SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

早期公開 最新版

SPring-8 Section A: Scientific Research Report

2013A1341, 2014B1953, 2015A1491, 2015B1437, 2016B1832 / BL43IR
電気化学反応測定セルによる フェニル化シリコンナノシートの赤外顕微分光
Infrared Microspectroscopy of Phenyl-Modified Organosilicon Nanosheets by Electrochemical Reaction Cell

池本 夕佳a中野 秀之b

Yuka Ikemotoa, Hideyuki Nakanob

a(公財) 高輝度光科学研究センター 、b(株) 豊田中央研究所

aJASRI, bTOYOTA CENTRAL R&D LABORATORIES, INC.

Abstract

 シリコンナノシートの作成は、液晶ディスプレイや薄膜太陽電池など様々なデバイスへの応用が期待されており、多くの精力的な研究が報告されている。本研究では、紫外線照射により電導性が発現するフェニル基で修飾したシリコンナノシートを測定対象とした。この試料に電解質中で電圧を印加し、紫外線照射下で電流が流れる状態で、赤外スペクトル測定を行うことができるセルの開発を行った。また、電導機構の解明を目指して、赤外スペクトル測定を行った。


Keywords: 赤外放射光、顕微分光、試料環境制御


2015B6554 / BL44XU
CTX-M型β-ラクタマーゼの基質特異性に対するAla219の役割
A Role of Ala219 on the Substrate Specificity of CTX-M Type β-Lactamase

山本 惠三

Keizo Yamamoto

奈良県立医科大学化学教室

Department of Chemistry, Nara Medical University

Abstract

 CTX-M型β-ラクタマーゼ(cefotaxime分解酵素)で高度に保存されている Ala219 の 役割を解明するために、野生型CTX-M-2、及び変異型酵素 A219V の構造解析を行った。野生型に対して A219V の主鎖の root mean square deviations (RMSD)は 0.135 Å であり、構造にほとんど差がなかった。また、酵素学的パラメータも差が見られなかった。従って、このアミノ酸置換によりセフォタキシムに対する活性が大きく低下する現象は、CTX-M-1 に特異的であることが示唆された。


Keywords: β-ラクタマーゼ、基質特異性、結晶構造解析


SPring-8 Section B: Industrial Application Report

2011B1978 / BL46XU
Sm系多層超伝導テープ材のSm-L吸収端での引張荷重負荷下の歪測定・解析の試み
Strain Assessment of Sm123 Coated Superconductor Composite Tapes under Tensile Load Utilizing

奥田 浩司a, 落合 庄治郎a, 永野 伸治a, 藤井 紀志a, 小金澤 智之b

Hiroshi Okudaa, Shojiro Ochiaia, Shinji Naganoa, Noriyuki Fujiia, Tomoyuki Koganezawab

a京都大学, b高輝度光科学研究センター

aKyoto University, bJASRI

Abstract

 Sm 系コーテッド超伝導複合線材の引張応力負荷下での Sm123 超伝導層の結晶格子歪の変化を調べるため、Sm LIII 吸収端近傍の異常分散効果を利用した In-situ 面内回折測定をおこなった。今回の測定では配分ビームタイム内で測定がほぼ完了できることを念頭に、試料としては吸収による減衰が大きな影響を与えないように、安定化の Cu めっき層を溶解除去した試料のみを用い、また、測定は申請分のうちビームタイムが認められた面内回折のみをおこなった。外部負荷応力の増加に伴い Sm123 層の引張歪は増加した。一方、前回課題で検討した Dy 系の材料[1]と比較すると高荷重領域での多重破断に伴う歪の停留が明確でないまま破壊剥離に至り、ピークシフトからは多重破断領域を認められなかった。このように Sm123 材料の場合には前回の Dy 系の結果から期待された系統的歪評価については十分な精度のデータが得られておらず、現在その原因を検討中である。一方、超伝導層の破壊進展の最終段階である剥離挙動について、Sm123 材料でこれまでの応力歪曲線の解析から期待されていた剥離進展と異なる挙動を示している事が今回の In-situ 測定中に見出された。超伝導層の破壊-剥離機構への Cu 除去の影響については今後の検討課題である。


Keywords: その場歪測定、コーテッド超伝導複合線材、異常分散効果、Sm123 超伝導膜


2014B1578 / BL46XU
硬X線光電子分光法による駆動中の有機薄膜太陽電池の分析
Analysis on Organic Thin-Layer Photovoltaic Cells by Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy

岡本 薫, 阿部 芳巳

Kaoru Okamoto, Yoshimi Abe

三菱ケミカル株式会社

Mitsubishi Chemical Corporation

Abstract

 有機薄膜太陽電池の金属/有機層界面を調べるため、駆動状態での硬X線光電子分光法(hard X-ray photoelectron spectroscopy, HAXPES)による分析を行った。電圧印加状態での各層の電位を比較した結果、電極/バッファー層の間の界面層は電極に近い電位にあり、界面層とバッファー層の間に電気抵抗が生じていることが分かった。さらに発電中の太陽電池のHAXPES測定にも成功した。


Keywords: 硬X線光電子分光、有機薄膜太陽電池、駆動中測定


2015A1725 / BL19B2
酸化した高純度鉄箔のガス浸炭における反応挙動の、X線回折法によるその場分析
In-Situ Analysis of Property at Carburizing from Oxidized High Purity Fe Foil with X-ray Diffraction Imag

大久保 総一郎, 飯原 順次, 上村 重明, 日方 威, 谷岡 大輔, 中井 龍資

Soichiro Okubo, Junji Iihara, Shigeaki Uemura, Takeshi Hikata, Daisuke Tanioka, Ryusuke Nakai

住友電気工業株式会社

Sumitomo Electric Industries, Ltd.

Abstract

 鉄箔を大気酸化した後に、高温のアセチレンガス雰囲気中で処理すると、熱亀裂の内部にサブミクロンの幅を持つ炭素繊維(チューブやシート)が亀裂の両側をブリッジするように成長する現象を発見した。この現象を利用すれば、直線的なナノカーボンが成長でき、新規デバイス作成手法に応用できる。炭素が引き出されるメカニズムを解明するため、加熱・ガス浸炭工程中に透過X線回折像をその場観察することを試みた。


Keywords: カーボンナノチューブ、高純度鉄箔、透過X線回折法、酸化鉄、ガス浸炭


2016A1508 / BL40B2
保湿剤がヒト角層細胞間脂質の構造変化に及ぼす影響の検討
The Effects of Moisturizer Application on Structural Changes of Human Stratum Corneum

山田 武a, 羽深 朱里a, 稲岡 知和a, 宮本 佳郎a, 八田 一郎b

Takeshi Yamadaa, Akari Habukaa, Tomokazu Inaokaa, Yoshiro Miyamotoa, Ichiro Hattab

a阪本薬品工業(株), b(公財)名古屋産業科学研究所

aSakamoto Yakuhin Kogyo Co., Ltd., bNISRI

Abstract

 保湿剤として汎用される多価アルコールのヒト角層に対する保湿機構を解明するため、多価アルコールにグリセリンと1,3-ブチレングリコール (以下BG) を用い、角層構造に及ぼす影響を評価した。水あるいは 10 wt% 多価アルコール水溶液を1時間作用した角層の乾燥時における角層構造の経時的な変化を小角・広角X線回折測定し、細胞間脂質より形成される短周期ラメラ構造とソフトケラチン構造に由来するピーク位置の経時的な変化の速さや変化率が異なることを観測した。


Keywords: ヒト角層、細胞間脂質、多価アルコール、小角広角X線回折


2018A1545 / BL40XU
マイクロX線回折による強誘電材料の電極/誘電体界面構造と 誘電特性の関係解明
Relevance between a Structure of Electrode-Dielectric Interface and a Dielectric Property in the Practical Ferroelectric Materials using Micro X-ray Diffraction

木村 宏之a, 坂倉 輝俊a, 坪内 明b, 安田 伸広c

Hiroyuki Kimuraa, Terutoshi Sakakuraa, Akira Tsubouchib, Nobuhiro Yasudac

a東北大学多元物質科学研究所, b(株)村田製作所, c(公財)高輝度光科学研究センター

aIMRAM, Tohoku Univ., bMurata Manufacturing Co., Ltd., cJASRI

Abstract

 積層セラミックキャパシタ(MLCC)の実材料について、サブマイクロX線回折を用いて電極/誘電体界面と誘電体素子部分の構造を調べた。サブマイクロ領域の粉末回折パターンのマッピングに成功した。その結果、界面近傍で、格子定数の変化、あるいは BaTiO3 正方晶ドメイン分布に系統的な変化があることを発見した。Ni 電極からの応力を受けて、誘電体素子が歪んでいることを示す結果である。


Keywords: 積層セラミックキャパシタ,マイクロ領域X線回折