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希望審査分野を産業利用とする一般課題・大学院生提案型課題について

一般課題または大学院生提案型課題において希望審査分野を「産業利用」とする研究課題について、ご留意いただくべき点がいくつかありますので、必ず、本ページの内容を熟読のうえ課題を申請してください。

次]

  1. 利用課題の審査基準
  2. 利用課題の申請条件
  3. 2.1 実験責任者または共同実験者の所属
    2.2 産業利用課題実施報告書の提出
    2.3 SPring-8/SACLA利用研究成果集への投稿(2023A期課題より運用が変更になりました)
  4. 申請書作成上の注意点 ― 課題審査において重視されるポイント
  5. 問い合わせ先

1.利用課題の審査基準

一般課題、大学院生提案型課題において希望審査分野を産業利用で申請された利用課題の審査は、産業利用分科会で行われます。
この産業利用分科会は利用研究課題の内容について、課題で得られる成果の「産業技術としての価値」を重視して審査します。そのため、審査項目の科学技術的価値の選定基準のうち、特に以下の2点を重視して行われます。

  • ハ.期待される研究成果の産業技術としての重要性および発展性
  • ニ.研究課題の社会的意義および社会経済への寄与度

このハ.における「産業技術としての重要性および発展性」の観点は、特にその申請課題に関連する「企業」(一般課題の場合、後述する申請者の研究グループに属する企業※)にとって課題で得られる成果がどのような価値があるのか(期待される成果がその企業が抱える課題の解決にどのように貢献するのか、等)を重視します。この「価値」の例としては、

  • 開発材料の性能向上(劣化)の原因を解明し、目標性能達成(劣化抑制)のための開発指針を得る。
  • 製品の機能発現について想定されるメカニズムを実験的に検証・証明し、製品の信頼性の向上につなげる。

等、が挙げられます。 「挑戦的な研究」であっても、企業の事業としての出口がきちんと意識されているか否か、が審査において注目されます。

※大学院生提案型課題の場合、「2. 利用課題の申請条件」で説明しております通り、申請者の研究グループに企業研究者が含まれることを必須としておりません。ですので、大学院生提案型課題の申請では、この関連する「企業」にとっての価値については、関連する産業分野の課題(SDGsに掲げられている社会的問題、等)の解決に対してどのような貢献が期待されるのかを示してください。

2.利用課題の申請条件

一般課題にて審査分野を産業利用で申請されるには、以下の3つ(2-1.2-3.)の条件が課せられることに注意してください。また、大学院生提案型課題で審査分野を産業利用で申請される場合は、2-3.の条件のみが課せられます。(2−1.2-2.の条件は必須ではありません。)

2.1 実験責任者または共同実験者の所属

実験責任者もしくは共同実験者に民間企業または産業界に準ずる機関に所属する者(産業ユーザー)が1名以上含まれていることが必要です。「産業界に準ずる機関」とは、公設試験場および民間企業からの委託試験・研究を主な事業とする財団/社団法人を指します。
(注)大学(私立含む)、独立行政法人、特殊法人、公社に所属する方(単独またはこれら所属の組み合わせ)は、対象外です。

実験責任者が産業ユーザー以外の方である場合、この産業ユーザーの共同実験者の本申請課題の研究における位置付けに関する下記の情報を申請書の提案理由に明確に説明してください。

  • 課題遂行における役割
  • 所属企業・機関の事業への本申請課題の成果のフィードバックの方針

上述の通り、産業利用分科会での審査では「産業技術としての価値」として、この申請者の研究グループに属する「企業」にとっての価値を重視しますので、この「位置付け」の妥当性も課題審査の検討対象となります。

2.2 産業利用課題実施報告書の提出

利用課題実施終了後に提出していただく報告書として、終了後60日以内にオンライン提出していただく利用課題実験報告書に加えて、産業利用課題実施報告書を申請された利用期ごとに設定された締め切りまでに提出していただきます。内容は利用課題実験報告書と同等のもので結構ですが、この報告書はSPring-8の産業利用を効果的に促進することを目的として、本利用課題を利用して得られた結果をWEB、印刷物等で取りまとめて公開しているものです。そのため、印刷物で公開するための所定の様式に体裁を整えていただきます。ご提出後、誤字や様式からの逸脱などの明らかな誤りの修正、および読者の理解をより深めるための可読性向上を目的とした文章表現の修正を、産業利用・産学連携推進室のシニアコーディネーター等からお願いすることもあります。ただし、査読審査は行いませんので報告内容についての修正提案は致しません。
産業利用課題報告書の詳細(報告書様式、提出締め切り、等)につきましては、以下のUIサイトをご参照ください。

   ◆「産業利用課題実施報告書

<産業利用課題実施報告書と「SPring-8/SACLA利用研究成果集」との関係について>
もし提出された産業利用課題実施報告書の内容を「SPring-8/SACLA利用研究成果集」に投稿される予定の場合は、その旨を提出時にご連絡ください。この場合は、提出原稿の公開を一時保留とし、「SPring-8/SACLA利用研究成果集」にご投稿いただいた後、査読審査を経て当該成果集に掲載されましたら、その掲載された論文を本報告書に転載する形で公開させていただきます。なお、ご連絡がない場合および当該利用期の報告書公開までに「SPring-8/SACLA利用研究成果集」への投稿が確認されない場合は、このような取り扱いとなりませんのでご注意ください。

2.3 SPring-8/SACLA利用研究成果集への投稿

利用課題実施後の成果の公開をSPring-8/SACLA利用研究成果集に投稿される報告書で行われる場合、 審査分野を産業利用で申請された利用課題については、以下のように投稿ルールが定められています。

  • 2022B期までに採択された課題の場合、投稿は1課題ごとに1報とする。
  • 2023A期以降に採択された課題の場合は、複数課題を1報にまとめて投稿することを可とする。

3.申請書作成上の注意点 ― 課題審査において重視されるポイント

産業利用分科会における課題審査では、課題申請書の「提案理由など」の項目の「研究の意義、目的、特色、期待される成果」の内容について、以下の点が重視されます。

  • (1)本申請課題の研究が対象としている産業分野、事業
  • (2)本申請課題で解決しようとしている研究上の技術的課題
  • (3)研究対象の産業分野・事業におけるこの技術的課題解決の意義
  • (4)目的とする技術的課題を解決するために、申請者がこれまで実施してきた研究の内容
  • (5)この技術的課題の解決に必要な、本申請課題で得ようとしている情報についての具体的な説明と、その情報の必然性の根拠と具体的な活用方法
  • (6)その情報を得るための課題解決手段として、本申請課題で提案する具体的な実験計画と、この提案実験で目的とする情報が得られると考える具体的な理由
  • (7)産学、産官、産官学、産産、学官のように複数の機関で実施する場合は、それぞれの機関の位置付け
      (課題遂行における役割、所属企業・機関の研究計画・事業への本申請課題の成果のフィードバックの方針)

以上の点について申請書の内容でどれだけ具体的に説明できているかが審査上重要なポイントです。特に、産業利用分科会の審査を行うレフェリーは、産業利用分科会が対象とする分野が非常に広いため、申請課題の対象の分野の専門家であるとは限りません。申請書の内容はできるだけ分野外の研究者にもわかるような説明を心がけていただくことも重要です。
上述の点を踏まえて、以下に申請書作成時に留意するポイントを示します。これらのポイントは審査において重視されますので、十分注意されることを推奨します。

◯ 留意ポイント:(1)―(5)について

  • 上述の通り、審査を行うレフェリーは申請された課題が対象とする産業技術分野について専門家であるとは限りません。ですので、研究の背景について説明する(1)―(5)の情報について専門外の方でも理解できるようにポイントを絞って整理し、簡潔に説明いただく必要があります。そのためには特に以下のポイントを具体的に説明いただくことが重要となります。
    • ✔(3)について
       この課題が解決するとこの産業分野・事業にどのような貢献がなされると期待されるのか、また、その重要性
    • ✔(4)(5)について
       検討している技術課題の解決にどのような情報を必要としているのか
       これまでどのような研究が行われ、どのような知見が得られているか、課題解決に何が足りないか
       申請課題の実験で得た情報を課題解決にどのように活用しようとしているか

◯ 留意ポイント:(6)について

  • 上述の通り、審査を行うレフェリーは申請された課題で実施予定の実験の測定技術についてについて専門家であるとは限りません。ですので、実験計画について説明する(6)について専門外の方でも理解できるようにポイントを絞って整理し、簡潔に説明いただく必要があります。そのためには以下のポイントを具体的に説明いただくことが重要となります。
    • ✔ 実験内容について
       目的とする課題解決に必要な情報を得るために、どのような試料(特性、組成、個数、等)のどのようなデータ(XAFSスペクトル、X線回折プロファイル、等)を得ようとしているか
       それを得るための測定手段は何か(透過法or蛍光法XAFS、粉末X線回折、斜入射X線回折、等、必要とする実験条件を含めて)
    • ✔ 解析方法について
       得られたデータから必要とする情報(価数、化学組成、局所構造、結晶構造、相分率、等)をどのようにして(XANES解析、EXAFS解析、リートベルト解析、等)導き出そうとしているのか
    • ✔ 上述の実験内容、解析方法で目的の情報が得られると期待できる根拠
  • 測定試料についての具体的な情報(試料名、組成、等)が示されていない場合、成果非専有課題として認められず、採択されない場合がありますのでご注意ください。また、この測定試料水準の選択根拠(選択した試料の測定結果を比較することでどのような情報を得ることができるか)を具体的に説明していただくと、本申請課題の目的達成(必要とする情報の獲得)の期待度に対する説得力が増します。この際、具体的な試料選択根拠として、各測定試料の特性を具体的に示していただくことが重要です。 特に、多くの試料水準の測定を計画していてそのための多くのマシンタイムを必要とされる場合、上記の測定試料水準の選定根拠を具体的に明記いただくことが重要です。計画されている試料水準があまりにも多く、詳細を記載するのが困難であれば、その選定方針を示していただくだけでも説得力が増します。この点ご留意ください。
  • 申請課題の実験計画が、申請者が申請するビームラインで実施する初めての試みである場合、事前にビームラインスタッフと相談して技術的可能性を確認し、実験計画を立案してください。他のビームラインで実施されたことのある実験内容であっても、ビームラインによって装置の特徴は違うので実施に技術的な課題がある場合もあります。また、同じビームラインで過去に他のユーザーが類似した実験を実施したことがある実験内容でも、ご申請の内容によってその目的を達成するには検討するべき技術的な課題がある場合もあります。この点、慎重にご検討ください。

◯ 留意ポイント:(7)について

  • 一般課題の場合:産業界に準ずる機関に所属する者が1名以上含まれていることが必要です。上述の通り、産業利用分科会での審査では「産業技術としての価値」として、この申請者の研究グループに属する「企業」にとっての価値を重視します。実験責任者がこの民間企業または産業界に準ずる機関に所属する者以外の方である場合、この(7)の情報についての妥当な内容が明確に示されていない場合、産業利用分科会の審査の基準に達していないものとして採択されない場合がありますのでご注意ください。
  • 大学院生提案課題の場合:「2. 利用課題の申請条件」で説明しております通り、上記の条件は必須ではありません。

4.問い合わせ先

(1)SPring-8相談窓口(産業利用)
「このような研究をしたい」という要望から、測定手法の選択や具体的な実験計画の作成にいたるまで、ご相談を受け付け、コーディネーターを中心に課題申請の支援をさせていただきます。

産業分野のみなさまのホームページ

窓口電話番号メールアドレス
公益財団法人 高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター
産業利用・産学連携推進室
0791-58-0924support@spring8.or.jp

(2)課題申請手続き等に関する相談窓口

窓口電話番号メールアドレス
高輝度光科学研究センター (JASRI) 利用推進部0791-58-0961sp8jasri@spring8.or.jp