詳細:実験動物維持施設
蓄積リング棟南側には、中尺ビームライン実験施設に隣接して実験動物維持施設があります。業者より納入された実験動物を実験終了まで一時的に保管(飼養)するための設備や、実験動物に麻酔・解剖等の処置を行うための処置室、細胞培養室などを備えています。動物実験を行うには、あらかじめ動物実験計画が承認されていること、並びに動物実験従事者として登録されていることが必要です。遺伝子組換え動物を用いる場合は、別途手続きが必要です。施設の利用方法や動物搬入手続き、細胞培養室の予約等の詳細については、以下をご覧ください。
場所
蓄積リング棟の南に位置する中尺ビームライン実験施設に隣接しており、中尺ビームライン実験施設と渡り廊下で連絡しています。建物の1階から入館することはできませんので、ご注意下さい。
施設・設備等
実験動物維持施設には、以下のような飼育室・実験室があります。動物実験を実施する際は、各部屋の管理者の指示に従ってください。
名称 | 用途・目的 | 設備・機器類 |
マウス飼育室 | マウス、ラット、モルモット及びハムスターの飼育 | マウス用97ケージ 電子天秤 |
ラット飼育室 | マウス、ラット、モルモット及びハムスターの飼育 | ラット用48ケージ 電子天秤 |
ウサギ飼育室 | ウサギの飼育 | ウサギ用ケージ27台 |
処置室 | 実験動物に対する処置 | ドラフトチャンバー 実体顕微鏡 電子天秤 |
遺伝子実験室 | 遺伝子組換え実験 | オートクレーブ |
低温室 | 低温作業が必要な場合 | |
細胞培養室 | 細胞の培養 使用願を提出してください。 | CO2インキュベーター、 クリーンベンチ、倒立顕微鏡 オートクレーブ、インキュベーター |
実験動物の搬入
原則として、実験動物維持施設に導入可能な実験動物は、
マウス・ラット・モルモット・ハムスター(いずれもSPF動物であること)
ウサギ(クリーン動物であること)
です。他の動物種の導入を希望する際は、動物実験計画の申請前に担当者までご相談下さい。
(担当者)
・動物実験監督者:上杉健太朗 (e-mail: ueken at spring8.or.jp )atは@
・動物実験監督者代理:関口博史(e-mail: sekiguchi at spring8.or.jp )atは@
・動物飼養施設管理者:松尾和也 (e-mail: kmatsuo at spring8.or.jp )atは@
SPring-8外から実験動物を搬入する時は、搬入の1週間前までに搬入届を提出して下さい。提出期限を過ぎた場合は、実験動物を搬入できない場合があります。
(1)発注した動物を実験動物業者に直接搬入させる場合
- 納入場所を「公益財団法人高輝度光科学研究センター実験動物維持施設」と指定して下さい。
- 搬入当日は、SPring-8受け入れ担当者が納入業者より実験動物を受け取ります。
(2)実験者が動物実験維持施設に搬入する場合
- 搬入日当日は、SPring-8受入担当者に検収書を提出し、検収を受けて下さい。
*その他、以下の書類の提出が必要です。
1.納品書(写し可)(業者から購入した動物を実験者がそのまま封を開けずに搬入する場合)。
2.微生物検査成績書等の飼育環境に関する資料(大学等の施設で飼育していた動物を搬入する場合)。
3.法で定められた情報提供に関する書類(遺伝子組換え動物。遺伝子組換え実験課題受付番号が連絡されていない場合は動物の搬入はできません)。
*注意
- SPring-8で用いる実験動物は、必ず一旦実験動物維持施設に搬入してください。実験に際しては一回に必要な分の動物だけをビームラインに運搬してください。
- SPring-8担当者に無断で実験動物維持施設またはビームラインに動物を持ち込むことは禁止です。これを行った実験者は実験停止とします。*過去に実験者が動物を輸送用段ボール箱に入れて飼育室に無断で持ち込み、そのままにしてビームラインで実験を行っていたところ、動物が箱に穴を開けて逃亡寸前になっていた事例がありました。輸送箱は短時間の輸送用であり、到着時には速やかにケージに動物を移すべきものです。動物を長時間輸送箱中にキープするのは極めて不適切です。
飼養期間
前処置や実験後経過観察をする場合でも、原則として飼養期間は1ヵ月以内とします。
やむをえず期間を延長する必要がある場合は、SPring-8担当者にご相談下さい。
餌について
餌は飼養担当者が標準的な固形飼料(ラット、マウスについてはガンマ線滅菌飼料)を与えます。特殊な飼料が必要な場合はSPring-8担当者にご相談下さい。実験者が生野菜等を与えることはご遠慮下さい。
前処置について
動物が死亡する可能性にある前処置を行った場合(例:モノクロタリン投与)は、必ずSPring-8担当者にその旨を伝えて下さい。*飼養中の動物が死亡した場合、感染症の可能性も含めて原因調査にあたりますので、施設者側にとって大きな負担となります。また他のユーザーにも多大な迷惑がかかる可能性があります。
麻酔薬の使用
(1)向精神薬の薬品等
実験動物の麻酔に向精神薬の薬品を使用する場合は、SPring-8で準備してあるものを使用してください。向精神薬の薬品は、SPring-8への持ち込みは法令で禁止されています。使用にあたっては、必ずSPring-8担当者にご相談ください。
(2)その他の薬品等
向精神薬以外の麻酔薬は、処置室の薬品庫に保管しています。使用に際しては、以下を遵守してください。
1.薬品庫は常時施錠しておくこと。
2.薬品使用後は瓶重量を計り、記録をつける
動物の運搬
実験動物を飼養場所から処置室や実験動物維持施設外へ運搬する際は、専用のケージや輸送箱を用い、覆いを付けて動物が周辺の人から直接に見えないように配慮して下さい。また、蓄積リング棟実験ホールに動物を移動する際は、必ず床敷を新しいものに交換してから運搬してください。
ビームラインでの動物実験について
(a) 移動・組立式動物処置室の使用
移動・組立式動物処置室は、BL28B2やBL40XUなど、ビームラインの近くに独立した部 屋の構造を持つ処置室がない場所で実験するための簡易処置室です。当該処置室に一度に搬入できる動物の数や保管時間が、別途定められているので、これを遵守してください。
また、使用に当たっては、移動・組立式動物処置室使用記録簿(Word / pdf)に必要事項を記録し、実験終了後、利用推進部へ提出して下さい。移動・組立式動物処置室使用記録簿(Word / pdf)は、ここからダウンロードしてお持ちいただくか、利用推進部でも準備していますので、来所時に申し出てください。
(b) ビームラインハッチの使用
ビームラインハッチの出入り口には、必ず専用のネズミ返しを取付けてください。特に、処置室とビームラインハッチ間を移動している最中に、動物が逃亡しないよう十分に注意してください。
廃棄物の処理
動物の死体及び実験に伴う廃棄物は、全て各所属機関に持ち帰って処分して下さい。持ち帰りが困難な場合はSPring-8担当者にご相談下さい。
注意事項
- 実験器具や実験用の消耗品は、実験終了後必ず片付けてください。放置したままですと、他のユーザーが使用してトラブルの原因となります。
- 動物飼育室の照明は、タイマーにより自動的に点灯・消灯します。夜間に入室される際は夜間照明用のスイッチを操作してください。夜間点灯された場合は、退出時に必ず消灯してください。また、昼間にこのスイッチを操作しないで下さい。夜間点灯のためにタイマーの設定を変えることは絶対にしないで下さい。
- 実験動物維持施設その他の動物実験場所での飲食は禁止です。その他、各飼育室・処置室の掲示にある注意事項を守って使用してください。