはゼオライトの構造には寄与せず、合成後もガラス原料中のSrと同じ局所構造を示すことが判明した。


Keywords:  ガラス、ゼオライト、Sr、局所構造、XANES


2013A1811 / BL19B2
BL19B2のX線小角散乱装置におけるバックグラウンド低減の検討
Reduction of Instrumental Background Signal of Small Angle X-ray Scattering Measurement at BL19B2

佐藤 眞直

Masugu Sato

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 BL19B2における極小角X線散乱(USAXS)測定、および小角X線散乱(SAXS)測定のバックグラウンド低減の為、真空パス等の測定装置の構成部品起因のBG源の特定、サンプル周りの空気散乱のビームパス長さ依存性の検討、真空パスの窓からの散乱プロファイルについて窓材(カプトン、スペリオUT、Be窓)による違いの検討を行った。BG源の特定についてはカプトンフィルムを散乱体としてUSAXS測定の光学系の途中に挿入し、BGプロファイルへの影響を検討することで行った。その結果、USAXS測定のサンプルを設置している第2実験ハッチ内がBG源になっている可能性が高いことがわかった。また、サンプル周りの空気パスからの散乱については、USAXS測定ではその長さ変更によってBGプロファイルに影響がほとんど見られないことからこの空気パスからの散乱のBGへの寄与はほとんどないことがわかった。一方SAXS測定ではこの空気パスを長くすると高q域のBGが大きくなる影響が確認された。真空パスの窓材からの散乱についてはスペリオUTフィルムがカプトンフィルム、Be窓よりもUSAXS、SAXS測定ともに十分に散乱が小さく、BG抑制に適した窓材であることが確認できた。


Keywords: 界面活性剤、金属組織、析出物、USAXS、SAXS


2013B1823 / BL14B2
使用済み液晶ディスプレイガラスからのゼオライト合成と遷移金属の局所構造解析
Synthesis of Zeolite from Wasted LCD Panel Glass and Investigation of Local Structures of Transition Metals

小橋 正a, 鴻池 知輝a, 内海 康彦a, 柿森 伸明a, 佐藤 充孝b, 八木 俊介c*, 中平 敦c

Tadashi Kobashia, Tomoki Kounoikea, Utsumi Yasuhikoa, Nobuaki Kakimoria, Mitsutaka Satob, Shunsuke Yagic*, Atsushi Nakahirac

aシャープ(株), b東北大学金属材料研究所, c大阪府立大学

aSharp Co. Ltd., bIMR, Tohoku University, cOsaka Prefecture University

*:現所属:東京大学

*: Current affiliation: The University of Tokyo

Abstract

 使用済み液晶ディスプレイに使用されているガラス基板を原料として、作製したゼオライトに含まれている遷移金属であるCuおよびInの局所構造をXAFSにより調べた。その結果、廃液晶ディスプレイガラスから合成したゼオライトには、ガラス基板の電極中に含まれているCuが2価イオンと類似の構造で存在していることがわかった。また、Inは合成前後で In2O3 と同様の局所構造をとっていることが判明した。


Keywords: ガラス、ゼオライト、液晶ディスプレイ、Cu、In、局所構造、XAFS


2014A1142 / BL40XU
科学鑑定のためのプラスチックフィルムの放射光Ⅹ線小角/広角散乱分析
Simultaneous SAXS/WAXS Analysis of Plastic Films for Criminal Investigation

橋本 敬, 本多 定男, 青山 光輝, 八木 直人

Takashi Hashimoto, Sadao Honda, Kouki Aoyama, Naoto Yagi

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 放射光を用いた小角および広角散乱分析法によって、ポリ袋などのポリエチレンフィルムの分析を行った。測定はフィルムの垂直方向にX線を入射し散乱の二次元回折像から2θプロファイルを算出した。小角散乱データからはポリエチレンのLDPE、LLDPE、HDPEの種別を識別することができ、同一種別内の製品グレードの異同識別も可能であることが分かった。


Keywords:科学捜査、プラスチックフィルム、X線小角散乱分析


2014B1612 / BL19B2
時分割超小角X線散乱によるシリカ充填ゴムの周期変形下における シリカの分散状態の変化に関する研究
Structural Analysis of Silica-filled Rubber Under Cyclic Deformation Using Time-resolved Ultra-small Angle X-ray Scattering

三原 諭a, 網野 直也a, 鈴木 翔b, 西辻 祥太郎b, 竹中 幹人c

Satoshi Miharaa, Naoya Aminoa, Shou Suzukib, Shotaro Nishitsujib, Mikihito Takenakab

a横浜ゴム株式会社, b山形大学, c京都大学

aYokohama Rubber Co., Ltd., bYamagata University, cKyoto University

Abstract

 周期変形下におけるシリカ充填ゴムの内部構造変化を、時分割超小角X線散乱にて観察した。q = 0.02 - 0.03 nm−1 付近の散乱強度の時間依存性を調べたところ、変形方向と、変形に対して垂直方向で、大きな位相のずれを観測した。この結果はシリカ充填ゴムに変形を印加するとシリカの分散構造の不均一化が起こることを示唆する。シリカ用変性SBRでは、シリカのアグリゲートの基本単位の構造を表す q = 0.02 - 0.03 nm−1 付近のショルダーが、未変性SBRに比べて広角側にシフトすることがわかった。また、シリカ用変性SBRのtanδは、未変性SBR配合ゴムに比べて相対的に低い値を示すことから、シリカ充填SBRのエネルギーロスはシリカのアグリゲートの基本単位の大きさに強く依存することが示唆された。


Keywords: シリカ,凝集,分散、粘弾性/p>

2015B1598 / BL14B2
使用済み液晶ディスプレイガラスからの ゼオライト合成とCu局所構造解析
Synthesis of Zeolite from Wasted LCD Panel Glass and Investigation of Local Structures of Cu

小橋 正a, 鴻池 知輝a, 内海 康彦a, 柿森 伸明a, 佐藤 充孝b, 八木 俊介c*, 中平 敦c

 

Tadashi Kobashia, Tomoki Kounoikea, Utsumi Yasuhikoa, Nobuaki Kakimoria, Mitsutaka Satob, Shunsuke Yagic*, Atsushi Nakahirac

aシャープ(株), b東北大学金属材料研究所, c大阪府立大学

aSharp Co., Ltd., bIMR, Tohoku University, cOsaka Prefecture University

* 現所属:東京大学

* Current affiliation: The University of Tokyo

Abstract

 液晶ディスプレイガラスから合成したガラスゼオライトのCuの局所構造を調べるため、液晶ディスプレイガラス基板の電極中に含まれるCuがゼオライト合成後にとる局所構造と、合成後にさらにイオン交換によりCuを担持させた際の局所構造の変化をXAFSにより分析した。電極中に含まれるCuは、合成後にゼオライトに取り込まれた場合と、合成後にさらにイオン交換によりCuを担持させた場合とでは、XANESスペクトルが異なり、もともと電極中に含まれていたCuはイオン交換サイトに存在するCuと異なる局所構造をとることが示唆された。また、原料ガラスの粒径によっても生成物のCuの局所構造が異なることが判明した。


Keywords: ガラス、ゼオライト、液晶ディスプレイ、Cu、局所構造、XAFS


2016A1506 / BL14B2
Pd含有材料の in-situ XAFS 測定
In-situ XAFS Measurement of the Pd -containing Materials

黒岡 和巳, 上野 巌, 畑 秀樹, 米住 元匡

Kazumi Kurooka, Iwao Ueno, Hideki Hata, Motomasa Yonezumi

パナソニック(株)

Panasonic Co., Ltd.

Abstract

 大量の水素を安定的に安価で貯蔵する技術開発が望まれており、我々は、水素貯蔵ができる新規Pd含有材料の開発を行っている。今回、本材料の水素貯蔵メカニズムについて細孔径が異なるゼオライト(4A、13X、4Aナノ、ZSM5)から合成したPd含有ゼオライトへの水素の貯蔵・放出過程での構造変化を、Pd-K端の in-situ XAFS測定を行うことによって評価した。

 今回の実験では、いずれの試料もPdは水素暴露によってPd-Oが還元され、Pd-Pd距離が金属Pdの距離よりも伸びていること、水素貯蔵後に温度を上げるとPd-Pd距離が短くなったことから、今回の材料では、水素はPd-Pd間に導入され、加熱によって脱離し、Pd金属に変化していることが確認できた。しかしながら、細孔サイズによる吸着挙動に差異は明らかにできなかった。


Keywords: XAFS、Pd、水素貯蔵、ゼオライト


2016B1557 / BL19B2
小角X線散乱による末端機能化ゴム材料を用いた 配合物中でのシリカの三次元階層構造の解析(2)
Analysis of Three-dimensional Hierarchical Structure of Silica in Formulation with Advanced Rubber Material Having Functionalized Polymer Ends by Small Angle X-ray Scattering (2)

曽根 卓男, 冨永 哲雄, 湯淺 毅, 千賀 寛文, 山村 浩樹

Takuo Sone, Tetsuo Tominaga, Takeshi Yuasa, Hirofumi Senga, Hiroki Yamamura

JSR株式会社

JSR Corporation

Abstract

 低燃費タイヤに用いられる末端機能化スチレン・ブタジエンゴムの基礎データとして、BL19B2に設置した一軸延伸装置を使用し、加硫ゴムシートを延伸させながら、応力と小角X線散乱の同時測定を行い、補強剤として使用されるシリカの凝集状態や階層構造の変形挙動を観察した。延伸倍率の増加に伴い、補強剤に由来する二次元散乱像の異方性は大きくなった。そして、異方性の大きさは官能基の有無に依存し、重合体末端と補強剤表面との相互作用の強さが、変形時の凝集状態や階層構造に大きく影響を及ぼした。


Keywords: 合成ゴム、末端機能化SBR、シリカ、応力、小角X線散乱


2016B1881 / BL14B2
燃料電池カソード触媒の合成過程の in-situ XAFS 測定
In-situ XAFS Measurements for Synthesis Process of Cathode Catalysts for Fuel Cell

岸 浩史a, 坂本 友和a , 山口 進a, 松村 大樹b, 田村 和久b, 西畑 保雄b

Hirofumi Kishia, Tomokazu Sakamotoa, Susumu Yamaguchia, Daiju Matsumurab, Kazuhisa Tamurab, Yasuo Nishihatab

aダイハツ工業(株), b(国研)日本原子力研究開発機構

aDaihatsu Motor Co., Ltd., bJAEA

Abstract

 貴金属を使用しない燃料電池カソード触媒の反応機構を明確にするために、X線吸収微細構造(XAFS)のその場測定に取り組んでいる。今回、Fe錯体触媒の選択性向上に寄与する局所構造(Feメタル粒子低減)[1]の生成要因を検証するため、異種材料(前駆体)で合成中(材料混合、熱処理)の触媒についてFeの配位数・価数の差異を調査した。ex-situ 解析から異種前駆体を用いた触媒において、材料混合時にFeメタル粒子のピーク強度に差異がみられた。また、熱処理中の in-situ 解析から前駆体の融点近傍でFeの価数が大きく変化していることが分かった。Feの局所構造および電子状態に前駆体種の寄与が大きいことを示唆する結果を得た。


Keywords: 燃料電池、アニオン交換膜形、非貴金属カソード触媒、in-situ XAFS


2017A1587 / BL19B2
シンバル音の減衰に及ぼす転位密度の影響に関する研究
A Study on the Correlation between the Dislocation Density and the Decay Time of Cymbal Sounds

小川 渉a, 鞍谷 文保b, 文珠 義之a, 小出 俊雄c, 菖蒲 敬久d, 佐藤 眞直e, 筧 瑞恵f, 長村 光造g

Wataru Ogawaa, Fumiyasu Kuratanib, Yoshiyuki Monjua, Toshio Koidec, Takahisa Shobud, Masugu Satoe, Mizue Kakehif, Kozo Osamurag

a(株)大阪合金工業所, b福井大学, c(株)小出製作所, d日本原子力機構, e(公財)高輝度光科学研究センター, f福井県工業技術センター, g(公財)応用科学研究所

aOsaka Alloying works. Co., Ltd., bUniversity of Fukui, cKoide Industrial Co., Ltd., dJAEA, eJASRI, fIndustrial Technology Center of Fukui Prefecture, gResearch Institute for Applied Sciences

Abstract

 本研究では、シンバルの音質において重要な要素となる音の減衰時間と材料の転位密度との相関を明らかにすることにより、音質を制御するための材料設計及び加工工程設計の指針を得ることにある。2種類の素材を用いてシンバルに加工すると、減衰が速いシンバル、遅いシンバルの2種類のシンバルを作成できることがわかっており、特に減衰が速いシンバルは転位密度が向上していると推察した。しかし解析の結果、シンバルへの加工が主安定相から準安定相への相変態を誘起していることを示唆しており、当初の推論の見直しが必要となった。


Keywords: 転位密度、体鳴楽器、シンバル、減衰、高錫ブロンズ合金、音響解析、X線回折


SPring-8 Section C: Technical Report

2014A1888 / BL40B2
BL40B2の広角散乱測定におけるバックグラウンドの低減
Reduction of Background Noise in Wide-angle X-ray Scattering Measurement at BL40B2

太田 昇, 関口 博史, 青山 光輝

Noboru Ohta, Hiroshi Sekiguchi, Koki Aoyama

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

薄膜やアモルファス試料からの弱いX線散乱強度を高精度に計測するために、バックグラウンドの低減が期待できるサンプル用真空チェンバーを作成し、その評価を行った。この真空チェンバーは、大型2次元X線検出器で散乱X線を計測できるように開口の設計を行い、BL40B2における最短のカメラ長 280 mmで広角散乱計測に用いることが可能であった。作成した真空チェンバーは、ブロードで弱い散乱強度を示す高分子薄膜や繊維などをサンプルとするユーザー実験でS/B比の改善に利用可能である。


キーワード:広角散乱、薄膜、真空カメラ


2014A1894 / BL14B2
多目的ハイスループット回折計の設置調整 および検出器インストールに関する予備的技術検討
Preliminary Study of Versatile High-Throughput Diffractometer

大坂 恵一a,松本 拓也b,渡辺 剛a,佐藤 眞直a

Keiichi Osakaa, Takuya Matsumotob, Takeshi Watanabea, Masugu Satoa

a(公財)高輝度光科学研究センター,b(株)スプリングエイトサービス

aJASRI, bSPring-8 Service Co., Ltd.

Abstract

 BL14B2産業利用IIビームラインに設置した多目的ハイスループット回折計に関して、装置アライメントに必要なX線強度計測機器整備、ならびにピンホールなどの治具の性能検証など、装置立ち上げに関わる予備的な技術検討を行った。その結果、回折計を精密にアライメントするためには、装置部品の高剛性化を図る必要があることがわかった。


キーワード: 粉末回折,新装置開発,自動化,高効率化,高度化


2014A1905 / BL35XU
Optimization of the KB Mirror Installation at BL35XU

Satoshi Tsutsuia, Hiroshi Uchiyamaa, Alfred Q. R. Barona, b

aJapan Synchrotron Radiation Research Institute (JASRI)

bRIKEN SPring-8 Center

Abstract

BL35XU is a high resolution inelastic scattering beamline for measuring atomic dynamics of materials using X-rays. Typical beam size for inelastic X-ray scattering experiments at BL35XU is 60 to 100 µm diameter using a bent-cylindrical mirror. BL35XU sometimes operates with a smaller beam for measurements of small samples such as samples installed in diamond anvil cells. KB mirrors have been used for such experiments since 2007. However, since ~2012, the time required for KB installation has increased, sometimes to as much as 2 days. In order to reduce the time for installation of the KB mirrors and clarify the problems during the installation, we investigated and resolved the problems related to installation of the KB mirrors.


Keywords: KB mirror installation, inelastic X-ray scattering


2014B2055, 2015A2039, 2015B1984, 2016A1835, 2016B1133 / BL27SU
軽元素材料の低侵襲ナノスケール観察を目指した 結像型軟X線顕微鏡の開発
Development of the Full-Field Imaging Microscope for Nanoscale Analysis with Minimal Radiation Damage

為則 雄祐, 星野 真人

Yusuke Tamenori and Masato Hoshino

公益財団法人高輝度光科学研究センター

JASRI/SPring-8

Abstract

 ウォルター鏡を対物レンズとして使用した、結像型の軟X線顕微鏡開発を行った。本課題ではその第一段階として、フレネルゾーンプレートを対物レンズとして使用した顕微鏡を製作し、軟X線画像検出器・光学素子の精密位置調整機構など、顕微鏡の構成要素の開発・テストを行った。さらに、それらを使用したイメージングテストを行い、約 200 nm の空間分解能で二枚貝殻の顕微分光観察に成功したことで、開発したシステムに大きな問題が無いことを確認した。引き続き、対物レンズとして32倍の拡大率を持つウォルター鏡を搭載し、全反射鏡を対物レンズとして使用する場合の問題点の洗い出しを主目的とした課題を実施した。


キーワード: 軟X線、顕微イメージング、結像型顕微鏡、ウォルター鏡


2015B1093, 2016B1918 / BL08W
コンプトン散乱元素分析手法の貴金属被膜下及び卑金属被膜下の金属に対する検出下限の検証
Verification of the Lower Detection Limit of Compton Scattering Element Analysis under the Noble Metal and Base Metal Coverage

長谷川 美来a, 橋本 敬b, 伊藤 真義b, 本多 定男b, 秋枝 毅a, 松本 啓嗣a, 櫻井 吉晴b

Miku Hasegawaa, Takashi Hashimotob, Masayoshi Itoub, Sadao Hondab, Takeshi Akiedaa, Yoshitugu Matsumotoa, Yoshiharu Sakuraib

a東京税関, b(公財)高輝度光科学研究センター

aTOKYO CUSTOMS, bJASRI

Abstract

 SPring-8 BL08Wの高エネルギーX線により、非破壊で貴金属の贋造品や卑金属で覆われた貴金属の内部材質の同定が可能か否か検証した。その結果、金板を卑金属板(50~600 μm)で覆った場合には内部材質である金の蛍光X線が検出された。一方、内部材質を卑金属板とし、金板(127 μm)で覆った場合には、内部材質が軽元素(鉄、銅)の場合、蛍光X線は検出されなかったが、これらはコンプトン散乱の観測により、同定が可能となった。


キーワード: コンプトン散乱、高エネルギーX線、貴金属偽装


SACLA

2014B8019 / SACLA BL3
時間分解硬X線光電子分光による重い電子系における価数転移・価数揺動現象の動的観測
Dynamical Observation of Valence Transitions and Fluctuations in Heavy Fermion Systems by Means of Time-Resolved Hard X-Ray Photoemission Spectroscopy

松波 雅治a, 大浦 正樹b, A. Chainanib, L.-P. Oloff c, 藤森 伸一d, 田中 義人e, 松下 龍樹e, 白石 龍太郎e, 富樫 格b

Masaharu Matsunamia, Masaki Ourab, Ashish Chainanib, Lars-Philip Oloff c, Shin-ichi Fujimorid, Yoshihito Tanakae, Ryuki Matsushitae, Ryutaro Shiraishie, Tadashi Togashib

a(共)自然科学研究機構, b(国研)理化学研究所, cキール大学, d(国研)日本原子力研究開発機構, e兵庫県立大学

aNational Institutes of Natural Sciences, bRIKEN, cUniversity of Kiel, dJAEA, eUniversity of Hyogo

Abstract

 本研究では、一次の価数転移を示す YbInCu4 に対してSACLAにおけるポンプ・プローブ型時間分解硬X線光電子分光(HAXPES)を行った。XFELによる光電子の空間電荷効果を抑えた条件下においても価数転移によるYb 3d 内殻スペクトルの変化を観測することができたが、一方でそのような条件下ではポンプ光とプローブ光の遅延時間依存性、およびポンプレーザー光の強度依存性ともに有意な変化を見出すことはできなかった。


Keywords: XFEL、ポンプ―プローブ、価数揺動


2014A8028 / SACLA BL3
Resonant X-Ray Second Harmonic Generation

S. Yudovicha, M. Fuchsb, J. B. Hastingsc, Y. Inubushid, T. Katayamae, D. A. Reisc,f, M. Yabashid, and S. Shwartza

aBar Ilan University, bUniversity of Nebraska, cSLAC National Accelerator Laboratory, dRIKEN SPring-8 Center, eJapan Synchrotron Radiation Research Institute, JASRI, fStanford University

Abstract

The purpose at this beamtime was to observe coherent resonant second harmonic generation (SHG) in Gallium Arsenide (GaAs) around the Ga K-edge. The experiment followed a previous measurement of SHG far above resonances in diamond preformed at the SACLA x-ray free electron laser [1]. However, as opposed to the case of far above resonance SHG, the description of resonant SHG requires a full quantum model. We did not measure nonlinear second harmonic generation in GaAs during that beamtime. We could only estimate an upper limit for the magnitude of the effect.


Keywords: Nonlinear Optics, Nonlinear Spectroscopy, Ultrafast effects, X-ray Optics