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放射光専用施設の設置計画の選定に関する基本的考え方

「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」及び同法第4条第1項の規定に基づく「特定放射光施設の共用の促進に関する基本的な方針」に基づき、登録施設利用促進機関(以下「機関」という。)として、公益財団法人高輝度光科学研究センターは、以下の方針により放射光専用施設(以下「専用施設」という。)の設置計画の選定及び評価(以下「選定等」という。)を実施する。

特定放射光施設は、世界最高性能の放射光を利用して研究等を行うための施設であり、汎用性の高い先端的施設であることから、専用施設設置計画の募集及び選定に当たっては、国内外の産業界を含め、多様な分野の研究者等に対して、透明な手続きにより公平な利用機会が提供されるよう配慮して実施する。同時に、施設の能力を最大限活用し、多くの優れた成果を上げていくよう配慮する。また、選定等を行うに当たっては、国、国立研究開発法人理化学研究所と密接に連携を図る。

I.大型放射光施設SPring-8における専用施設の設置計画の選定等

1. 専用施設の募集及び選定の手続き

(1)専用施設の設置提案は公募する。公募にあたっては、利用者情報等への掲載、ホームページの利用その他適切な手段を積極的に活用することにより広く国内外に公表する。また、必要に応じて、設置提案希望者に対し、技術的な情報の提供あるいはその他の相談への対応をインターネット等の適切な手段を用いて行う。

(2)提案は随時受け付けることとし、次の2段階の審査を専用施設審査委員会で実施し、審査結果をSPring-8選定委員会で審議する。
第1段階では、設置提案希望者から専用施設設置計画趣意書を提出させ、計画の科学的及び技術的内容、ビームラインを専用とする必要性等について審査する。
第2段階では、提案者から専用施設設置実行計画書を提出させ、予算計画を含む専用施設の建設計画、利用計画及び利用計画を踏まえた上での設置期間の妥当性、施設の維持管理計画並びに安全管理計画等について審査する。ただし、この段階で提案者と機関との協議により計画を修正することができる。

(3)機関は、SPring-8選定委員会から(2)の第1段階及び第2段階の審査結果の意見を受けて、専用施設の設置計画を選定する。

(4)機関は、専用施設の設置計画の選定結果を公表する。なお、公表する情報の管理については、機関が別に定める「特定放射光施設の利用促進業務における情報管理に関する基本的考え方」に基づき適正に行う。

2.専用施設設置計画選定の審査基準

専用施設設置計画の審査は専用施設審査委員会で行い、広範な分野からの提案に対して、科学技術基本計画等国の方針を踏まえつつ、次の基準に沿って総合的・専門的に検討評価する。
第1段階の専用施設設置計画趣意書による審査では、次の基準の(1)、(2)及び(4)を重点的に検討する。第2段階の専用施設設置実行計画書による審査では、次の基準の(3)、(4)及び(5)を重点的に検討する。
なお、国外から提案される計画については、科学的及び技術的な内容に加え、国際協調と国際競争力の強化のバランスに配慮しつつ、政府間の科学技術協力協定等の枠組みを踏まえた上で計画内容を検討する。

(1)科学技術的妥当性として、以下の(イ)から(ニ)のうち、いずれかに該当すること。
(イ)計画の先端性及び計画を含む科学技術分野の発展性
(ロ)期待される研究成果の基礎的分野・基盤的技術開発分野への貢献度
(ハ)期待される研究成果の産業基盤技術としての重要性及び発展性
(ニ)研究課題の社会的意義、社会経済への寄与度

(2)提案された計画が平和目的に限定される等、科学技術基本法や社会通念等に照らしての妥当性及び研究手段としてのSPring-8の必要性

(3)計画の技術的な実施可能性

(4)専用とする必要性、設置期間及び施設の建設、維持管理能力等

(5)実験内容の安全性

3.専用施設への支援及び利用研究課題の安全審査

(1)機関は、専用施設の設置、利用等に関し、設置者との間で締結する取り決めに基づき支援等を行うものとする。

(2)機関は、専用施設で実施される利用研究課題につき、安全審査を行うものとする。

4.利用状況等の実績の評価及び専用施設の更新・撤去

(1)利用研究課題の先端性、実験技術としての専用施設の高機能性等を確保することが重要である。ビームラインは設置可能な数が限定されていることから、専用施設の利用計画に一定の期限を設けるとともに、建設された専用施設は利用状況等の実績を機関が定期的に評価することにより必要に応じて、専用施設の改善、更新、撤去等を勧告することができる。

(2)専用施設の利用計画に定めた期限の満了前に機関は、専用施設の現状及び利用状況等について評価を行う。なお、設置者は利用計画期限満了後の利用計画の延長、又は新たな利用計画の提案を機関に対し行うことができる。

(3)機関は別に定める取り決めに従って、設置者から専用施設の現状及び利用状況についての報告を求めることができる。

5.利用者選定業務の公正の確保

機関の業務規程第6条第2項に基づく「利用者選定業務の公正の確保のために必要な事項」として、以下のとおり定める。

(1)専用施設審査委員会委員及び専用施設専門部会に関する情報(氏名等)は、公正性の確保のため、任期中は委員長を除き情報の公表を行わない。但し、透明性の確保のため、任期終了後には公表することとする。

II. X線自由電子レーザー施設SACLAにおける専用施設の設置に係る考え方

SACLAにおける専用施設については、SACLAのビーム取り出し口数が現時点においては最大5本と少ないことも踏まえ、様々な状況を考慮しつつ、国、SACLAの設置者である国立研究開発法人理化学研究所及び機関が密接に連携し、また、SACLA選定委員会の意見を聴きつつ、その必要性を慎重に検討するものとする。