課題情報
課題番号 2017A1550
実験課題名 極小角散乱法によるアスファルテン凝集緩和挙動の解明[新規利用者]
実験責任者 0029975 森田 剛 (千葉大学)
ビームライン BL19B2
タイトル
極小角散乱法によるアスファルテン凝集緩和挙動の解明
著者
 
主著者 0029975 Morita Takeshi 千葉大学
共著者 0044220 Morimoto Masato (国)産業技術総合研究所
共著者 0044221 Tanaka Ryuzo 出光興産(株)
共著者 0045123 Suzuki Sakitada 千葉大学
共著者 0045139 Suzuki Takuya 千葉大学
本文
「利用目的」
アスファルテンは, 分子量1000程度の環状構造(芳香環)部分を含む分子である. アスファルテンの凝集体はメソスケール域のサイズ領域にある. これに加え, アスファルテンは分子レベルの一次凝集体がさらにフラクタル的に高次階層構造を形成していると考えられる. アスファルテンの強凝集へのプロセスの理解には, このフラクタル的な高次凝集挙動を解明することが必須と考える. しかし, 極小角散乱を用いてアスファルテンの高次凝集構造を解析した研究は行われていなかった. 以上から, 極小角散乱法によりアスファルテン凝集体について、その高次階層構造を含めた凝集構造を解析するための測定を行った.
 
「試料名、実験方法、使用装置・実験測定条件」
光学系はBL19B2に設置されている極X線散乱測定光学系を用いた. Φ1.0-1.5mmのキャピラリーに溶液をセットし, 大坂 恵一 先生が考案された全自動測定システムを用い, 多数の溶液に対する測定を行うことができた. また, 高温高圧条件下での測定では, 高温高圧測定用の試料ホルダーは申請グループが持ち込み, 光学系の試料位置にセットした. Figure 1に実験時の高温高圧セル, および周辺機器の設置した状態を示す. (Figure 1a: 高温高圧条件での測定機器類, Figure 1b: チタン製高温高圧高温セル部拡大) 高圧測定では, トルエン溶媒に溶解したアスファルテン試料を送液ポンプで試料ホルダーに注入し, ヒータで加熱しPID 制御により一定温度として温度依存性を測定した. 取得した散乱シグナルの吸収補正のために必要なアスファルテン溶液の吸収係数は, ICを試料の前側と後ろ側にセットし, X 線の透過光強度測定により行い, 備え付けの装置をそのまま使用した. (今回, フォトダイオードセンサーの予備実験は行わなかった)
 
「測定内容」
以下が測定したサンプルの条件である.
1、アスファルテンのトルエン溶液に対する高温高圧下での極小角散乱測定

2、常温常圧下でのアスファルテン、および各種モデル化合物の極小角散乱測定

3、アスファルテン固体極小角散乱測定

4、粒径サイズ解析用標準金コロイド粒子の極小角散乱測定

「結果の概要」
高温高圧セルを持ち込んでの測定を安全に行うことができた. 常温常圧下の測定に対し, 大坂先生のご指導のもと, 溶液のセット方法を習得し, 良好に測定を実施することができた. 以上から, 各試料に対して, 良好な極小角散乱のシグナルを取得することができた.
画像ファイル添付
Figure 1a Figure 1b