課題情報
課題番号 2010B7262
実験課題名 ポリプロピレンの結晶化と高次構造
実験責任者 0024705 田頭 克春 (サンアロマー(株))
ビームライン BL03XU
タイトル
ポリプロピレンの結晶化と高次構造
著者
 
主著者 0024705 Tagashira Katsuharu サンアロマー(株)
共著者 0027269 Sakai Kazuhiko サンアロマー(株)
共著者 0028153 Mizutani Yoko サンアロマー(株)
共著者 0028152 Maruyama Masanori サンアロマー(株)
共著者 0007421 Hikosaka Masamichi 広島大学
共著者 0009475 Okada Kiyoka 広島大学
本文
(1)実験目的と意義:

ポリプロピレン(PP)製品は、用途分野やその要求特性に応じて、原料PP、添加剤、成形方法等が異なり、その違いに応じて多種多様な高次構造を有する。物性は高次構造によって左右されるので、これを十分に把握し発現メカニズムを解明して原料や成形方法等へ迅速にフィードバックすることが、高性能PP材料の開発につながる。

BL03XUのアンジュレーター光源の細くて高輝度の特性を生かし、超小角X線散乱(USAXS)によりnmからμmの幅広いサイズ領域の高次構造解析を試みた。

(2)実験結果:

図1は、MFR=46のPPインパクトコポリマー開発品の射出成形平板(1mm厚)について、λ=0.2nm、IP検出器(カメラ長:7515mm)、フィルタCu10μm、露光時間20秒で測定した超小角X線散乱(USAXS)のプロファイルを示す。図1に示す様に、長周期構造に由来する弱い散乱の一部が観察されると同時に、ブランク(図2)と比較すると明らかな様に、非常に高強度の中心散乱が観察された。

(3)考察:

PPインパクトコポリマーはタイプの異なる複数のポリマーからなる相構造を有する。図1に示す中心散乱は、マトリックスを形成するPPが同じ場合にも大きく変化することから、通常のSAXSではビームストッパーの影に隠れて観察されずブラックボックスであった50nm-1000nm(1μm)のサイズの分散相の構造に由来すると考えられる。今回、USAXSの測定により、nmからμmの幅広いサイズ領域で高次構造の定量的な解析を行えることがわかり、物性や成形法との関連の解明をより深化させることが期待される。

Figure 1. USAXS patterns measured at Through configuration for an injection molded plate of polypropylene impact copolymer. Machine direction is along meridian line.

Figure 2. USAXS patterns measured at Through configuration for blank (sample holder only) scattering. Machine direction is along meridian line.
画像ファイル添付
Figure 1 Figure 2