SPring-8利用研究課題募集の概要
SPring-8の利用をお考えの方は、利用研究課題申請の前に下記をご確認ください。
1.利用期と利用できるビームライン
1.1 利用期
SPring-8では、1年間の運転を大きくA期(年度の上期)とB期(同下期)に分けて運用しています*。
例)202*A期:202*/04/01 – 202*/08/31
202*B期:202*/09/01 – 202*/03/31
上記には、夏期点検調整期間、冬期点検調整期間を含みます。なお、年6回募集対象BLにおいては、AI〜III期、BI〜III期と年6回に分ける運用を実施しています。
個別の課題の利用日については、必ずしも希望に応じられるとは限りませんのであらかじめご了承ください。
1.2 利用できるビームライン
共同利用で利用可能なビームラインは、SPring-8共用ビームライン全26本、CryoTEM、理研ビームライン13本です。ビームラインごとに募集している課題については、5月頃(B期分)または11月頃(次年度A期分)に公表される募集要項にてご確認ください。
また、ビームラインの詳細については、「ビームライン一覧」をご覧ください。
<募集回数と対象ビームライン>
募集回数 |
対象ビームライン |
2回/年 |
共用ビームライン |
BL04B1, BL04B2, BL08W, BL10XU BL20XU, BL20B2, BL25SU, BL27SU, BL28B2, BL35XU, BL37XU, BL39XU, BL40XU, BL40B2, BL41XU, BL43IR, BL45XU, BL47XU |
CryoTEM |
EM01CT, EM02CT, EM03CT, EM04CT (ビームラインとの併用が必須) |
理研ビームライン |
BL05XU, BL07LSU, BL17SU, BL19LXU, BL26B1, BL29XU, BL32B2, BL32XU, BL36XU, BL38B1, BL43LXU, BL44B2 |
6回/年 |
共用ビームライン |
BL01B1, BL02B1, BL02B2, BL09XU, BL13XU, BL14B2, BL19B2, BL46XU |
理研ビームライン |
BL16XU |
2.利用研究課題の種類と応募資格
利用研究課題の種類:
利用には大きく分けて、成果専有利用と成果非専有利用の2つの利用形態があります。成果専有利用では、成果公開の義務がない代わりに、利用時間に応じたビーム使用料が課せられます。成果非専有利用では、論文等により研究成果を公表していただくかわりにビーム使用料は免除となります(詳細は「5.利用にかかる料金等について」を参照)。重点領域や課題の有効期間等に特徴を持つ複数の課題種が設定されており、現在応募可能な課題は表1に示すとおりです。
<表1>
一般課題 | 放射光を利用した一般的な研究全般を対象とする課題。 | 年2回/年6回 |
大学院生提案型課題 | 将来の放射光研究を担う人材の育成を図ることを目的とし、大学院生が主体的に立案、提案、遂行することを奨励する課題。課題実行時に博士後期課程の大学院生が対象。 | 年2回/年6回 |
大学院生提案型課題(長期型) | 大学院生提案型課題のうち、課題の有効期間を博士後期課程の1〜3年とすることにより、学生教育のための安定かつ計画的なビームタイムを確保する機会を提供する課題。審査は書類審査と面接審査の2段階で実施。 | 年1回(B期のみ) |
成果公開優先利用課題 | 優先利用料を負担することにより、通常の科学的価値の審査が省かれ、SPring-8の必要性、実験の実施妥当性、技術的実施可能性および安全性の審査のみで利用可能。成果の公開義務あり。 A期から始まる1年課題の運用あり。 | 年2回/年6回 1年課題は年1回(A期のみ) |
緊急・特別課題 | 公共的な緊急性を有する極めて重要な課題、または国⺠の関心が極めて高く、当該科学技術分野、社会・経済への寄与が極めて高い研究で、即時利⽤の必要性が認められる課題。 | 随時 |
成果専有課題 | 放射光を利用した一般的な研究全般を対象とする課題で、成果公開の義務がなく、審査が簡略化され、利用時間に応じたビーム使用料が課される課題。 | 年2回/年6回 |
成果専有時期指定課題(時間単位利用含む) | 随時申請が可能で、申請後、速やかに審査が行われる課題。成果公開の義務がない代わりに、利用時間に応じたビーム使用料が課せられる成果専有の利用課題。1時間単位の利用も可能。 | 随時 |
成果専有測定代行課題 | 随時申請が可能で、申請後、速やかに審査が行われる課題。施設側のスタッフが、ユーザーに代わって測定を行うもので、試料をSPring-8へ送付することにより実施が可能。 | 随時 |
成果専有測定代行課題(定期) | 施設側のスタッフが、ユーザーに代わって測定を行うもので、試料をSPring-8へ送付することにより実施が可能。 | 年6回 |
応募資格:
[一般課題等(大学院生提案型課題を除く全ての課題)]
SPring-8の放射光を利用するにあたって放射線業務従事者登録(測定代行または自動測定で来所されない方は除く)が可能で、かつ学生ではない方(責任者として実験を実施できる方)。ポスドク(身分が学生でなく、給料、謝金等をもらっている人)は実験責任者になることができます。
[大学院生提案型課題]
SPring-8の放射光を利用するにあたって放射線業務従事者登録が可能(測定代行または自動測定で来所されない方は除く)で、課題実行時に博士後期課程の大学院生の方のみ。ただし、課題実行時に学生の身分でない場合は、課題種を一般課題へ変更します。
なお、全課題において共同実験者としての学生の参加は学年を問いません。
3.配分ビームタイムの上限割合
以下に課題種別の配分ビームタイムの上限割合を示します。
2024B期以降
2023A期〜2024A期
2022B期まで
4.利用にかかる料金等について (〜2024B期)
以下に共用課題の利用料金と消耗品実費負担の金額を示します。「SPring-8利用料金について」ページもご参照ください。
(1)ビーム使用料について
1)成果非専有課題(成果公開)
課題実施期終了後3年以内に査読付論文等を発表し、JASRIに登録していただくことで、成果が公開されたとみなします。詳細につきましては「成果公表」をご参照ください。
2)成果専有利用:
通常利用
定期公募で募集し、成果公開優先利用課題と同時に応募を締め切ります。
時期指定利用(測定代行課題を含む)
随時申請が可能で、申請後、速やかに審査が行われます。
(注意)CryoTEMの通常利用、時期指定利用の使用料は、それぞれ1シフト(8時間)あたり80,000円、120,000円(税込)。
(2)成果公開優先利用料について
成果公開優先利用課題*の優先利用料は以下の通りです。
*競争的資金の獲得等により一定の科学技術的価値の評価を得た、成果を公開する課題。SPring-8の必要性、成果創出への期待度、倫理性(平和目的限定等)、技術的実施可能性及び安全性の審査を経て利用できます。(〜2022B期)
*優先利用料を支払うことにより一部簡略化された審査(SPring-8の必要性、倫理性(平和目的限定等)、技術的実施可能性及び安全性)のみを経て優先的に利用できます。(2023A期〜)
(注意)CryoTEMの成果公開優先利用の使用料は、1シフト(8時間)あたり22,000円(税込)。
(3)消耗品の実費負担について
利用実験において実験ハッチにて使用する消耗品の実費(定額分と従量分に分類)について、共用ビームタイムを利用する全ての利用者にご負担いただきます(CryoTEMも同額)。
定額分(利用者別に分割できない損耗品費相当、税込)
従量分(液体ヘリウム)
- 液体ヘリウムの使用がある場合は、消耗品実費負担(従量分)として、使用量に応じて請求させていただきます。
消耗品の実費負担に対応する利用方法の詳細は「消耗品実費負担制度」をご覧ください。なお、消耗品費実費負担分をJASRIが支援する課題もありますが、海外機関所属の実験責任者による課題(大学院生提案型課題含む)は、2019B期より支援対象外となりましたので、実験責任者に負担していただきます。詳しくは、定期の課題募集要項が公開された際にご確認ください。
※ 1シフト=8時間。配分シフトが時間単位の課題の定額分料金は時間単位となります。
4.利用にかかる料金等について (2025A期〜)
以下に課題種毎の利用料金と消耗品実費負担の金額を示します。「SPring-8利用料金について」ページもご参照ください。
(1)ビーム使用料について
1)成果非専有利用(成果公開*)
*課題実施期終了後3年以内に査読付論文等を発表し、JASRIに登録していただくことで、成果が公開されたとみなします。詳細につきましては「成果公表」をご参照ください。
2)成果専有利用(成果非公開)
通常利用(成果専有課題)
定期公募(年2回または年6回)で募集し、成果公開優先利用課題と同時に応募を締め切ります。
時期指定利用
随時申し込み可能で、速やかに審査が行われます。利用可能な時期については、予め利用予定のビームラインの担当者にご相談ください。
(注意)CryoTEMの通常利用、時期指定利用は、それぞれ1シフトあたり80,000円、1シフトあたり120,000円。
測定代行利用
年6回の定期募集で測定代行を利用する場合は、こちらの料金が適用されます。
時期指定利用かつ測定代行利用
定期募集によらず随時申請を受け付ける測定代行を利用する場合は、こちらの料金が適用されます。
ビーム使用料+時期指定利用料+測定代行利用料 | 960,000円 |
※ 1シフト=8時間。配分シフトが時間単位の課題の利用料金は時間単位となります。
(2)成果公開優先利用料について
成果公開優先利用課題*の優先利用料は以下の通りです。
*優先利用料金を支払い、一部簡略化された審査を経て利用される、成果を公開する課題。SPring-8の必要性、実施妥当性、実施可能性及び安全性の審査を経て利用できます。
(注意)CryoTEMの成果公開優先利用は、1シフトあたり22,000円。
(3)成果準公開利用料について
成果公開優先利用課題にて成果準公開制度を利用される場合は、上記(2)の成果公開優先利用料に加え、以下の料金がかかります。
(4)消耗品等の実費負担について
利用実験において実験ハッチにて使用する消耗品の実費(定額分と従量分に分類)について、共用ビームタイムを利用する全ての利用者にご負担いただきます(CryoTEMも同額)。
定額分(利用者別に分割できない損耗品費相当、税込)
従量分:使用に応じて算定(液体ヘリウム、試料調製サービス)
- 液体ヘリウムの使用や試料調製サービスの利用がある場合は、消耗品実費負担(従量分)として、使用量/利用量に応じて請求させていただきます。
なお、国内の大学に所属する方からの大学院生提案型課題(長期型を含む)につきましては、予算の範囲内で消耗品費(定額分+従量分)の支援をしますが、従量分を大量に使用される場合は支援できない場合があります。消耗品の実費負担についての詳細は「消耗品実費負担制度」をご覧ください。
※ 1シフト=8時間。配分シフトが時間単位の課題の定額分料金は時間単位となります。
5.課題申請に必要な手続き
(1)ユーザー登録(未登録の方のみ)
課題申請時にSPring-8ユーザーカード番号とパスワードが必要となるため、申請前にUIサイトにてユーザー登録を行ってください。
注)申請者(実験責任者)だけでなく、課題申請時に共同実験者として登録される方もユーザー登録が必要です。ユーザー登録情報は、審査結果通知の送付等の各種連絡に使用しますので、既登録者の方も登録内容をご確認の上、適時情報の更新をお願いいたします。
※既登録ユーザーも含めて、SPring-8ユーザー共同体(SPRUC)研究会への積極的な登録をお願いいたします。
(2)課題申請
課題申請はWEBサイトを利用した電子申請となります。詳しい入力方法については、課題申請をご参照ください。また、下書きファイルをご用意しておりますので、ご利用ください。なお、申請課題は、ログインユーザー名で実験責任者登録されます。
♦ User Information Webサイト(UIサイト) : http://user.spring8.or.jp/
ログイン>トップページ>課題申請書を作成・編集する>新規作成
6.応募課題の締切について
例年、A期とB期それぞれ下記の時期に応募の締切を設定しています。詳しくは、5月頃(B期分)または11月頃(次年度A期分)に公表される募集要項にてご確認ください。
一般課題、大学院生提案型課題
(年6回募集対象ビームライン)一般課題、大学院生提案型課題
成果専有課題、成果公開優先利用課題
A期 | 一般課題等の締切の約2週間前(第Ⅱ期・第Ⅲ期は一般課題等と同じ) |
B期 | 一般課題等の締切の約2週間前(第Ⅱ期・第Ⅲ期は一般課題等と同じ) |
大学院生提案型課題(長期型)
成果専有時期指定課題(時間単位利用含む)、測定代行課題、緊急・特別課題
7.その他
- SPring-8への放射線作業従事者登録について
放射性同位元素等の規制に関する法律(法律第百六十七号)に従い、SPring-8 の放射光を利用される方は放射線業務従事者登録が必要です。(測定代行または自動測定で来所されない方は除く)
- 単独実験・作業の禁止
安全上の観点から原則として単独でのご利用はお断りしております。共同実験者を募って申請(実施)してください。
- 装置の故障、災害等発生時の措置
状況によって、採択時のビームタイムを供給できない場合があります。その場合、ビームタイムの補償はできないことをあらかじめご了承ください。
- 損害保険の加入および賠償責任について
利用実験実施等に際し、不慮の事故に備えて傷害保険及び賠償責任保険又はこれらと同等の保険に加入するとともに、共同実験者が学生の場合は、これら保険に加入していることを確認していただく必要があります。また、故意又は重大な過失によってSPring-8及びそれに附属する施設、設備並びに物品その他に損害を及ぼしたときは、損害の全部又は一部を賠償していただきます。あらかじめご了承ください。
- 補欠課題の運用について
各利用期の申請課題で不採択となった課題(一般課題または大学院生提案型課題)のうち、科学技術的価値が認められ、技術および安全審査で問題がない課題の一部を、同一利用期内において補欠課題として取り扱います。対象となる課題の実験責任者には、採否通知書(オンライン通知)にてお知らせいたします。 ビームタイムのキャンセルが出た場合は、科学技術的価値の順位を基準としつつ、バンチモード、シフト数等も考慮して、繰上げの候補となる課題が選択されます。該当の課題の実験責任者には、利用推進部よりご連絡いたします。
8.問い合わせ先