SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

早期公開 既公開版

SPring-8 Section A: Scientific Research Report

2015A1418 / BL43IR
水素結合型混合原子価レニウム錯体における遠赤外吸収スペクトル
Far-Infrared Absorption Spectra in Hydrogen-Bonding Mixed-Valence Re Complexes

松井 広志a, 富田 京志a, 赤城 達弥a, 池本 夕佳b, 田所 誠c

Hiroshi Matsuia, Atsushi Tomidaa, Tatsuya Akagia, Yuka Ikemotob, Makoto Tadokoroc

a東北大学, b(公財)高輝度光科学研究センター, c東京理科大学

aTohoku Univ., bJASRI/SPring-8, cTokyo Univ. of Science

Abstract

 N-H…N水素結合で結ばれたダイマーを基本単位とする混合原子価レニウム錯体単結晶試料について、顕微遠赤外分光実験を行い、吸光度スペクトルの温度変化を測定した。各種分子振動を観測し、DFT計算により帰属した。X線・中性子線結晶構造解析から、プロトンはN-N間の中心付近に分布することが分かり、プロトントンネルを期待したが、吸光度スペクトルには、トンネル等に起因した異常な吸収バンドは見出せず、局在したプロトンの振動状態のみを捉えた。


Keywords:遠赤外分光、顕微分光、電子プロトン連動、レニウム錯体


SPring-8 Section B: Industrial Application Report

2014B1605 / BL46XU
異常分散X線回折法による電池正極材料LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2の構造解析
Structural Study of Lithium Battery Cathode Material LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2 by Anomalous Dispersive X-ray Diffraction

北原 周, 大園 洋史, 河野 研二, 世木 隆

Amane Kitahara, Hiroshi Ozono, Kenji Kono, Takashi Segi

株式会社コベルコ科研

Kobelco Research Institute, Inc.

Abstract

 Liイオン二次電池に用いられる3元系正極材 LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2 の結晶構造解析を行うため、異常分散X線回折法を検討した。電池劣化の一因とされるカチオンミキシングと遷移金属元素種の関係を調べるため、NiとCoの挙動に着目し、CoとNiの K 吸収端近傍の異常分散を利用した。充放電サイクル試験前後においてNiの異常分散X線回折強度に違いがみられ、CoよりもNiの方がカチオンミキシングに影響することが示唆された。


Keywords:異常分散X線回折、二次電池正極材料、層状岩塩構造、カチオンミキシング


2015A1006 / BL01B1
Ag含有ゼオライト蛍光体の実用化のための局所構造解析
― 水中におけるAg交換X型ゼオライトのAg局所構造 ―
Local Structure Analysis for Practical Use of Ag-containing Zeolite Phosphors
– Local Structure around Ag for Ag-exchanged X-type Zeolite in Water –

阪根 英人a, 都丸 琢斗a, 藤木 伸爾b, 杉山 公寿b

Hideto Sakanea, Takuto Tomarua, Shinji Fujikib, Koju Sugiyamab

a山梨大学, bレンゴー株式会社中央研究所

a University of Yamanashi, b Rengo Co., Ltd.

Abstract

 Ag+ 交換した種々のゼオライトの、蛍光を示す調製条件と示さないものの Ag K 吸収端EXAFSを測定した。それらのうち、水中でも蛍光を発する Ag+ 交換したX型ゼオライトについて、水中での Ag の局所構造を解析した。Ag の含有量や交換後の処理温度を変化させると蛍光スペクトルの高さは変化したが、ピークの形や位置はほとんど変化しなかった。一方、EXAFSの解析によるフーリエ変換について、強度はいくらか変化するが形はほぼ変わらず、カーブフィッティング解析した局所構造も処理温度の違いによる変化がまったくなかった。


Keywords:Ag 交換ゼオライト、蛍光体、EXAFS