SPring-8 / SACLA Research Report

ISSN 2187-6886

早期公開

SPring-8 Section A: Scientific Research Report

2011B1549 / BL13XU
Ge(110)基板上GeSnヘテロエピタキシャル層の 局所領域における異方的ひずみ構造のマイクロ回折分析
Microdiffraction Analysis on Anisotropic Local Strain Structures of GeSn Hetero-Epitaxial Layers Grown on Ge(110) Substrates

中塚 理, 浅野 孝典, 財満 鎭明

Osamu Nakatsuka, Takanori Asano, and Shigeaki Zaima

名古屋大学

Nagoya University

Abstract

 Ge(110) 基板上に形成した GeSn 混晶エピタキシャル層における局所ひずみ構造をマイクロ回折法によって分析した。[001]方向からマイクロビームを入射してサブミクロンスケールの走査を行った ω ロッキングカーブにおいては特徴的な揺らぎが観測されたのに対し、[10]方向からの観察に対してはこのような揺らぎは現れなかった。これは GeSn/Ge(110) 界面の異方的な転位伝播やひずみ緩和構造に関連すると推測される。


Keywords: エピタキシャル成長、局所ひずみ、マイクロ回折、ゲルマニウム錫


2015B6533 / BL44XU
高度好熱菌由来の銅含有亜硝酸還元酵素の構造と機能的洞察
Structure and Functional Insights for the Thermus Copper Nitrite Reductase

米田 涼平、堀部 和也、野尻 正樹

Ryohei Yoneda, Kazuya Horibe, Masaki Nojiri

大阪大学大学院理学研究科

Graduate School of Science, Osaka University

Abstract

  窒素は地球上の生命にとって必須元素であり、その自然界での循環を分子レベルで理解することは意義深い。最近の全ゲノム解析により、新たな高度好熱菌のゲノム上に新奇な銅含有亜硝酸酸還元酵素が見つかった。本実験では、その構造遺伝子に着目し、そのタンパク質について結晶構造解析と簡単な生化学的解析を行い、その機能について考察した。


Keywords: 金属酵素、銅蛋白質、マルチドメイン、酸化還元


2016B1161 / BL01B1
X線吸収微細構造法を用いた窒化物系混晶半導体 Al0.82In0.18N における In 原子近傍の局所構造解析
Analysis on Local Structure around In Atoms in Al0.82In0.18N Alloy by X-ray Absorption Fine Structure Measurements

宮嶋 孝夫a, 清木 良麻a, 小森 大資a, 伊奈 稔哲b, 池山 和希a, 竹内 哲也a

Takao Miyajimaa, Ryoma Seikia, Daisuke Komoria, Toshiaki Inab, Kazuki Ikeyamaa, Tetsuya Takeuchia

a名城大学理工学部, b(公財)高輝度光科学研究センター

aMeijo University, bJASRI

Abstract

 窒化物系面発光レーザの導電性分布ブラック反射鏡材料として期待されている窒化物系混晶半導体 Al0.82In0.18N 中の In 原子近傍の局所構造を、X線吸収微細構造法により解析した。その結果、Al0.82In0.18N を構成する In-N と Al-N のボンド長が 14% も異なることで相分離を起こし易いにもかかわらず、In 原子は理想的な窒化物半導体における III 族 Ga 原子を置換していることが分かった。


Keywords: 窒化物系半導体、面発光レーザ、導電性分布ブラック反射鏡、相分離


2011B1486 / BL04B2
液体Se50-Te50混合系の液体-液体相転移に伴う密度ゆらぎの変化:
単色X線による測定
Density Fluctuations of Liquid Se50-Te50 Mixture at Continuous Liquid-Liquid Phase Transition Observed by Monochromatic X-ray

梶原 行夫a、乾 雅祝a、尾原 幸治b

Yukio Kajiharaa, Masanori Inuia, Koji Oharab

a広島大学、b(公財)高輝度光科学研究センター

aHiroshima University, bJASRI

Abstract

 液体 Se-Te 混合系は温度や組成の変化により、連続的な構造転移を示すことが古くから知られている。転移に伴い密度がメゾスコピックに不均質になることが1980年代には提唱されていたが、永らくその実験的な証拠は得られていなかった。この問題に対して我々は、SPring-8/BL04B2を利用した小角X線散乱測定により、その微小な密度ゆらぎの変化を検知することに初めて成功し、2012年の論文で発表した。ただこの実験には不備な点が一つあった。BL04B2は分光結晶が一枚ふりであるため入射光への高調波の混入を避けらないが、検出器にエネルギー分解能のないイメージングプレートを使用したため、完全な単色X線の散乱スペクトル測定ではなかった。そこで今回、Ge半導体検出器とシングルチャンネルアナライザーから成る測定システムを用いることで、散乱光をエネルギー選別した測定を行い、前回の実験結果の妥当性の検証を行った。


Keywords: 液体-液体相転移、密度ゆらぎ、小角散乱


2012B1076, 2013B1399 / BL45XU
収縮性クロスブリッジにより惹起される心筋トロポニンTの構造変化
Structural Change of Cardiac Troponin Induced by Contracting Crossbridges

山口 眞紀a, 木村 雅子b, 大野 哲生a, 秋山 暢丈a, 中原 直哉a, 竹森 重a, 八木 直人c

Maki Yamaguchia, Masako Kimurab, Tetsuo Ohnoa, Nobutake Akiyamaa, Naoya Nakaharaa, Shigeru Takemoria, Naoto Yagic

a東京慈恵会医科大学, b女子栄養大学, c高輝度光科学研究センター

aThe Jikei University School of Medicine, bKagawa Nutrition University, cJASRI/SPring-8

Abstract

 トロポニンT処理法は、除膜筋線維(スキンドファイバー)内の内因性トロポニンTIC複合体を外来性トロポニンTと交換することにより筋線維がカルシウム非依存的に収縮反応を起こすことを可能にする。ラット左心室壁より調製したスキンドファイバーにこの処理を施すと、処理していない場合に比べてATP添加によりトロポニン 38/nm 子午反射が顕著に減少することがわかった。トロポニンT処理後の心筋線維はATPにより収縮状態となっていると考えられることから、心筋トロポニンTは硬直状態から収縮状態への変化に伴い構造変化を起こすことが示唆された。


Keywords: 心筋、トロポニン、収縮


2013A1022 / BL40XU
XPCS Study of Silica Nano-particles in Glycerol

W.-R. Chena, C.-W. Doa, Y. Shinoharab and T. Egamia,b

a Oak Ridge National Laboratory, b University of Tennessee

Abstract

 The rheology of suspensions of colloidal particles plays a critical role in many technological applications where it is essential to control the flow properties by tuning the shear viscosity. Theoretical calculations showed that introducing porosity into colloids gives an additional degree of freedom to tune their hydrodynamic properties. The goal of this project is to carry out an x-ray photon correlation spectroscopy (XPCS) study on such nano-particles to verify these theories, using nanoparticles of precisely controlled size and porosity which became available recently. To distinguish between prevailing theories we need to reach the high q plateau of the hydrodynamic function, where q denotes the momentum transfer in scattering.


Keywords: Nano-particles, colloids, XPCS


2013A1033 / BL43IR
劣化した遺跡出土琥珀の放射光顕微赤外分光による産地推定の試み
Study on Provenance of Deteriorated Amber Excavated from the Sites using Synchrotron FT-IR Microspectroscopy

植田 直見, 山田 卓司, 川本 耕三

Naomi Ueda, TakashiYamada, Kozo Kawamoto

(公財)元興寺文化財研究所

Gangoji Institute for Research of Cultural Property

Abstract

 これまで赤外分光分析では難しかった劣化により一部分子構造が変化した琥珀の産地推定について、加熱しながら放射光顕微赤外分析を実施することで産地推定が可能となることがわかった。方法は室温から 400℃ まで加熱した時の出土琥珀のスペクトルの変化を、主産地として知られている久慈市やいわき市、銚子市から産出する地質学的標準試料のそれと比較することで判別する試みを行った。さらにこれまで分析に使用できる試料がわずかしか無く分析が実施できなかった出土琥珀の産地を推定する方法として利用できる可能性も見出した。


Keywords: 出土琥珀、放射光顕微赤外分析、産地推定


2013A1341, 2014B1953, 2015A1491, 2015B1437, 2016B1832 / BL43IR
電気化学反応測定セルによる フェニル化シリコンナノシートの赤外顕微分光
Infrared Microspectroscopy of Phenyl-Modified Organosilicon Nanosheets by Electrochemical Reaction Cell

池本 夕佳a中野 秀之b

Yuka Ikemotoa, Hideyuki Nakanob

a(公財) 高輝度光科学研究センター 、b(株) 豊田中央研究所

aJASRI, bTOYOTA CENTRAL R&D LABORATORIES, INC.

Abstract

 シリコンナノシートの作成は、液晶ディスプレイや薄膜太陽電池など様々なデバイスへの応用が期待されており、多くの精力的な研究が報告されている。本研究では、紫外線照射により電導性が発現するフェニル基で修飾したシリコンナノシートを測定対象とした。この試料に電解質中で電圧を印加し、紫外線照射下で電流が流れる状態で、赤外スペクトル測定を行うことができるセルの開発を行った。また、電導機構の解明を目指して、赤外スペクトル測定を行った。


Keywords: 赤外放射光、顕微分光、試料環境制御


2013A1422, 2013B1313, 2014A1216, 2015A2051, 2015B1057, 2016A1268 / BL40XU
DNA折り紙を利用した生体分子の実空間X線イメージング
Real-space X-ray Imaging of Biomolecules Using DNA-Origami

岩本 裕之a, 古田 健也b, 大岩 和弘b

Hiroyuki Iwamotoa, Ken'ya Furutab, Kazuhiro Oiwab

a(公財)高輝度光科学研究センター, b情報通信研究機構未来ICT研究所

aJASRI, bNICT

Abstract

 X線回折散乱を利用し、生体分子の高空間分解能実空間イメージングを行う手段として、DNA 折り紙を利用する技術の開発を行なってきた。これは DNA 折り紙の特定部位に金ナノ粒子を結合させ、生体分子との干渉を記録することでイメージングを行う試みである。これは本来フーリエ変換ホログラフィー法(FTH)でイメージングを行うプロジェクトであったが、差し当たり CDI 法(Coherent Diffractive Imaging)でサンプルの実空間イメージングに成功したので報告する


Keywords: CDI、X線実空間イメージング、DNA 折り紙


2013A3701 / BL22XU
高圧下X線吸収分光実験の低エネルギー領域への拡張に向けた環境整備
Development of X-ray Absorption Spectroscopy Equipment for High Pressure Studies

綿貫 徹, 町田 晃彦

Tetsu Watanuki, Akihiko Machida

量子科学技術研究開発機構

National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology

Abstract

 高圧下X線吸収分光実験の低エネルギー領域への拡張に向けた環境整備を行った。従来の Yb-L3 吸収端(8.94 keV)近傍のエネルギーの入射X線を用いた Yb 系の計測に加えて、Eu-L3 吸収端(6.97 keV)近傍のエネルギーでの Eu 系の計測が可能となった。フィジビリティテストとして、ナノ多結晶ダイアモンドを用いたダイアモンドアンビルセル(DAC)に封入した Au–Sn–Eu 合金近似結晶試料を用いて計測を行った結果、通常条件下と遜色のない高品質のスペクトルを得ることができた。これにより、今後、価数揺らぎを持つ Eu 系の準結晶・近似結晶合金などについて圧力下で Eu 価数の評価の実施が可能となった。


Keywords: X線吸収分光、高圧、価数揺らぎ、準結晶


2013B1072 / BL13XU
Pt/Ge(001)表面のナノワイヤーの構造解析
Structure Analysis of Nanowires on Pt/Ge(001)

八田 振一郎a, 矢治 光一郎b,有賀 哲也a

Shinichiro Hattaa, Koichiro Yajib, Tetsuya Arugaa

a京都大学, b東京大学

aKyoto University, bThe University of Tokyo

Abstract

 Pt/Ge(001) 表面おいて形成される一次元原子鎖構造、p(4×2) 超構造の原子構造を明らかにするためBL13XUの (2+2) 型超高真空X線回折計を用いて微小角入射回折実験を行った。本装置内で Ge 基板結晶の清浄化およびPtの蒸着を行い、10.5 keV のX線を用いて面内回折点および逆格子ロッドを得た。低速電子回折による試料表面の評価から p(4×2) 構造以外の超構造の共存の可能性が判明したため、1/4次の超格子回折点を抽出し、構造モデルの検証を行った。現在までに本測定の結果を再現する構造モデルは見つかっていない。


Keywords: 一次元原子鎖、表面超構造、表面X線回折


2013B3618, 2013B3619, 2014B3622 / BL14B1
金属電極表面におけるアイオノマーモデル電解質の挙動解析
Analyses on Behaviors of Ionomer-model Electrolytes on Metal Electrodes

八木 一三a, 加藤 優a, 野津 英男b, 田村 和久c

Ichizo Yagia, Masaru Katoa, Hideo Notsub, Kazuhisa Tamurac

a北海道大学, b技術研究組合FC−Cubic, c日本原子力研究開発機構

aHokkaido University, bFC-Cubic TRA, cJAEA

Abstract

 固体高分子形燃料電池(PEFC)の触媒層内には触媒粒子のバインダであるとともに、プロトン伝導パスとしてもはたらくアイオノマーと呼ばれる高分子が混練されている。その側鎖末端にはスルホ基が存在し、プロトン伝導を担っているが、同時に Pt 合金系電極触媒の表面を被毒していると考えられている。本研究では、炭素鎖長の異なるペルフルオロカーボン鎖の末端にスルホン酸があるアイオノマーモデル電解質の吸脱着が金属表面に及ぼす影響を、表面X線散乱(SXS)法により計測することを試みた。


Keywords: アイオノマー、金属単結晶、電極触媒モデル


2013B3701 / BL22XU
高圧力を利用したAu–Sn–Eu合金近似結晶における中間価数状態の形成
Pressure-induced Formation of Intermediate-valence Crystalline Approximant of a Au–Sn–Eu Alloy

綿貫 徹, 町田 晃彦

Tetsu Watanuki, Akihiko Machida

量子科学技術研究開発機構

National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology

Abstract

 高圧力を利用して Eu 系合金近似結晶における中間価数状態の形成を試みた。これまで我々は Yb 系準結晶を加圧することにより Yb 系の中間価数準結晶・近似結晶の創出を行ってきたが、本研究では新たに Eu 系への展開を目指した。Au–Sn–Eu 合金近似結晶を加圧しながら、X線吸収分光実験で Eu 価数を評価したところ、常圧では整数価数の2価であったが、最高圧力 11.3 GPa では 2.1 価と価数増加が観測された。本実験の圧力範囲においては、中間価数状態の形成は実現されたものの、Eu 系に期待されたような顕著な圧力効果は見られなかった。


Keywords: X線吸収分光、高圧、価数揺らぎ、準結晶


2014B1373, 2015B1381 / BL40XU
強度変調型シングルビーム光トラップを利用した非接触式試料保持機構の開発
Development of a Contactless Sample Hold System Using a Modulated Single-Beam Optical Trap

福山 祥光, 安田 伸広, 木村 滋

Yoshimitsu Fukuyama, Nobuhiro Yasuda, and Shigeru Kimura

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 強度変調型シングルビーム光トラップを利用した非接触式試料保持機構を開発し、X線マイクロビームと組合せることにより、非接触に保持したナノ粒子1粒のX線回折像の測定技術を確立した。開発した装置を用い、粒径 380 nm の酸化セリウム1粒のX線回折測定において、測定時間の短縮と S/N の向上を同時に達成した。また、レーザー照射の有無が電子励起や結晶構造に影響を与えないことを確認した。


Keywords: 光トラップ、サブミクロン粒子、単粒子、X線回折


2015A2003, 2016A1486 / BL43IR
科学鑑定のためのボールペンインクの赤外放射光分光顕微分析
Synchrotron Radiation Fourier Transform Infrared Spectrometer(FTIR) Microscopy Analysis of Inks of Ballpoint Pens and Rollerball Pens for Criminal Investigation

本多 定男, 橋本 敬, 森脇 太郎, 池本 夕佳, 木下 豊彦

Sadao Honda, Takashi Hashimoto, Taro Moriwaki, Yuka Ikemoto, Toyohiko Kinoshita

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 文書類から記載に用いられた筆記具のメーカー名、製品名を推定する試みについては、一部を切り取ってインク等を抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)、顕微フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、ラマン分光等で分析する手法が研究されてきたが、2000年以降は破壊を伴わない分光的分析手法が主流となってきている[1]。 今回は、通常のグローバー光源を用いる顕微FTIR分析に比較して輝度が二桁程度高い赤外放射光を用い、アパーチャにより 2 μm に絞っての透過法による顕微FTIR分析を試みた。


Keywords: 科学捜査、法科学、微細証拠物件、赤外放射光、顕微FTIR、ボールペンインク


2015A6533 / BL40XU
酸化還元酵素における分子間電子移動メカニズムの解析:金属活性中心幾何構造の制約起源に関わる構造基盤
Analysis of Intramolecular Electron Transfer on the Redox Enzymes: Structural Basis for Origin of the Geometrical Constrain for the Metal Centers

野尻 正樹

Masaki Nojiri

大阪大学大学院理学研究科

Graduate School of Science, Osaka University

Abstract

 酸化還元酵素の中でもその活性中心に金属を持つものは、その配位幾何構造ならびに触媒反応場を最適なものへと形作っていると考えられている。本実験では、その概念を実験的に証明するべく異種金属原子で置換を試み、その配位幾何構造がどのように変わるかをX線結晶構造解析から確認し、その剛直性ならびに多様性について機能的側面から考察した。


Keywords: 金属酵素、エンタティック、配位子場


2015B1094 / BL20XU
Al-Cu合金の凝固組織形成に及ぼす超音波振動による音響流の影響
Influence of Acoustic Streaming induced by Ultrasonic Vibration on Solidification Microstructure in Al-Cu Alloys

柳楽 知也a, *, 安田 秀幸b, 中塚 憲章b, **, 竹内 晃久c

Tomoya Nagiraa, *, Hideyuki Yasudab, Noriaki Nakatsukab, **, Akihisa Takeuchic

a大阪大学大学院工学研究科、b京都大学大学院工学研究科、c(公財)高輝度光科学研究センター

aOsaka University, bKyoto University, cJASRI

*現所属 大阪大学接合科学研究所 *Current affiliation: Osaka University, JWRI

**現所属 (株)神戸製鋼所 **Current affiliation: Kobe Steel, Ltd.

Abstract

 Al-Cu合金を対象にX線イメージングを利用して超音波振動下での凝固その観察技術を開発した。超音波印加と同時に固液界面前方や一次アーム間でのマクロスケールの対流と数 10 Hz のデンドライトの縦振動が発生した。その結果、デンドライトの一次、二次アームの顕著な溶断が起きた。液相の濃度分布の評価から、溶断が顕著な固液共存領域の下部では、高濃度の液相が流入していた。音響流によって濃度分布が変化し、凝固組織は著しく影響を受けることが明らかとなった。


Keywords: 超音波振動、凝固組織、音響流、Al合金


2015B1166, 2016A1173 / BL43IR
高輝度赤外放射光を利用したSiナノワイヤおよびGe/Siコアシェルナノワイヤ中のドーパント不純物の電子状態評価
Characterization of Electronic States of Dopant Atoms in Si Nanowires and Ge/Si Core-Shell Nanowires by Infrared Synchrotron Radiation Beam

深田 直樹a, 池本 夕佳b, 森脇 太郎b

Naoki Fukataa, Yuka Ikemotob, Taro Moriwakib

a国立研究開発法人物質・材料研究機構, b(公財)高輝度光科学研究センター

aNIMS, bJASRI

Abstract

 化学気相堆積(CVD)法により成長した Ge/Si コアシェルナノワイヤおよびレーザーアブレーション法で成長した Si ナノワイヤ中の不純物の顕微赤外分光を行った。コアシェルナノワイヤに関しては、Si シェル層に p 型不純物のボロン(B)がドーピングされており、Ge コア領域には不純物がドーピングされていない。B ドープ Si ナノワイヤの場合においては、B の局在振動ピークおよび B の 1s-2p および 1s-3p の電子遷移による吸収を観測できた。通常の赤外分光では観測困難であったが、SPring-8赤外放射光の高輝度性を生かすことで実現できた成果といえる。一方、コアシェルナノワイヤにおいては、ラマン分光により Ge 層へのホールガスの蓄積を観測できていたが、SPring-8の赤外放射光を利用しても観測できなかった。Si シェル層内の B の濃度とコアシェルナノワイヤの密度調整が必要であるといえる。


Keywords: ナノワイヤ、半導体、ヘテロ接合、不純物、赤外吸収分光


2015B1242 / BL43IR
科学鑑定のための銃発射残渣(GSR)の放射光FTIR分析
Synchrotron Radiation Fourier Transform Infrared Spectrometer(FTIR) Microscopy Analysis of GSR(Gunshot Residue) for Criminal Investigation

本多 定男a, 橋本 敬a, 西脇 芳典b, 早川 慎二郎c, 森脇 太郎a, 池本 夕佳a, 木下 豊彦a

Sadao Hondaa, Takashi Hashimotoa, Yoshinori Nishiwakib, Shinjiro Hayakawac, Taro Moriwakia, Yuka Ikemotoa, Toyohiko Kinoshitaa

a(公財)高輝度光科学研究センター, b高知大学, c広島大学

a JASRI, , bKochi University, cHiroshima University

Abstract

 銃から弾丸を発射する際、主として雷管の成分が熱を受けて飛散し、銃を発射した人の手や袖等に多数付着する。これが銃発射残渣(GSR)である。容疑者の手等から付着物を採取し、Pb、Sb、Ba のすべてを含む 1μm 程度の球形微粒子を多数検出することにより銃発射の客観的な証拠としている。しかし、1990年代から重金属フリーの雷管を使用した弾丸カートリッジが登場し[1]、その場合には上記成分は検出されない。そこで、赤外放射光分光分析により有機化合物を検出することにより、銃発射の証明を目指すものである。


Keywords: 科学捜査、法科学、微細証拠物件、赤外放射光、顕微FTIR、銃発射残渣 GSR


2015B3502, 2016A3552 / BL11XU
共鳴非弾性X線散乱を用いた電荷秩序状態からの電荷励起の探索
Exploration of Charge Excitations from Charge-Ordered States Using Resonant Inelastic X-ray Scattering

石井 賢司a, 池内 和彦b, 脇本 秀一c, 藤田全基d, 高山 知弘e, 高木 英典e

Kenji Ishiia, Kazuhiko Ikeuchib, Shuichi Wakimotoc, Masaki Fujitad, Tomohiro Takayamae, Hidenori Takagie

a量子科学技術研究開発機構, b総合科学研究機構, c日本原子力研究開発機構, d東北大金研, eマックスプランク固体研究所

aQST, bCROSS, cJAEA, dIMR, Tohoku University, eMax Planck Institute for Solid State Research

Abstract

 強相関遷移金属化合物に現れる電荷秩序に関連した電荷励起を探索するため、La1.875Ba0.125CuO4、および、CuIr2S4 の共鳴非弾性X線散乱実験を行った。La1.875Ba0.125CuO4 では電荷秩序の伝搬ベクトルに対応した運動量で励起が観測されたが、秩序のない La1.70Sr0.30CuO4 でも同様に観測されたため、電荷秩序に直接関わる励起ではないと結論した。CuIr2S4 では金属絶縁体転移に対応する強度変化が 0.5 eV 以下の領域で観測されたものの、それと同時に起こる電荷秩序に関わると考えられる励起は観測されなかった。得られた実験結果からこれらの物質での電荷秩序・相転移を引き起こす相互作用のエネルギースケールについて議論を行う。


Keywords: 電荷励起、共鳴非弾性X線散乱、強相関電子系


2015B6554 / BL44XU
CTX-M型β-ラクタマーゼの基質特異性に対するAla219の役割
A Role of Ala219 on the Substrate Specificity of CTX-M Type β-Lactamase

山本 惠三

Keizo Yamamoto

奈良県立医科大学化学教室

Department of Chemistry, Nara Medical University

Abstract

 CTX-M型β-ラクタマーゼ(cefotaxime分解酵素)で高度に保存されている Ala219 の 役割を解明するために、野生型CTX-M-2、及び変異型酵素 A219V の構造解析を行った。野生型に対して A219V の主鎖の root mean square deviations (RMSD)は 0.135 Å であり、構造にほとんど差がなかった。また、酵素学的パラメータも差が見られなかった。従って、このアミノ酸置換によりセフォタキシムに対する活性が大きく低下する現象は、CTX-M-1 に特異的であることが示唆された。


Keywords: β-ラクタマーゼ、基質特異性、結晶構造解析


2016B1707 / BL39XU
常磁性物質CaRuO3における局所歪みがもたらす 強磁性クラスターの直接観測
Direct Observation of Ferromagnetic Clusters by Local Distortion in a Paramagnetic Material CaRuO3

山本 貴史, 戸田 康介, 寺崎 一郎

T. D. Yamamoto, K. Toda, I. Terasaki

名古屋大学

Nagoya University

Abstract

 不純物誘起強磁性を示す CaRu1-xFexO3 (x = 0.10, 0.20)における Fe イオン周りの結晶構造・磁気構造を調べるために、Fe K-吸収端でのX線吸収微細構造(XAFS)測定およびX線磁気円二色性(XMCD)測定を行った。XAFS スペクトルの形状および温度・磁場依存性から、強磁性相関の発現に関連した RuO6 八面体の持つ結晶場の対称性の変化はないと示唆される。強磁性状態にある 2 K において XMCD スペクトルが観測されたが、信号強度が非常に弱く、磁気構造解析に耐えうる実験データを得るには至らなかった。


Keywords: 4d 電子系、不純物誘起強磁性、局所歪み、スピン-軌道相関


SPring-8 Section B: Industrial Application Report

2011B1978 / BL46XU
Sm系多層超伝導テープ材のSm-L吸収端での引張荷重負荷下の歪測定・解析の試み
Strain Assessment of Sm123 Coated Superconductor Composite Tapes under Tensile Load Utilizing

奥田 浩司a, 落合 庄治郎a, 永野 伸治a, 藤井 紀志a, 小金澤 智之b

Hiroshi Okudaa, Shojiro Ochiaia, Shinji Naganoa, Noriyuki Fujiia, Tomoyuki Koganezawab

a京都大学, b高輝度光科学研究センター

aKyoto University, bJASRI

Abstract

 Sm 系コーテッド超伝導複合線材の引張応力負荷下での Sm123 超伝導層の結晶格子歪の変化を調べるため、Sm LIII 吸収端近傍の異常分散効果を利用した In-situ 面内回折測定をおこなった。今回の測定では配分ビームタイム内で測定がほぼ完了できることを念頭に、試料としては吸収による減衰が大きな影響を与えないように、安定化の Cu めっき層を溶解除去した試料のみを用い、また、測定は申請分のうちビームタイムが認められた面内回折のみをおこなった。外部負荷応力の増加に伴い Sm123 層の引張歪は増加した。一方、前回課題で検討した Dy 系の材料[1]と比較すると高荷重領域での多重破断に伴う歪の停留が明確でないまま破壊剥離に至り、ピークシフトからは多重破断領域を認められなかった。このように Sm123 材料の場合には前回の Dy 系の結果から期待された系統的歪評価については十分な精度のデータが得られておらず、現在その原因を検討中である。一方、超伝導層の破壊進展の最終段階である剥離挙動について、Sm123 材料でこれまでの応力歪曲線の解析から期待されていた剥離進展と異なる挙動を示している事が今回の In-situ 測定中に見出された。超伝導層の破壊-剥離機構への Cu 除去の影響については今後の検討課題である。


Keywords: その場歪測定、コーテッド超伝導複合線材、異常分散効果、Sm123 超伝導膜


2012B1734 / BL19B2
白金フリー・液体燃料電池車の実用化に向けたアニオン伝導 高分子電解質膜のイオン伝導性、耐久性向上に係る階層構造の解析
Analysis of Hierarchical Structures of Anion Conducting Membranes for the Commercialization of Pt-free Liquid Fuel Cell Vehicles

前川 康成a, 吉村 公男a, トラン タップb, 長谷川 伸a, 澤田 真一a, 大沼 正人c, 大場 洋次郎d, 猪谷 秀幸e, 田中 裕久e

Yasunari Maekawaa, Kimio Yoshimuraa, Tap Tran Duyb, Shin Hasegawaa, Shin-ichi Sawadaa, Masato Onumac, Yojiro Obad, Hideyuki Shishitanie, Hirohisa Tanakae

a日本原子力研究開発機構, b東京大学, c物質・材料研究機構, d京都大学, eダイハツ工業(株)

aJAEA, bTokyo Univ., cNIMS, dKyoto Univ., eDaihatsu Motor Co., Ltd.

Abstract

 イオン伝導性やアルカリ耐性の異なる、フッ素系高分子を基材とするグラフト型アニオン伝導電解質膜の超小角X線散乱測定を行い、階層構造解析を行った。イオン交換基が異なる電解質膜すべてにおいて、相関長約 200 nm の凝集体に由来する構造が初めて確認出来た。この構造は、同じ高分子基材からなるプロトン型電解質膜の 300 nm 以上の相関長よりも遥かに短いことから、アニオン型電解質膜の耐久性向上のための設計指針が得られる可能性が示唆された。


Keywords: アニオン交換形燃料電池、高分子電解質膜、超小角X線散乱


2013B3324 / BL08B2
斜入射X線回折法によるペンタセン薄膜の構造解析
Structural Analysis of Pentacene Thin Films by Grazing Incident X-ray Diffraction Measurements

髙橋 永次, 東 遥介, 末広 省吾

Eiji Takahashi, Yousuke Azuma, Shogo Suehiro

(株)住化分析センター 技術開発センター

Sumika Chemical Analysis Service, Ltd. Technology Innovation Center

Abstract

 有機薄膜(ペンタセン)の蒸着膜形成過程における、成長初期(基板界面)と後期(有機膜表面)での周期構造や分子配向を解析するため、放射光による高輝度X線を用いた回折測定を行い、ペンタセン薄膜の散乱回折パターンを得た。解析の結果、ペンタセン分子はガラス基板上で垂直配向するが、75 nm以上の薄膜では、表層付近にバルク相に帰属される回折ピークが新たに検出された。


Keywords: 有機薄膜、薄膜X線回折


2014B1578 / BL46XU
硬X線光電子分光法による駆動中の有機薄膜太陽電池の分析
Analysis on Organic Thin-Layer Photovoltaic Cells by Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy

岡本 薫, 阿部 芳巳

Kaoru Okamoto, Yoshimi Abe

三菱ケミカル株式会社

Mitsubishi Chemical Corporation

Abstract

 有機薄膜太陽電池の金属/有機層界面を調べるため、駆動状態での硬X線光電子分光法(hard X-ray photoelectron spectroscopy, HAXPES)による分析を行った。電圧印加状態での各層の電位を比較した結果、電極/バッファー層の間の界面層は電極に近い電位にあり、界面層とバッファー層の間に電気抵抗が生じていることが分かった。さらに発電中の太陽電池のHAXPES測定にも成功した。


Keywords: 硬X線光電子分光、有機薄膜太陽電池、駆動中測定


2014B1595 / BL19B2
界面活性剤のヒト皮膚角層構造への影響解析に基づく皮膚洗浄用化粧品開発
Development of Cosmetic Cleanser Based Upon Analysis of Structural Alternation of Human Stratum Corneum by Surfactant Applications

簗瀬 香織a, 八田 一郎b

Kaori Yanasea, Ichiro Hattab

aクラシエホームプロダクツ(株), b(公財)名古屋産業科学研究所

aKracie Home Products, Ltd., bNagoya Industrial Science Research Institute

Abstract

 皮膚を清潔で健やかに保つために、ボディソープなどの皮膚洗浄料が毎日使用されている。アニオン性界面活性剤は皮膚洗浄料の主要な成分であり、汚れを効果的に落とす一方で、角層構造に影響を及ぼす。そこで小角広角X線散乱を測定し角層構造の回復を検討した。その結果、界面活性剤を精製水に置換した時の構造回復は、今回用いた角層では確認できなかった。


Keywords: 皮膚、角層、細胞間脂質、皮膚洗浄料、Sodium Dodecyl Sulfate


2014B1882 / BL19B2
アクリル樹脂の重合過程に発生する密度揺らぎに関する研究
Study on Density Fluctuation Generated during Polymerization in Polymethacrylic Resin

山本 勝宏a, 椋木 一詞b

Katsuhiro Yamamotoa, Kazunori Mukunokib

a名古屋工業大学, b三菱レイヨン(株)

aNagoya Institute of Technology, bMitsubishi Rayon Co., Ltd.

Abstract

 樹脂材料物性(ここでは透明性、耐衝撃性、耐熱性)向上の目指すうえでは、二種類以上の高分子からなる材料中の相分離ドメインの界面破壊を抑え、ドメインサイズを微分散させることが求められる。そこで樹脂の性能を高分子のアロイ化に伴う相分離構造の大きさや樹脂の透明性を制御する技術の確立を目指すため、樹脂の硬化過程のその場観察により構造形成機構を理解する。本論文ではメタクリル酸メチル/ポリメタクリル酸メチル/架橋剤混合系の硬化過程を観察したところ重合初期において、大きなスケールの濃度揺らぎが発生した。その後モノマーの硬化が進むにつれ不均一性は解消される方向に進むことが分かった。密度揺らぎは用いた架橋剤の種類にも影響することや、光重合と比較すると熱重合では揺らぎが大きいことが分かった。その詳細なメカニズムについては今後の課題である。


Keywords: ポリメタクリル酸メチル、小角散乱、超小角散乱


2015A1725 / BL19B2
酸化した高純度鉄箔のガス浸炭における反応挙動の、X線回折法によるその場分析
In-Situ Analysis of Property at Carburizing from Oxidized High Purity Fe Foil with X-ray Diffraction Imag

大久保 総一郎, 飯原 順次, 上村 重明, 日方 威, 谷岡 大輔, 中井 龍資

Soichiro Okubo, Junji Iihara, Shigeaki Uemura, Takeshi Hikata, Daisuke Tanioka, Ryusuke Nakai

住友電気工業株式会社

Sumitomo Electric Industries, Ltd.

Abstract

 鉄箔を大気酸化した後に、高温のアセチレンガス雰囲気中で処理すると、熱亀裂の内部にサブミクロンの幅を持つ炭素繊維(チューブやシート)が亀裂の両側をブリッジするように成長する現象を発見した。この現象を利用すれば、直線的なナノカーボンが成長でき、新規デバイス作成手法に応用できる。炭素が引き出されるメカニズムを解明するため、加熱・ガス浸炭工程中に透過X線回折像をその場観察することを試みた。


Keywords: カーボンナノチューブ、高純度鉄箔、透過X線回折法、酸化鉄、ガス浸炭


2015A1990 / BL19B2
超小角X線散乱により解析した小麦タンパク質水和凝集体の集合構造
Structural Analysis on Hydrated Wheat Protein Assembly by Ultra-Small-Angle X-ray Scattering

佐藤 信浩a, 裏出 令子a, b, 杉山 正明a

Nobuhiro Sato a, Reiko Urade a, b, Masaaki Sugiyama a

京都大学 a複合原子力科学研究所, b大学院農学研究科

Kyoto University, a Institute for Integrated Radiation and Nuclear Science, b Graduate School of Agriculture

Abstract

 純水中に抽出された小麦タンパク質グリアジンの水和凝集体について超小角X線散乱解析を行いナノ–サブマイクロスケールにおける集合構造の変化について調べた。グリアジン濃度増加に伴い、散乱ベクトル q = 0.13 nm-1 に観測される凝集体内部の疎密構造に由来する干渉ピークが減衰すると同時に、q < 0.1 nm-1 の立ち上がりが増大しており、水の減少とともに不均一な集合構造が凝縮する一方で全体として大きな凝集体が成長することが明らかとなった。。


Keywords: 超小角X線散乱、小麦タンパク質、グリアジン


2015A3622, 2015B3624 / BL14B1
XAFS測定による雰囲気変動下での貴金属(Rh,Pd)担持状態解析
Analysis of Precious Metals (Rh,Pd) States under Atmosphere Switching Conditions by EXAFS Measurement

松枝 悟司, 松久 悠司, 平尾 哲大

Satoshi Matsueda, Yuji Matsuhisa, Tetsuhiro Hirao

株式会社キャタラー

CATALER CORPORATION

Abstract

 自動車用排ガス浄化触媒の課題として、貴金属凝集抑制による性能向上及び貴金属使用量低減が要求されている。現在研究中の新規 Rh 担持法触媒(以下、新規法)は、従来 Rh 担持法触媒(以下、従来法)に対し、Rh 凝集の抑制とより低温からの活性向上効果を見出した。

 今回、この要因を探るため、EXAFSによる Rh 状態解析を行った結果、新規法では還元雰囲気下において低温から速やかに Rh-O が Rh-Rh に変化する事が確認された。一方、劣化抑制では、酸化雰囲気中に生成する「Rh-O-Nd」の影響が大きい事が推定された。また、XANESの結果では、従来法の Rh 吸収端に対して高エネルギー側にシフトしていることから、新規担持方法を適応する事で Nd2O3 の再配分が促進され、Rh に対して Nd2O3 の接触頻度が適度に高まり劣化抑制と低温活性が高いレベルで両立したものと推察した。


Keywords: XANES、EXAFS、Rh状態解析、雰囲気変動下、Rh担持法


2015B1635 / BL19B2
アルミナスケール形成オーステナイトステンレス鋼の 高温酸化におよぼすCuの影響
Effect of Cu on Formation of Al2O3 Scale on Austenitic Stainless Steel

林 重成a, 米田 鈴枝b, 佐伯 功c, 上田 光敏d, 河内 礼文e

Shigenari Hayashia, Suzue Yonedab, Isao Saekic, Mitsutoshi Uedad, Norifumi Kochie

a北海道大学, b北海道総合研究機構, c室蘭工業大学, d東京工業大学, e(株)新日鐵住金

aHokkaido University, bHokkaido Research Organization, cMuroran Institute of Technology, dTokyo Institute of Technology, eNippon Steel & Sumitomo Metal Corporation

Abstract

 アルミナスケール形成オーステナイト系耐熱ステンレス鋼のアルミナスケール形成能におよぼす Cu 濃度の影響を調査するため、Cu 濃度の異なる Fe-Ni-Cr-Al、Ni-Cr-Al、Ni-Al 合金を用いて、初期酸化スケールの形成とその後のアルミナスケールの形成・遷移に及ぼす Cu の影響を in-situ 高温X線回折を用いた構造解析により検討した。Cu 添加合金では、酸化初期に内部アルミナからアルミナスケール形成への遷移挙動が観察された。しかしながら、今回の実験では Fe や Ni、Cr を主体とする遷移酸化物が長時間残存し、連続的な保護性アルミナスケールの形成に至らなかったため、Cu のアルミナスケール形成促進効果について明確な知見を得ることはできなかった。


Keywords: In-situ測定、高温X線回折、高温初期酸化、アルミナスケール、Cu添加オーステナイトステンレス鋼


2015B1640 / BL19B2
工業用純アルミニウム合金における引張変形中の転位密度変化 In-situ測定と添加元素が転位増殖挙動に及ぼす影響
In-situ Measurement of the Dislocation Density during Tensile Deformation for Commercially Pure Aluminum Alloys and Its Change by the Additional Element

足立 大樹a, 岡田 将秀b, 中西 英貴b, 田丸 昇b

Hiroki Adachia, Masahide Okadaa, Hidetaka Nakanishib, Sho Tamarub

a兵庫県立大学, b(株)UACJ

aUniversity of Hyogo, bUACJ Corporation

Abstract

 純アルミニウム系合金の変形中の転位密度変化に及ぼす Fe、Si、Mg 微量添加の影響と、その焼鈍による影響を In-situ XRD 測定により調べた。Mg、Si 添加材は従来材と同様に、圧延材の焼鈍によって焼鈍軟化、延性の向上が見られたのに対し、Fe 添加材では焼鈍硬化し、A1200 合金と同様に延性が低下した。Mg、Si 添加材では塑性変形中の転位密度は焼鈍によって大きく減少したが、Fe 添加材では焼鈍によって初期転位密度が大幅に低下したにも関わらず、塑性変形中の転位密度は圧延まま材と比較してほとんど変化しなかった。


Keywords: 純アルミニウム系合金、転位密度、焼鈍、In-situ XRD測定


2016A1500 / BL19B2
ブロックコポリマーの加熱延伸処理によって形成される グレインサイズ評価
Evaluation of the Grain Size for Heat-stretched Block-copolymer with Ultra-small Sngle X-ray Scattering

笹川 直樹a, 櫻井 伸一b

Naoki Sasagawaa, Shinichi Sakuraib

a積水化学工業株式会社, b京都工芸繊維大学

aSEKISUI CHEMICAL CO., LTD, bKyoto Institute of Technology

Abstract

 本実験では、新規な異方性材料の開発に向けたブロックコポリマーの構造解析を行った。ブロックコポリマー中ではミクロ相分離と呼ばれるナノスケールの規則構造から、グレインと呼ばれる配向の方位が揃った領域が無数に形成される。しかし、学術的にもグレインサイズの定量評価法が未確立のため、産業応用が進んでいないのが現状である。そこで、極小角X線散乱(USAXS)および小角X線散乱(SAXS)測定による定量評価法の確立と、それを用いたグレインサイズの追跡によるグレイン成長のメカニズム解明を目指した。得られた USAXS パターンには、薄膜試料からの全反射によるストリークが生じた。このストリーク強度の散乱ベクトルの大きさ q 依存性を調べたところ、q = 6.41 μm-1 に明確なピークが観察され、そのピーク位置から球状領域の半径を求めたところ 0.90 μm となり、USAXS 測定によってグレインが捉えられたものと結論された。


Keywords: グレイン、ブロックコポリマー、ミクロ相分離、極小角X線散乱


2016A1508 / BL40B2
保湿剤がヒト角層細胞間脂質の構造変化に及ぼす影響の検討
The Effects of Moisturizer Application on Structural Changes of Human Stratum Corneum

山田 武a, 羽深 朱里a, 稲岡 知和a, 宮本 佳郎a, 八田 一郎b

 

Takeshi Yamadaa, Akari Habukaa, Tomokazu Inaokaa, Yoshiro Miyamotoa, Ichiro Hattab

a阪本薬品工業(株), b(公財)名古屋産業科学研究所

aSakamoto Yakuhin Kogyo Co., Ltd., bNISRI

Abstract

 保湿剤として汎用される多価アルコールのヒト角層に対する保湿機構を解明するため、多価アルコールにグリセリンと1,3-ブチレングリコール (以下BG) を用い、角層構造に及ぼす影響を評価した。水あるいは 10 wt% 多価アルコール水溶液を1時間作用した角層の乾燥時における角層構造の経時的な変化を小角・広角X線回折測定し、細胞間脂質より形成される短周期ラメラ構造とソフトケラチン構造に由来するピーク位置の経時的な変化の速さや変化率が異なることを観測した。


Keywords: ヒト角層、細胞間脂質、多価アルコール、小角広角X線回折


2016A1753 / BL46XU
マイクロビームX線散乱法を用いたヒト皮膚角層構造の深さ方向解析II
The Depth Direction Structural Analysis of Human Stratum Corneum Using Microbeam X-ray Scattering: Part II

久米 卓志a, 小野尾 信a, 田村 俊紘a, 八木 直人b, 八田 一郎c

 

Takuji Kumea, Makoto Onooa, Toshihiro Tamuraa, Naoto Yagib, Ichiro Hattac

a花王株式会社, b(公財)高輝度光科学研究センター, c(公財)名古屋産業科学研究所

aKao Corporation, bJASRI, cNISRI

Abstract

 以前のX線散乱法を用いた皮膚角層の構造解析では、最外層である角層のみのシートを用いて、角層の集合体からの平均情報を取り扱っていた。我々は in situ に近い条件での角層の深さ方向の構造解析法として、角層以下の表皮、真皮等も含むヒト皮膚シートを用いてマイクロビームX線をスキャンしていく方法で皮膚上の角層からの小角・広角散乱像を得ることに成功した。これにより角層内部の深さ方向の構造変化を解析することで、皮膚への剤の作用、浸透効果等の詳細な知見が得られることが期待される。


Keywords: Human stratum corneum, Surfactant, microbeam X-ray scattering, Keratin fibril structure, Intercellular lipid lamella structure


2017B1613 / BL46XU
マイクロビームX線散乱法を用いたヒト皮膚上の塗膜構造解析
Structural Analysis of Coating Film on Human Skin using Microbeam X-ray Scattering

久米 卓志a, 鈴木 博詞a, 田村 俊紘a, 八田 一郎b

Takuji Kumea, Hiroshi Suzukia, Toshihiro Tamuraa, Ichiro Hattab

a花王株式会社, b(公財)名古屋産業科学研究所

aKao Corporation, bNISRI

Abstract

 皮膚上に塗布して使用する化粧品や外皮用医薬品において、機能に関わる重要な要素である皮膚上の製剤の塗膜構造を解明することは、より優れた製品の設計指針提案に繋がる重要な研究課題である。我々が検討を進めてきたマイクロビームX線散乱法による皮膚角層構造の深さ方向解析法の発展・応用により、従来は観察が困難であった、前処理無しで自然の状態での皮膚上のミクロスケールの塗膜構造観測に成功した。


Keywords: 皮膚, 塗膜, マイクロビームX線散乱法, ラメラ構造


2018A1545 / BL40XU
マイクロX線回折による強誘電材料の電極/誘電体界面構造と 誘電特性の関係解明
Relevance between a Structure of Electrode-Dielectric Interface and a Dielectric Property in the Practical Ferroelectric Materials using Micro X-ray Diffraction

木村 宏之a, 坂倉 輝俊a, 坪内 明b, 安田 伸広c

Hiroyuki Kimuraa, Terutoshi Sakakuraa, Akira Tsubouchib, Nobuhiro Yasudac

a東北大学多元物質科学研究所, b(株)村田製作所, c(公財)高輝度光科学研究センター

aIMRAM, Tohoku Univ., bMurata Manufacturing Co., Ltd., cJASRI

Abstract

 積層セラミックキャパシタ(MLCC)の実材料について、サブマイクロX線回折を用いて電極/誘電体界面と誘電体素子部分の構造を調べた。サブマイクロ領域の粉末回折パターンのマッピングに成功した。その結果、界面近傍で、格子定数の変化、あるいは BaTiO3 正方晶ドメイン分布に系統的な変化があることを発見した。Ni 電極からの応力を受けて、誘電体素子が歪んでいることを示す結果である。


Keywords: 積層セラミックキャパシタ,マイクロ領域X線回折


SPring-8 Section C: Technical Report

2011A2012, 2011B2018, 2012A1457 / BL13XU
放射光X線結晶トランケーションロッド散乱によるMgxZn1-xO/ZnO ヘテロ構造の解析
Analysis on MgxZn1-xO/ZnO Hetero-structures by Synchrotron Radiation X-ray Crystal Truncation Rod Scattering

宋 哲昊*, 田尻 寛男, 藤原 明比古**

Chulho Song*, Hiroo Tajiri, Akihiko Fujiwara**

(公財)高輝度光科学研究センター, *現所属:株式会社 日産アーク, **現所属:関西学院大学

JASRI, *Present affiliation: Nissan Arc, Ltd. **Present affiliation: Kwanisei Gakuin University

Abstract

 2層の自発分極差で界面に高移動度2次元電子ガスが形成される MgxZn1-xO/ZnO ヘテロ接合の構造を明らかにするために放射光X線結晶トランケーションロッド散乱実験を行った。Mg 濃度 x = 0.015、0.064、0.189 の3種類の試料に対して 000L 方向の散乱プロファイルを測定し、Mg 濃度の異なる MgxZn1-xO 層の構造を解析した。3種類の試料に対して、格子定数 c は精密に求めることができた。また、散乱プロファイルに見られる振動の周期は MgxZn1-xO の膜厚をよく説明できたが、振動振幅について一致しない点が見られ、構造モデルのより詳細な検討が必要であることがわかった。


Keywords: MgxZn1-xO/ZnOヘテロ構造、X線結晶トランケーションロッド


2015A2049 / BL39XU
低濃度希土類試料に対する軟X線MCD測定の検出感度評価
Feasibility Study on the Detection Sensitivity of Soft-X-ray MCD Measurements for Ultra-low Dense Rare-earth Magnets

鈴木 基寛, 小谷 義範, 中村 哲也

Motohiro Suzuki, Yoshinori Kotani, Tetsuya Nakamura

(公財)高輝度光科学研究センター

JASRI

Abstract

 BL25SUビームラインにおいて、低濃度の希土類磁性体試料に対する軟X線磁気円二色性 (MCD) 測定の検出感度評価を行った。Au 基板上に展開した Tb 単分子磁石の単原子膜について全電子収量法によるX線吸収分光 (XAS) およびMCDスペクトルの測定を行い、バックグラウンドと信号の比率および統計精度を評価した。1原子層の単分子磁石に対して解析に十分な精度のスペクトルが数10分の測定時間で得られ、さらに濃度の薄い試料にも対応できることがわかった。


Keywords: 軟X線MCD、希土類単分子磁石、全電子収量法


2015B1992, 2016A1862 / BL05XU
科学鑑定のためのボールペンインクの放射光蛍光X線分析
Synchrotron Radiation X-ray Fluorescence Analysis of Inks of Ballpoint Pens and Rollerball Pens for Criminal Investigation

本多 定男a, 橋本 敬a, 西脇 芳典b, 大和 拓馬c, 金田 敦徳c, 近藤 涼介c, 早川 慎二郎c, 木村 滋a

Sadao Hondaa, Takashi Hashimotoa, Yoshinori Nishiwakib, Takuma Yamatoc, Atunori Kanedac, Ryousuke Kondoc, Shinjiro Hayakawac, Shigeru Kimuraa

a(公財)高輝度光科学研究センター, b高知大学, c広島大学

aJASRI, bKochi University, cHiroshima University

Abstract

 文書類から記載に用いられた筆記具のメーカー名、製品名を推定する試みについては、一部を切り取ってインク等を抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)、顕微フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、ラマン分光等で分析する手法が研究されてきたが、2000年以降は破壊を伴わない分光的分析手法が主流となってきている[1]。

 既報[2]のとおり、ボールペンインクのメーカー名、製品名を推定するためのデータベース作製を目的として赤外放射光分光分析を実施したが、今回は同じ試料について放射光蛍光X線(XRF)分析を実施した。


Keywords: 科学捜査、法科学、微細証拠物件、放射光蛍光X線分析、ボールペンインク


SACLA

2012A8041 / BL3
X線自由電子レーザーによる単粒子構造解析を目指した取り組み
Approaches for the Single Particle Imaging by X-ray Free Electron Laser

東浦 彰史a, b, 中川 敦史a

Akifumi Higashiuraa, b, Atsushi Nakagawaa

a大阪大学 蛋白質研究所, b広島大学大学院 医系科学研究科

aInstitute for Protein Research, Osaka University,

bGraduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University

Abstract

 X線自由電子レーザーを用いた単粒子構造解析の手法開発を目指した研究に取り組んだ。結晶化することなく蛋白質の立体構造を coherent X-ray diffraction imaging の手法により決定することを目指したものであり、モデルとして2種類のウイルスを選択した。それぞれのウイルスをサンプルグリッド上に展開、急速凍結し、XFEL 回折実験に供した。XFEL 回折実験は SACLA BL3A において実施した。


Keywords: X線自由電子レーザー、単粒子構造解析、ウイルス


2013B8017 / BL3
X線非線形ラマン過程の研究
Investigation of X-ray Nonlinear Raman Processes

玉作 賢治a, 犬伏 雄一b

Kenji Tamasakua, Yuichi Inubushib

a理化学研究所, b高輝度光科学研究センター

aRIKEN, bJASRI

Abstract

 X線ラマン過程を観測するための最初のステップとして、蛍光X線の誘導放出の観測を試みた。このためにSACLAの2色発振を利用した。また、ポンプX線とコントロールX線のパルスエネルギーをそれぞれショットごとに決定するために、インラインスペクトロメーターを開発した。しかし、インラインスペクトロメーターを含めた光学系設計に問題があり、パルスエネルギーの正確な見積りができなかった。一方で、現在研究している共鳴2光子吸収につながる知見が得られた。


Keywords: X線非線形ラマン過程、誘導発光


2015B8060 / BL3
水溶液の時間分解硬X線光電子分光の開拓と光化学反応への応用
Development of Time-Resolved Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy of Aqueous Solutions and Application to Photochemical Reactions

倉橋 直也a, Stephan Thuermera, 唐島 秀太郎a, 山本 遙一a, 小原 祐樹b, 片山 哲夫c, 犬伏 雄一c, 三沢 和彦b, 鈴木 俊法a,d

Naoya Kurahashia, Stephan Thuermera, Shutaro Karashimaa, Yo-ichi Yamamotoa, Yuki Obarab, Tetsuo Katayamac, Yuichi Inubushic, Kazuhiko Misawab, and Toshinori Suzukia,d

a京都大学, b東京農工大学, c高輝度光科学研究センター, d理化学研究所

aKyoto University, bTokyo University of Agriculture and Technology, cJASRI, dRIKEN

Abstract

 水溶液中におけるヨウ化物イオンから水への電子移動反応による水和電子の生成と、電子−ヨウ素原子間の再結合過程を解明する目的で、深紫外レーザーと自由電子レーザーを同期したヨウ化ナトリウム水溶液の時間分解光電子分光を行った。装置のエネルギー分解能は概ね計算通りであることが確認された。深紫外光の照射によって、ヨウ素 2p 軌道由来の光電子運動エネルギーがシフトし、遅延時間 150 ps まで回復しない様子が観測された。これは水和電子とヨウ素原子の再結合が 150 ps まで起こらないことを意味し、我々の予想に反する結果であった。


Keywords: 時間分解光電子分光、溶液、ヨウ化ナトリウム


2016A8061 / BL3
水溶液の時間分解硬X線分光の開拓と光触媒への応用
Development of Time-Resolved Hard X-ray Spectroscopy of Aqueous Solutions and Application to Photocatalysts

倉橋 直也a, Stephan Thuermera, 唐島 秀太郎a, 山本 遙一a, 片山 哲夫b, 犬伏 雄一b, 小原 祐樹c, 三沢 和彦c, 鈴木 俊法a,d

Naoya Kurahashia, Stephan Thuermera, Shutaro Karashimaa, Yo-ichi Yamamotoa, Tetsuo Katayamab, Yuichi Inubushib, Yuki Obarac, Kazuhiko Misawac, and Toshinori Suzukia,d

aKyoto University, bJASRI, cTokyo University of Agriculture and Technology, dRIKEN

Abstract

 時間分解X線発光分光(TRXES)の立ち上げ、さらに将来の時間分解共鳴インパルシブX線散乱(TRRIXS)への発展を目論み、無機化合物水溶液の TRXES を試みた。試料は、シュウ酸鉄錯体(Fe(III)Ox3)である。この錯体に関しては、既にSACLAにおいて時間分解X線吸収分光(TRXAS)に成功している。紫外同期レーザー(268 nm)を用いて、Fe(III)Ox3 の配位子から金属への電荷移動(LMCT)を誘起し、その後の化学反応をリアルタイム追跡することを目的とした。試料はシュウ酸鉄錯体アンモニウム塩の 0.2 M 水溶液で、液体は直径 25 µm の層流である。X線の発光分光には、von Hamos 型の分光器を用いた。


Keywords: 時間分解発光分光、溶液、シュウ酸鉄錯体