SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

早期公開 最新版

SPring-8 Section A: Scientific Research Report

2012A6703 / BL44XU
CD200-CD200R複合体の結晶構造解析
Crystal Structure of the CD200/CD200R Complex

四郎園 巧a、崎山 竜人a、池鯉鮒 麻美a、小島 利之b、烏山 一b池水 信二a

Takumi Shirouzonoa, Ryuto Sakiyamaa, Mami Chirifua, Toshiyuki Kojimab, Hajime Karasuyamab, Shinji Ikemizub

a熊本大学、b東京医科歯科大学

a Kumamoto University, b Tokyo Medical and Dental University

Abstract

 CD200は幅広い種類の細胞上で発現しており、骨髄細胞上の阻害型受容体CD200R(マウスではCD200R1)との結合を介して骨髄細胞を抑制的に制御する。この抑制機構の構造生物学的解明を目的として、マウスのCD200-CD200R1複合体の結晶構造解析を 2.7 Å 分解能で行った。解析の結果、正に荷電したCD200のドメイン1と負に荷電したCD200R1のドメイン1が静電相互作用により複合体を形成することが明らかになった。


Keywords: CD200-CD200R複合体、分子認識、結晶構造


2013A1120 / BL08W
高分解コンプトン散乱実験による電子ドープ超伝導体母物質の運動量分布関数に対するアニール効果の研究
Study of Annealing Effect on Momentum Distribution Functions in Parent Compound of Electron-Doped High-Tc Superconductor by High Resolution Compton Scattering

藤田 全基a, 櫻井 吉晴b, 伊藤 真義b, 山田 和芳c

Masaki Fujitaa, Yoshiharu Sakuraib, Masayoshi Itohb, Kazuyoshi Yamadac

a (大学)東北大学金属材料研究所, b (公財)高輝度光科学研究センター, c(大学共同利用機関)高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所

aIMR Tohoku University, bJASRI, cIMSS, KEK

Abstract

 T’ 構造銅酸化物の超伝導化に必要不可欠である還元アニールの役割を解明するために、Pr1.4La0.6CuO4-δ の as-grown 試料とアニールした試料に対してコンプトン散乱X線実験を行った。両試料に対して得られた電子の運動量分布関数の比較から、アニールより Cu サイトの電子状態が主に変化する事が示唆された。このことは、アニール処理が電子ドープ効果としての役割を主として持つことを示している。


Keywords: 電子ドープ高温超伝導、還元アニール効果、コンプトン散乱


2013A1288 / BL09XU
一酸化炭素が結合した一酸化窒素還元酵素の 核共鳴非弾性散乱分光測定
Measurement of Carbon Monoxide-bound Form of Membrane-integrated Nitric Oxide Reductase by Nuclear Resonance Vibrational Spectroscopy

當舎 武彦a、依田 芳卓b

Takehiko Toshaa and Yoshitaka Yodab

a理化学研究所 SPring-8、b(公財)高輝度光科学研究センター

aRIKEN, SPring-8 Center, bJASRI

Abstract

 一酸化窒素(NO)は、反応性に富んだラジカル分子であり高い細胞毒性を示す。細菌が持つ膜結合型一酸化窒素還元酵素(NOR)は、ヘム鉄と非ヘム鉄からなる複核活性中心をにおいて、細胞毒である NO を電子とプロトンを利用して、亜酸化窒素(N2O)へと還元・無毒化する。本研究では、NOR による NO 還元反応の分子機構解明のために、鉄を含む活性部位の構造解析に有効な核共鳴非弾性散乱(NRVS)に着目した。活性部位に基質の類似体である一酸化炭素(CO)を結合させた試料の測定を行った。共鳴ラマン分光測定の結果と比較し、得られた NRVS スペクトルについて考察した。


Keywords: 核共鳴非弾性散乱、金属タンパク質、ヘム鉄、非ヘム鉄、共鳴ラマン分光


2015A1233 / BL43IR
高輝度赤外放射光を利用した半導体ナノワイヤ中の極微量ドーパント不純物の電子状態評価
Characterization of Electronic States of Dopant Atoms with Low Concentrations in Semiconducting Nanowires by Infrared Synchrotron Radiation Beam

深田 直樹a, 池本 夕佳b, 森脇 太郎b

Naoki Fukataa, Yuka Ikemotob, Taro Moriwakib

a国立研究開発法人物質・材料研究機構, b(公財)高輝度光科学研究センター

aNIMS, bJASRI

Abstract

 レーザーアブレーション法により成長したSiナノワイヤ中の不純物の顕微赤外分光を行った。B ドープSiナノワイヤの場合において、約 624 cm-1の位置にBの局在振動ピークを検出することに成功した。更に、約 468、806、1085、1200 cm-1 の位置には、Siナノワイヤの表面酸化膜中の酸素に関する振動を観測できた。通常の赤外分光ではナノ構造体中の不純物分光は困難であるが、SPring-8赤外放射光の高輝度性を生かすことで実現できた成果といえる。


Keywords: ナノワイヤ、半導体、不純物、赤外吸収分光


SPring-8 Section B: Industrial Application Report

2015A1687 / BL14B2
雲母含有剤による加熱下でのセシウムの捕捉機構
Capture Mechanism of Cesium by Mica under Heating Condition

原田 浩希a, 高岡 昌輝b, 塩田 憲司b, 伊藤 華子a

Hiroki Harada a, Masaki Takaoka b, Kenji Shiota b, Hanako Itoh a

a日立造船株式会社, b京都大学

aHitachi Zosen Corporation, bKyoto University

Abstract

 放射性物質を含む廃棄物の焼却炉内の耐火物への放射性Csの浸透、蓄積を防止する塗膜の選定と、Csの選択的捕捉とその機構について調査した。耐火物のブロックに複数種の塗装を施し、都市ごみ焼却炉のボイラ付着灰に安定性Csを添加した模擬汚染灰を加熱処理により浸透させた結果、雲母を含有する塗膜では 850°Ϲ または 1000°Ϲ においてCsを捕捉していることが確認され、またその形態は概ねPolluciteに類似していた。さらにCs溶液中で雲母に吸着させた形態と比較した結果、XANES領域の比較においては熱間で捕捉された形態と類似していることがわかった。。


Keywords: セシウム、雲母、熱間、XAFS


Section SACLA

2015A8060 / BL3
SACLAのフェムト秒パルスX線回折による光励起Ge2Sb2Te5ナノ薄膜の弾性特性解析
Elastic Properties of Photo-induced Ge2Sb2Te5 Nanofilm by fs-pulse X-ray Diffraction in SACLA

松原 英一郎a, 市坪 哲b

aEiichiro Matsubara, bTetsu Ichitsubo

a京都大学, b東北大学

aKyoto University, bTohoku University

Abstract

 フェムト秒可視光レーザーを Ge2Sb2Te5 多結晶ナノ薄膜に照射した際に発現する格子膨張の時間変化を、SACLAの高強度、フェムト秒パルスX線によるフェムト秒パルスX線回折法を用いて、回折ピークの散乱角の時間変化から精密に測定し解析することで、Ge2Sb2Te5 ナノ薄膜の弾性特性の情報を得られることを明らかにした。


Keywords: