SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

早期公開 最新版

SPring-8 Section A: Scientific Research Report

2012A1280 / BL08W
Spin Density and Orbital Occupation in the Invar System Fe-Ni

J. A. Duffya, D. A. Kersha, I. Maskerya, S. R. Giblinb

aUniversity of Warwick, bUniversity of Cardiff

Abstract

 The aim of this experiment was to investigate the temperature dependence of the spin density of the Invar system Fe65Ni35 via measurements on a single crystal using magnetic Compton scattering. We made measurements of the spin density resolved along the [100] and [110] crystallographic directions. The temperature dependence exhibited a subtle change in the momentum density. Interestingly, the momentum distribution of the spin moment was different for the two crystallographic directions. It would appear that increasing temperature has a complicated effect on the contributions of the electrons from different orbitals, rather than just causing a change in the amount of delocalisation. This change requires further investigation, particularly with further compositions being studied in order to determine whether the change in electronic structure can be correlated with the existence of the Invar effect.


Keywords: Invar effect; spin density; temperature


2013B3514 / BL11XU
固体高分子形燃料電池コアシェル触媒Ptの価電子帯電子状態観察による高活性化に関する研究
Valence Electronic Structure Study for the Improvement of Catalytic Activity of Pt-based Core-Shell Catalyst for Polymer Electrolyte Fuel Cells

原田 慈久a,b, 丹羽 秀治a, 干鯛 将一c, 宮脇 淳a,b, 木内 久雄b, 尾嶋 正治b, 石井 賢司d

Yoshihisa Haradaa, Hideharu Niwaa, Shoichi Hidaib, Jun Miyawakia, Hisao Kiuchia, Masaharu Oshimac, Kenji Ishiid

a東京大学物性研究所, b東京大学放射光連携研究機構, c東芝燃料電池システム(株), d(独)日本原子力研究開発機構

ISSP, The University of Tokyoa, SRRO, The University of Tokyob, Toshiba Fuel Cell Power System Corporationc, Japan Atomic Energy Agencyd

Abstract

 固体高分子形燃料電池の正極触媒として高い性能を有するコアシェル型の白金合金ナノ粒子触媒に対し、共鳴非弾性X線散乱を用いて電位サイクルを繰り返した電池セルのその場測定を行い、Pt の電子状態密度分布を取得した。1.2 V までの電位走査を伴う初期化処理によって、Pt-O 結合エネルギーは 2.3 eV から 2.9 eV まで増加した。次に 1.0 V 印加の加速劣化試験を行った後の状態では、Pt は酸化されたものの、Pt-O 結合エネルギーに大きな変化は見られず、初期化操作の結果として得られた触媒構造では、Pt は溶出することが無く安定であることがわかった。


Keywords:固体高分子型燃料電池、コアシェル型白金ナノ粒子触媒、共鳴非弾性X線散乱


2014A1191 / BL04B2
静電浮遊溶解装置を用いたRh融体のX線回折測定
X-ray Diffraction Measurements on Liquid Rh with Electrostatic Levitator

岡田 純平a、渡辺 康裕b、石川 毅彦c

Junpei Okadaa, Yasuhiro Watanabeb, Takehiko Ishikawac

a東北大学、b東京大学、c宇宙航空研究開発機構

aTohoku University, bThe University of Tokyo, cJapan Aerospace Exploration Agency

Abstract

 構造因子 S(q) は物質の基本的な情報の一つである。近年、高輝度放射光を用いて様々な融体の S(q) が求められているが、高温融体に関しては、液体と保持容器の反応の問題が障害となり、測定が行われていない物質が多い。本研究では、静電浮遊溶解装置を用いて Rh 融体(融点 1966℃)のX線散乱測定を行い S(q) を測定した。


Keywords:液体構造、X線回折、ロジウム、静電浮遊法


SPring-8 Section B: Industrial Application Report

2014A3265 / BL24XU
放射光高平行度X線回折によるSiウェーハ表層の結晶歪解析
Strain Analysis of Silicon Surface Layer by Highly-parallel-X-ray Diffraction

堀川 智之a, 仙田 剛士a, 藤森 洋行a, 津坂 佳幸b, 松井 純爾b

Tomoyuki Horikawaa, Takeshi Sendaa, Hiroyuki Fujimoria, Yoshiyuki Tsusakab, Junji Matsuib

aグローバルウェーハズ・ジャパン(株), b兵庫県立大学

aGlobalWafers Japan Co., Ltd., bUniversity of Hyogo

Abstract

 半導体基板である Czochralski Silicon(CZ-Si)ウェーハにおいて金属不純物のゲッタリング効果が知られる酸素析出物の制御が重要である。一般的な析出形成手法の anneal treatment(AT)は表層の格子間酸素が外方拡散し格子歪みが生じる。熱酸化する rapid thermal oxidation(RTO)は格子間酸素の濃度勾配の抑制に期待されている。そこで、高平行度X線回折によりウェーハ表層の結晶性評価を実施した。サンプルのドリフト現象により格子定数の決定精度が得られなかった。


Keywords: 高平行度X線回折、シリコンウェーハ、格子間酸素


2014B1937 / BL19B2
カードランゲルのグルコース添加による影響
Effect of Glucose Addition on Curdlan Gels

湯口 宜明a, 松山 勇介b,中地 学b, 小笠原 正志b

Yoshiaki Yuguchia, Yusuke Matsuyamab, Manabu Nakachib, Masashi Ogasawarab

a大阪電気通信大学, b 三菱商事ライフサイエンス株式会社

aOsaka Electro-Communication University, bMitsubishi Corporation Life Sciences Limited

Abstract

 多糖類カードランはグルコースが β-1,3 結合によってつながった直鎖構造をとっており、3重らせん構造をとっていると考えられている。カードランは水に不溶であるが、その懸濁液を加熱することにより熱ゲル化挙動を起こす。食品のゲル化剤として応用されている。この系に対してグルコースを添加するとゲル強度が減少した。ナノ構造を小角X線散乱法により調べた。ナノスケールでの凝集構造および規則的な構造由来の散乱が検出され、グルコースの添加の影響について考察できた。


Keywords: カードラン、小角X線散乱、ゲル、ゲル化


2016A7029 / BL33XU
新規な固体高分子形燃料電池用ポリオキソメタレートのXAFS解析
XAFS Analysis of Polyoxometalate for New Type of Polymer Electrolyte Fuel Cells

畑中 達也, 野中 敬正,高木 秀樹,八木 謙一

Tatsuya Hatanaka, Takamasa Nonaka, Hideki Takagi, Ken-ichi Yagi

(株) 豊田中央研究所

Toyota Central R&D Labs., Inc.

Abstract

 固体高分子形燃料電池は、空気極の触媒に用いられる Pt の資源的な制約に加え、Pt 上での酸素還元反応が遅いため発電効率が低い課題がある。これらのPt触媒に関わる課題を回避できる空気極 Pt フリーの燃料電池としてレドックスフロー燃料電池が提案されている。この燃料電池に用いられるポリオキソメタレートについてその発電中の挙動をX線吸収分光と核磁気共鳴分光とで解析し、その結果から本材料の課題について考察した。


Keywords: 固体高分子形燃料電池,ポリオキソメタレート,X線吸収分光,NMR


2019A5033 / BL16XU
高エネルギー対応二次元検出器を用いた銅板の変形挙動解析
Analysis of Deformation of Copper Plate by High-Energy 2D Detector

徳田 一弥, 後藤 和宏, 桑原 鉄也, 佐藤 一成

Kazuya Tokuda, Kazuhiro Goto, Tetsuya Kuwabara, Issei Satoh

住友電気工業(株)

Sumitomo Electric Industries, Ltd.

Abstract

 銅及び銅合金は電気特性と強度特性のバランスに優れ、電線用導体や端子材として最適な材料である。その更なる高強度化のためには、加工変形における原子レベルの構造変化の理解が不可欠となる。その分析手段としては、近年提唱されている引張その場X線回折(以下、XRD)が有望であるが、実用的な厚みの銅材を測定するには高い透過能を有する高エネルギーX線が必要であり、従来型の Si 素子の二次元検出器では感度不足であった。そこで本研究では高エネルギーでも十分な感度を有する CdTe 素子の二次元検出器を用いて 300 µm 厚の銅板の引張その場測定を試行し、比較的短い露光時間でも銅結晶の配向や歪の変化を観測できることを確認した。一方、今回の測定条件では粗大粒の影響を排除できておらず、定量解析には試料揺動などの対策が必要なことも明らかになった。


Keywords: 銅、引張その場 XRD、CdTe